カバー率と基本高水ピーク流量の決め方に関するブログに関して、いつもお世話になっているKさんから、懇切なご指摘をいただいた。
確率解析にかかる部分については、理解しようと努めるが、(?_?)(@_@)(*_*)しているところである。
引き伸ばし操作については、つぎのようなご指摘を受けた。
「色々と異論はありますが、現実に引き伸ばし操作に代わって適切な計画雨量相当の対象降雨を決定する方法はありません。2倍程度にとどめるとしても、利根川の総合確率法では3.13倍まで取り込んでいます。対象降雨の数を増やすためにはこれまたやむを得ないことです。総合確率法では30以上の対象降雨が必要のようです。」
止むを得ないとしても、引き伸ばし操作は信用できない。少なくとも、犀川では、引き伸ばし操作によって獲得されたサンプルデータ群が水文統計の対象になりうる、信頼性のあるものとはとても思えない。ブログで前記したとおりである。
独立行政法人土木研究所の吉谷純一「降雨確率に関する研究」によれば、概略、つぎのような説明がある。
「水文統計の前提条件は、ランダム性、独立性、均一性、ステーショナビリティの4条件であり、ランダム性と独立性はほぼ問題なく成り立つが、均一性とステーショナビリティは満たされる保証はない。しかし、実務上これらを仮定し、水文統計解析を行っても事実上支障はない。そして、前線性降雨と台風による降雨は、厳密には異なる母集団に属すると考えられるが、実務的に均一性があるとみなされる。」
つまり、均一性についての保証はないが、実務的に均一性があると仮定して、水文統計が行われているのである。ところが、犀川の例では、この均一性に重大な疑いがあるにもかかわらず、何の言及もなく(検討した形跡もない)、水文統計解析がなされているのである。実務的に引き伸ばし手法を取らざるを得ないとしても、解析された結果を鵜呑みにするような判断は全く誤りであると考えている。
基本高水ピーク流量をどのように決めるかについては、つぎのように整理してもらった。
「(1)過大と思われるピーク流量を棄却し、残ったピーク流量群の平均値(中央値)を採用する。
(2)過大と思われるピーク流量を棄却し、残ったピーク流量群の最大値を基本高水流量に決定する(新基準)
(3)棄却を実施せずにピーク流量群の平均値(中央値)を採用する。(Kさん提案)
(4)既往最大値を基本高水流量に決定する(今回の中さん案)」
この点に関しては、当方のブログでもはっきりは主張しているわけではないが、現時点では、実務的にわかりやすいものがいいと思う。
(4)というよりも、どちらかというと、
「(2)の「新基準」で、但し、棄却基準を厳密に設定する。」あるいは、「(1)の中央値の1.3倍に決定する。」
というような考えでいいかなと思っている。辰巳ダム裁判では、前者である。
(4)でもいいのであるが、金沢の既往最大値は過去100年間程度しかわからない。100年に1回ですと、400年以上の金沢の歴史から見ますと、4~5回の発生と言うことになる。比較的、大きな都市でありながら、川の傍での生活も風情がある土地柄であり、もう少し少なくしたいという思いがある。
「基準」では、犀川は二級河川の都市河川でC級扱いであり、「基準」で示された計画規模は「50~100年」で100年が採用されている。「基準」の計画の規模が市民の感覚に追いついていない。
「(2)の「新基準」で、但し、棄却基準を厳密に設定する。」
この考え方は、一つに絞られるので、まぎれがなくていいかと思う。対象とする降雨の確率は明らかであるが、決定したピーク流量の確率はあ いまいであり、過大になる可能性もある。犀川では600年確率程度になり、400年の歴史で多くて1回という水準であり、過大かどうか判断が難しいところである。
「(1)の中央値の1.3倍に決定する。」
中央値が決まれば、自動的に決定できる。掛け率(1.3)は地域特性で決まる安全率と考えれば、数値の意味が比較的明解である。
マイナス面は、旧基準の「カバー率60~80%」と同じで、「1.3倍」という数値に明解な説得性がないのでつけ込まれやすいところである。
100年確率のピーク流量に対して、200年確率のピーク流量はおおよそ1.2~1.3倍と言われている。1.3倍することでピーク流量は200年確率程度となり、金沢市の400年の歴史で2回ほどの頻度で大洪水が発生するということになる。許容できる範囲ではないかと考える。
実務的にわかりやすい視点から、当方の意見を述べた。
確率解析にかかる部分については、理解しようと努めるが、(?_?)(@_@)(*_*)しているところである。
引き伸ばし操作については、つぎのようなご指摘を受けた。
「色々と異論はありますが、現実に引き伸ばし操作に代わって適切な計画雨量相当の対象降雨を決定する方法はありません。2倍程度にとどめるとしても、利根川の総合確率法では3.13倍まで取り込んでいます。対象降雨の数を増やすためにはこれまたやむを得ないことです。総合確率法では30以上の対象降雨が必要のようです。」
止むを得ないとしても、引き伸ばし操作は信用できない。少なくとも、犀川では、引き伸ばし操作によって獲得されたサンプルデータ群が水文統計の対象になりうる、信頼性のあるものとはとても思えない。ブログで前記したとおりである。
独立行政法人土木研究所の吉谷純一「降雨確率に関する研究」によれば、概略、つぎのような説明がある。
「水文統計の前提条件は、ランダム性、独立性、均一性、ステーショナビリティの4条件であり、ランダム性と独立性はほぼ問題なく成り立つが、均一性とステーショナビリティは満たされる保証はない。しかし、実務上これらを仮定し、水文統計解析を行っても事実上支障はない。そして、前線性降雨と台風による降雨は、厳密には異なる母集団に属すると考えられるが、実務的に均一性があるとみなされる。」
つまり、均一性についての保証はないが、実務的に均一性があると仮定して、水文統計が行われているのである。ところが、犀川の例では、この均一性に重大な疑いがあるにもかかわらず、何の言及もなく(検討した形跡もない)、水文統計解析がなされているのである。実務的に引き伸ばし手法を取らざるを得ないとしても、解析された結果を鵜呑みにするような判断は全く誤りであると考えている。
基本高水ピーク流量をどのように決めるかについては、つぎのように整理してもらった。
「(1)過大と思われるピーク流量を棄却し、残ったピーク流量群の平均値(中央値)を採用する。
(2)過大と思われるピーク流量を棄却し、残ったピーク流量群の最大値を基本高水流量に決定する(新基準)
(3)棄却を実施せずにピーク流量群の平均値(中央値)を採用する。(Kさん提案)
(4)既往最大値を基本高水流量に決定する(今回の中さん案)」
この点に関しては、当方のブログでもはっきりは主張しているわけではないが、現時点では、実務的にわかりやすいものがいいと思う。
(4)というよりも、どちらかというと、
「(2)の「新基準」で、但し、棄却基準を厳密に設定する。」あるいは、「(1)の中央値の1.3倍に決定する。」
というような考えでいいかなと思っている。辰巳ダム裁判では、前者である。
(4)でもいいのであるが、金沢の既往最大値は過去100年間程度しかわからない。100年に1回ですと、400年以上の金沢の歴史から見ますと、4~5回の発生と言うことになる。比較的、大きな都市でありながら、川の傍での生活も風情がある土地柄であり、もう少し少なくしたいという思いがある。
「基準」では、犀川は二級河川の都市河川でC級扱いであり、「基準」で示された計画規模は「50~100年」で100年が採用されている。「基準」の計画の規模が市民の感覚に追いついていない。
「(2)の「新基準」で、但し、棄却基準を厳密に設定する。」
この考え方は、一つに絞られるので、まぎれがなくていいかと思う。対象とする降雨の確率は明らかであるが、決定したピーク流量の確率はあ いまいであり、過大になる可能性もある。犀川では600年確率程度になり、400年の歴史で多くて1回という水準であり、過大かどうか判断が難しいところである。
「(1)の中央値の1.3倍に決定する。」
中央値が決まれば、自動的に決定できる。掛け率(1.3)は地域特性で決まる安全率と考えれば、数値の意味が比較的明解である。
マイナス面は、旧基準の「カバー率60~80%」と同じで、「1.3倍」という数値に明解な説得性がないのでつけ込まれやすいところである。
100年確率のピーク流量に対して、200年確率のピーク流量はおおよそ1.2~1.3倍と言われている。1.3倍することでピーク流量は200年確率程度となり、金沢市の400年の歴史で2回ほどの頻度で大洪水が発生するということになる。許容できる範囲ではないかと考える。
実務的にわかりやすい視点から、当方の意見を述べた。