goo blog サービス終了のお知らせ 

犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>超大規模地すべり地の隠蔽?(追伸)

2012年12月15日 | 辰巳ダム裁判
治水ダムは流域住民の生命と財産を守るために、大きな洪水の被害を防止するためのものだ。これが、別の災害を発生させる原因となるということになると、「安全のイメージ」が台無しになる。地すべりの隠蔽の誘惑にかられるのは想像にかたくない。

学校のイジメも同じである。学校や教育委員会にとって、イジメがあったと認めることを想像するとよくわかる。教育現場はどうなっているんだ、先生は何をやっているんだと、方々から社会的な追及や非難を受けることになり、信用もなくなり、最悪の場合に、学校関係の犠牲者?もでかねない。一方、何事もなければ、あるいは何事もないことにすれば、教育者として尊敬を受けながら、経済的にも社会的にも恵まれた立場を維持できるのである。これで、イジメがありましたなどと公表するわけはなく、隠蔽の誘惑にかられるのは当然だろう、まして、組織全体に及ぶとすれば、組織をあげて隠蔽するのは火を見るより明かというものである。

この辰巳ダム湖の地すべりについて、おなじようなことが起こっていたのではないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム裁判>地すべり勉強会開催(その2)

2012年12月14日 | ダム問題
勉強会の参加メンバーは、裁判所の裁判官3名と書記、被告は国や県などの関係者が17名、原告は10名ほどである。最初に被告の説明を聞きながら、ふと考えていた。被告側は全員、仕事で参加しているのでアゴアシ付きで手当てもでるのに対して、原告側は全員、ボランティアの手弁当である。プレゼンテーションにもその差は歴然である。内容ではない、体裁である。被告の方は、手をかけた、わかりやすい図表が満載であるのに対して、こちらは、前に作成されていたスライドを寄せ集めて作ったような代物である。被告らは、ヒトも金も情報も十分に抱えているから、当然のことである。一方、原告の方は、ボランティアに、金欠に、情報公開にも出費がかさむ、例えてみると、万を超すような大軍と対峙している数百の軍勢といったところか。さらに、被告ら自身の給料はもちろん、作成した資料もすべて税金でまかなわれているのだ。そうだ、被告のプレゼンテーションのパワーポイント資料も公開請求をしようということで、引き続いて、公開請求をすることにした。

被告らの主張は、要約すると、
L3ブロックという大きな地すべり土塊について、2つに分割して川側のL3-2ブロックの安全率(R/D比)の検討をして、安定性を確かめた。小さいブロックの方が、湛水による影響が大きく反映して、R/D比が小さく計算されるので、より慎重な検討を行ったことになる。それでもマニュアルで定められた範囲を下回らないので安定であり、対策工は要らないというものだ。

これに対して、原告の主張はつぎのようなものだ。
被告らのL3ブロックの想定すべり面は矛盾だらけで説得力はない、被告らが実施した調査では、一つのすべり面に決めうちできるものではなく、ほかにもいろいろなすべり面が想定できる、末端すべりも想定できるので安全率はマニュアルで定められた範囲を下回り、対策工は必要だ。そもそも、L3ブロックが滑動の兆候がないといっても、安全率(R/D比)1.0ぎりぎりであると想定すると、湛水の影響でわずかでもR/D比が下がれば滑動する危険がある、大規模であるから一旦動き出したら止めることは困難だ。だから、対策工を取っていないのは事業者としてなすべきことをしていないのだ。

地すべりの安定解析で問題なのは、現状の安定度がわからないということである。滑動していれば、安定度を示すR/D比が1.0を下回っているということになるが、動いていない場合は、1.0を下回らないことは明らかであるが、1.0をどの程度上回っているかどうかわからないことだ。国のマニュアルでは、全国の多数の例から、動いていない場合は、1.05と考えてもいいという経験的な判断の上になりたっている。ここが弱点であり、裁判でも問題となるところである。しかし、裁判の勝ち負けにはあまり関係がない。

裁判所は、法にもとづいて違法か違法でないかを判断するところである。専門技術的なところは、行政に委ねており、行政がまとめたマニュアルの中味にまでとやかく言うことはないのである。中味がおかしかろうが、そうでなかろうが、裁判所の判断には関係が無く、法あるいは法にもとづいた基準などに従っているか、違反しているかを判断するだけである。

したがって、地すべりの専門技術的なことについて、議論しても、最終的には、行政の専門技術的な判断を優先してあれこれいうことはなく、行政の裁量権の範囲内であるということになるだろう。ただ、裁量権と言っても何をやってもよいというわけではなく、法が想定する枠があり、これを超えて裁量がされれば、裁量権の逸脱であり、濫用ということになり、違法だということになる。

裁判において、原告が被告らの問題点をさんざんに指摘して、常識的にこれはおかしいと、コテンコテンにやつけたとすると、裁判所の判断も、国のマニュアルどおりやったといっても、それでいいんですかということになる。そこでやっと、原告と被告は対等になる。裁判所の判断も、裁量権の逸脱、濫用か?ということになるだろう。

辰巳ダムのような、どの切り口から見てもこれほどの杜撰な事業で原告が勝てないとなると、どんな事業でも住民が勝つことは絶対にないだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム裁判>地すべり勉強会開催(その1)

2012年12月13日 | 辰巳ダム裁判
地すべり勉強会が、12月12日午後1時半から約3時間にわたり、裁判所において開催された。
 辰巳ダム裁判では、争点のうちの治水と地すべりに関しては、裁判官、弁護団ともに不案内な専門技術的な事項を取り扱っているので、必要に応じて、裁判所内で勉強会が開催される。地すべりに関して、今回は2回目である。公式の公開裁判ではなく、進行協議形式で関係者だけを集めて実施される。裁判を開くための非公式の打ち合わせみたいなものだから、この場での説明資料や議論は、後で正式に提出されなければ、直接の証拠とはならないものである。だから、単なる勉強会ということであるが、双方、意見を主張する機会が与えられるので、言われ放しでは印象が悪くなるのでつらくなる。まして、この事業はおかしいということで提訴した原告側が、被告の主張を聞いてそうですかと頷いていては話にならない。ここも、あそこも、どこもおかしいと追及しなければ、勝負にもならない。
 原告は、治水にくらべて、地すべりについての経験も知識も少ないので、もともとかなりハンデがあったが、提訴して4年、少しづつではあるが、問題が見えてきたようである。なにしろ、裁判では、問題を指摘すると、文書で丁寧に反論が届く。さらに、今回のように、勉強会では、国から派遣された専門家(土木研究所の専門監)から詳細な説明がある。今回もいろいろな新しい知見を披瀝して頂いたので、今までの思考を反芻しながら、再検討することにしている。
 その際に、資料の確認や新資料についての入手も必要であり、早速、県へ情報公開請求などをしているところである。
 前回(2年ほど前)の勉強会よりは、核心にせまりつつあり、より問題点があきらかになってきたような気がする。
お互いの主張は、前も今も変わっていないが。ダム湖の真ん中当たりに接する「L3ブロック」という地すべり土塊について、超大規模地すべり地で動き出したら大災害が起きると指摘するのに対して、かたや、湛水をしても安定で地すべりなど起こらないというものである。
当方は、まったくの門外漢であったので、ちんぷんかんぷんであったが、やっと少し理解が深まったというところである。つらつら考えてみるに、批判的な住民にとって、日本有数の大規模地すべり地だというのは、上等の攻撃ネタではあるが、事業者にとっては、面倒でやっかいなネタに違いない。住民の不安はあおりたくないし、批判的な住民に知られて騒がれても面倒だし、ダム案と代替案を比較検討する際にはダムに不利なことはいいたくないし、いずれにしてもいいことはない。隠蔽したくなるのは自然の感情だ。本当は心配だから、少し手当てをしておいてもいいと思うけれど、少しでも表に出すとうるさいから、完璧に隠蔽しようということになってもおかしくない。
平成14年、15年の学識経験者を集めた専門家会合でも、県からの地すべりに関する情報はゼロで議論はゼロだった。その後で、住民の一人が公開請求をした資料から、鴛原超大規模地すべり地を明らかにしたことから表面化したことが思い出される。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情報公開>異議申立て(辰巳ダムの地すべり安定計算根拠文書について)

2012年12月12日 | 情報公開
公文書不存在決定通知についての異議申立て
(H16のL3-2ブロックの地すべりの安定計算根拠文書の存在)

石川県が実施した、L3ブロックの安定計算について、大別して2種類委ある。
平成16年の報告書のものと平成18年の報告書のものである。L3ブロックを2つにわけて、L3-1ブロック(山側)、L3-2ブロックと2つに分けるのは同じであるが、想定すべり面が少し、違う。H16のすべり面は、頭部から中央にかけて浅くなっている、H18のものは、頭部が深く、より安定な形となっている。

H16のすべり面の安定計算(R/D比)の計算の根拠を示した文書を確認したいので、公開請求をした。このすべり面で、検討したものが、
「平成16年度犀川総合開発事業(辰巳ダム建設)ダム基本設計資料作成業務委託報告書」3.ダムサイトの選定p.3-4 に掲載されている。

 ダムサイトを3箇所あげて検討したところで地すべりの安定計算がされている。Aサイト、Bサイト、Cサイトとあり、B,Cサイトについては、地すべりの安定計算から、R/D比が0.95を下回り、対策工を施す必要があり、それぞれ25億円、27億円の費用が増高となる一方、この費用がいらないAサイト(現行案)が最も経済的で妥当な案に決定している。この比較の際に、L3-2ブロックの安定計算がなされている。Aサイト案では、R/D比が0.96であり、マニュアルの0.95を上回っているので対策工は不要と判断されている。
 この決定根拠となった、安定計算文書を公開請求した。ところが、不存在という通知を受けたので、これに対して異議申立をしたものである。

平成24年12月12日 異議申立書(公文書不存在決定通知についての異議申立て)

 事業を進める上で重要な文書であり、当然に残しておくべきものであるが、情報公開法上では、存在する公文書について公開か非公開かその妥当性はどうかを判断するもので、どの文書を公文書として残しておくべきかについては判断が及ばないだろうから、情報公開にかかる異議申立をしてもどうにもならないだろう。しかし、「ありません」、「あ、そうですか」では、納得できないのでとにかく、異議申立をすることにした。

※関係文書と資料は、当方のホームページで公開
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情報公開>希少種の分布図等は数十年が経過しても非公開!

2012年12月07日 | 情報公開
絶滅の恐れのある希少種の分布図等は数十年が経過しても非公開!

昭和62年に作成された「犀川総合開発事業辰巳ダム建設環境影響評価書」の公開の際に、一部の図面等で非公開とされた。絶滅の恐れのある植物(イブキシダ)や洞窟性のコウモリ類などの生息域を示す図面等である。ダム工事で改変され非公開する理由がないと平成23年12月25日づけで石川県に異議申立を行った。

これに対して、平成24年11月22日づけで石川県情報公開審査会の答申の案内があった。結論は、非公開妥当で部分公開もダメということであった。改変されて無くなったとしても、その外の生息域は改変されないで残っているので繋がった一体としての情報だから、希少種保護の意義は失われていないということだった。

詳細は、つぎのとおり。
答申書の案内
「答申第118号 平成24年11月」
異議申立に対する
「決定書」平成24年12月6日

24年以上も前に調査されたものであり、周辺は著しく改変されており、現実的には、希少種保護の意義はほとんどないだろう。逆に、公開して保護のための研究や活動のために活用するほうが有意義になるのではないか。大枚のお金をかけて調査した資料が死蔵され、役に立たない。希少種保護のために何が何でも非公開というのは知恵がない。何らかの判断の目安を作って、この非公開の壁を突破できないだろうか。まずは、固い壁に跳ね返されたというところだ。
平成24年12月7日 中 登史紀

「決定書」などの全文は、当方のホームページへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする