犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>7周年集会の開催、関 良基拓殖大学准教授の講演

2015年04月27日 | 辰巳ダム裁判
辰巳ダム裁判7周年集会の開催
平成27年4月25日(土)13時30分~16時30分
近江町交流ブラザ(近江町市場ビル 4階)

「あらためてダム問題の根本を問う」(基本高水――ダムを造り続けるための魔術――)
講師:関 良基 先生    (拓殖大学准教授)
「一審判決の特徴と控訴審の焦点」
報告:塩梅 修 弁護士    (弁護団事務局長)

 ゴールデンウィークの初日、統一地方選挙投票日の前日ということも重なり、参加者が少なかった。しかし、ダムは建設されたものの問題は解決されたわけではなく、裁判が係争中であり、問題意識を持って参加された複数のマスコミ関係者もあり、緊張感のある空気に包まれた。

 辰巳ダム裁判の最大の焦点である「過大な基本高水」について、3年前の講演に引き続き、今回もその続きを、関 良基拓殖大学准教授に講演して頂いた。

先生いわく
「基本高水の議論をしだすと、多くの人々は『そんな話、どうでもいいや』とうんざりしてしまう。水害から身を守るために本質的に重要な話しとは思えないからだ。しかし、一般の人々が近寄りがたい議論をし、煙幕をはることこそ、住民を川から遠ざけ、官僚たちが河川管理を独占し、国民の税金を吸い上げていくためのテクニックである。ふつうの人々が辟易とするような議論の背後で、実際には非科学的な計算が横行している。数字をめぐるバカバカしいとも思える議論を直視していくことを通して、現行の治水の法制度の枠組みのどこに問題があるのか明らかになるだろう。」
そのバカバカしい議論の一端を披露していただいた。

 あらためて、反芻して理解をした上で、辰巳ダム問題を通じて今後、紹介していきたい。

【感想】
講演を通じて、「貯留関数法という流出計算法」でどんな数字でも作り出すことができるということを理解した。また、辰巳ダム裁判の議論を通じて「水文統計学の手法」を用いてどんな雨でも作り出すことができることがわかってきた。この2つの方法でピーク流量が作られ、繰り返すことで基本高水の候補となるピーク流量群が得られ、この群の最大値を基本高水とすることになっているが、これが過大な基本高水を作る仕上げである。

 基本高水=河道負担分+ダム負担分
 である。
河道負担分が決まると、基本高水を大きくすればするほどダム負担分は大きくなり、いくつもダムが必要になる。辰巳ダム計画では、基本高水を150m3/秒大きくしたので、3つ目の辰巳ダムが必要となった。

【蛇足】
 基本高水を大きくすることが、金沢市民の生命と財産を守り、治水安全度を高めることになっているのかどうか。基本高水について、国・県は、「比流量」で検証したと主張しているが、辰巳ダム以前の内川ダム時点の基本高水1600でも類似河川間の「比流量」の範囲内にあり、検証されている。「比流量」の観点からは、治水安全度が向上したと立証することはできない。
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辰巳ダム>ダム湖の様子(平成27年4月26日現在)

2015年04月26日 | 辰巳ダム
 平成27年4月26日(日)13時頃の様子である。
 20日から21日にかけて、犀川ダムで41ミリ、辰巳ダムで31ミリの雨があり、流量にその影響が少し残っている。貯水位は、108m(水深11m)程度に。整正工の天場が少し冠水したか。その時に、スクリーンや小段に引っかかっていた小枝やカヤなどの植物残滓が洗い流されたようだ。4月4日の出水(最高貯水位110.35mとなり、13.35m湛水)で堆積した残滓は大分減ったが、まだ、スクリーン上に大量に残っている。
 4月26日13時現在(石川県河川総合情報システムによる)
  水位 98.35m(水深1.35m)
  流量 6.82m3/秒
  貯水量 17千m3(目視で半分以上は土砂が堆積しているので水の占める分は7千立方メートル、土砂は1万立方メートルといったところか)

【写真1】堤体上からダム湖を望む


【写真2】スクリーンの残滓

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辰巳ダム裁判>長野県の浅川ダム裁判の判決

2015年04月24日 | 辰巳ダム裁判
信濃毎日新聞ニュースより

浅川ダム訴訟 請求棄却 公金差し止め認めず 長野地裁判決 04月24日(金)
 県営浅川ダム(長野市)の建設に反対する県民約400人が、同ダムの建設は無駄な公金支出を禁じた地方財政法などに違反するとして、県に公金支出の差し止めなどを求めた訴訟の判決で、長野地裁(石原寿記裁判長)は24日、原告側の請求を棄却した。

 原告側は訴状などで、同ダム建設地直下の断層は地震を引き起こす「活断層」で、「地割れなどが起きてダム崩壊の危険がある」と主張。一帯には地滑りの危険があり、十分な対策が取られていないとした。

 また、ダムの必要性や規模の根拠となる洪水時の想定最大流量「基本高水(たかみず)」も、県が示したのは実測された流量ではなく、流域の面積や降雨量から推測した流量で「過大」と指摘。県に公金支出を差し止め、阿部守一知事と、着工当時の村井仁前知事に県がこれまで支出した計約85億6千万円を返還させるよう求めていた。

 これに対し県側は、浅川ダムは「治水対策上の必要性があり、危険性もない」と反論。断層の安全性は確認し、地滑りについても十分な調査と対策を行ったと主張した。基本高水についても「国の基準に基づいて算出しており、過大ではない」としていた。

 同ダムは、通常時は下部の穴から水を流す「穴あきダム」方式で、村井前知事当時の2010年3月、本体工事に着工。阿部知事が12年3月に最終的に建設継続を決め、本体は昨年7月に完成、現在は地滑り対策工事などが進んでいる。



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辰巳ダム裁判>七周年集会の講演会の案内について

2015年04月22日 | 辰巳ダム裁判
 八ッ場ダム訴訟で大活躍の関 良基拓殖大学准教授をお迎えして辰巳ダムの問題点を解説していただきます。
時間と場所は、平成27年4月25日(土)13時30分~15時30分、近江町交流ブラザ(近江町市場ビル4階)です。

 前回、3年前の平成24年7月8日に辰巳ダム裁判4周年集会では、「過大な想定洪水と基本高水」というテーマでご講演いただきました。講演の中で、過大な基本高水の決定に、貯留関数法の定数(飽和雨量)と係数の問題がかかわっているということで、森林保水力問題が中心でした。

 今回は基本高水をわかりやすく説明していただいた後、中規模洪水から構築したモデルを大規模洪水に当てはめると過大になるという点を中心にお話していただき、犀川の基本高水も正しいパラメータを導入すれば大幅に引き下がるだろうという点まで話していただくことになっています。

 ところで、基本高水を決定する方法は、簡潔に表現すると、つぎの3段階です。
 ①雨量記録から100年確率の雨量を求める
 ②流出計算法で雨量からピーク流量を算定する
 ③ピーク流量群の最大値を採用する
 辰巳ダム裁判では、①と③は俎上にあげていますが、②については力不足もあり、議論はしていません。これは、裁判にかかわらず、辰巳ダム問題点として残されているものです。

 ②の流出計算法とは、辰巳ダムでは「貯留関数法」のことです。この方法の問題点も明らかになり、基本高水問題の議論も進化しています。関先生ご自身も故宇沢先生編著『社会的共通資本としての川』に続き、『社会的共通資本としての森』、さらに『社会的共通資本としての水』を出されました。これらのことを受けつつ、今回は、辰巳ダム裁判7周年の機会に、「過大な基本高水」について再び教えていただきます。

 辰巳ダム裁判控訴審の控訴理由を一言でいえば、なぜ過大な基本高水が算定されるかです。治水ダムは過大な基本高水で造られています。辰巳ダム計画では、内川ダム時点で基本高水1600でしたが、1750としたために、ダムが必要となりました。

 もし、流出計算法(貯留関数法)の計算で150を過大に計算されているとしたら、この指摘だけでダムは不要ということになります。

 辰巳ダムは完成しましたが、辰巳ダム問題はそのまま残っています。石川県の治水、のみならず今後の日本の治水問題を考える上で、辰巳ダム裁判で蓄積した議論は、いわば「社会的共通資本」と言えるかもしれません。辰巳ダム裁判では、科学的合理性を隠れ蓑に、各段階で安全側をとり、これが積み重なり、実体とかけ離れた過大なものになっていることをデータで示しても、合理性がないとはいえない、行政の裁量判断に委ねられている、結局は大きい方が住民の安全のためにいいのではないかという裁判所の判示に対して、説得力がもうひとつだったかもしれません。しかし、犀川では現在の過去100年間の記録を集めても、犀川大橋地点で流すことができる流量を超えたことはありません。つまり、犀川ダムも内川ダムも辰巳ダムがなくても氾濫しないのです。1つくらいは治水ダムがあっても安心のためとも考えますが、3つもいらないのは当然でしょう。なにごとも行政まかせではなく、より安全で安心できる社会実現のために、県民、国民の一人一人として学んでいくことは大切なことだと考えます。
 是非、ご参加をお待ちしています。

中 登史紀
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辰巳ダム裁判>辰巳ダム裁判週間、応援企画-辰巳ダム視察と春の山菜採り

2015年04月21日 | 辰巳ダム裁判
 明日、22日水曜日、午前10時から
 辰巳ダム現場付近で「春の山菜採り」を実施します。
 ナチュラリストの上村彰さんが山菜採りの指導をします。
 採取した山菜を現場で天ぷらにしていただきます。
 自由参加、歓迎です!


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