場所・岡山県笠岡市金浦
開催日・旧暦5月5日(再開後は近い日曜日)
「おしぐらんご」は、
廃止前に一度見に行ったことがある。
再開後の「おしぐらんごは」、
10回くらいあるかな。
その差(廃止前と再開)は、とても比較にならない。
廃止前のおしぐらんごは、
本気で櫓こぎ合戦をしていた。
たとえ汚い手をつかおうと、何をしようと、
とにかく”勝つ”、
”負けられん”
それが「おしぐらんご」だった。
そういう元気や迫力は、漁師町ようすなの猟師や町民だけでなく、
見物に訪れる人にも伝わり、
競漕とお祭りが一体となった初夏の、一大イベントだった。
漁師町西浜(ようすな)は、おしぐらんご廃止後は
ころがるように町も人も、元気と活気を失っていった。
高度経済成長期、
密集した市街地を形成していた金浦は時代に取り残された。
漁師町・金浦であったが、
漁業は消滅し、漁師はいなくなった。
今は「保存会」の皆さんたちの努力で再開し、
伝統文化財として毎年開催されている。
何事もつづけることに意義がある。
がんばれ、”ようすな”のオシグランゴ。
・・・
「岡山県史・民俗編Ⅱ」 岡山県 昭和58年発行
旧五月五日 西浜(ようすな)オシグランゴ
旧五月五日に笠岡市金浦の西浜(ようすな)では
オシグランゴという漁船の競漕が行われていた。
その年に新造された四丁櫓の船を紅白の二つに分け、一艘に
漕ぎて四人、
舵取り一人、
旗振り一人、
の六人が乗り込み、
金崎の沖から港までの約一キロメートルを、
大勢の見物人の見守る中で競争するという威勢のよいものであった。
オシグランゴと同様な競漕は倉敷市児島田ノ浦や牛窓町でも行われ、
その他の漁村でも行われていたらしいが、
いずれも今はなくなっている。
・・・
「写真集・笠岡」 田中舜治 国書刊行会 昭和56年発行
ひったかとおしぐらんご
ひったかとは火を高くかかげることを意味し、
おしぐらんごとは、
櫓漕競争のことである。
いずれも毎年旧歴の五月五日に行われる。
おしぐらんごは昭和36年を最後に廃止され、
ひったかのみ今も残り、
毎年笠岡市金浦の夜空をいろどっている。
昭和54年文化庁から保存すべき民俗行事として調書が作られている。
・・・
撮影日・2023.6.18