大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

中国が誇る最大のソフトパワー「新版・水滸伝」を語る

2015-08-14 00:12:00 | Weblog
サッカーとは全然関係ない話題なんだけども、自分が最近ハマっているものについて語るのは、日中韓の関係(サッカーを含む)においても関わりがあると思うからだ。

一国のソフトパワーというものが直接的に軍事力・外交力・経済力に対して影響を及ぼすというのは考えにくい。しかしながらソフトパワーを通じてその国のことに対して関心を引かせるということは出来るし、それがひいてはその国の印象を帰る大きな武器になるということは日本の外務省も認識はしているだろう。その点で行くと、日本にはアニメやゲームといったサブカルチャーがあり、韓国には韓流が存在する。では、中国に何があるかっていうことなんだけども、現代の中国を素材として扱ったもので秀逸なものは筆者はあまり知らない。

どちらかと言えば中国の持ちうるソフトパワーは過去の遺産を現代において如何に加工して見せるかということに尽きるかもしれない。その意味で、中国4千年(中国人に言わせると5千年らしいがw)の悠久の歴史からくる伝統芸こそが、左右のイデオロギーに関係なく日本人が中国に惹かれる唯一の部分かもしれない。まあ、日中韓において、ソフトパワーというのは政治や歴史の問題から来る対立というのはひとまず置いといて、それはそれ、これはこれと分けて考えられる思考力を持たせてくれるのに非常に役に立つ。

その意味で、2011年に中国全土で放送された「新版・水滸伝」(以前放送された分は旧版とか央視版と呼ばれていて、これと区別する為に新版と呼ぶ)は、政治闘争に利用された文革時代とは違って、ようやく純粋に作品として楽しめるような作りになっていて、美男美女のキャスティング、そして香港映画なんか裸足で逃げ出すほどの武闘シーンと見どころが盛りだくさんではある。まあ、放送された直後に日本に渡って来ても、多分政治的な背景からして純粋に楽しめなかったとは思うけども、新版水滸伝さえ見れば、それはこれ、これはこれと政治と文化は分けて考えられるようにはなるだろう。

話は脱線するけど、昔三国志の登場人物と同じ名前でブログやっておられた人がいた記憶があるんだけど、その人がガンバのACLアウェイを見た後に中国が嫌いになったなんて感想を書いておられたのを見て、じゃあなんでアンタはその名前をって思ったんだけどw よく考えてみればその人からすれば、古代中国の歴史文化への憧憬の念と、現代の共産党政権支配下の中国に対して持っている嫌悪感というのは決して矛盾はしていなかったんだろう。

ところで、水滸伝の話についてもちょっと触れておきましょう。毛沢東に批判された宋江の招安なんだけども、宋江にしてみればいつまでもアウトローで突っ張るつもりはなかったわけ。というのも反対制というのを貫くにも現実的には4万人程度の兵力では、地の利を活かした梁山泊付近では朝廷からの討伐軍を打ち破ることは出来ても、北宋の首都東京まで攻め入るほどでもなかったわけ。これは、梁山泊の4倍以上の兵力を持ったの安禄山や黄巣なんかでも結局は平定されてしまった現実を宋江や彼を担ぎだして軍勢を動かしていた呉用はよく解っていた(特に江州で酔っ払った上に反逆の詩を書いてみせたように、宋江だって歴史をよく解っていた)。

つまり、梁山泊というものの落とし所を図っていて、それが招安に応じるということなんだけども、それに対する反発は好漢の間からは(特に林冲あたりから)あった。托塔天王晁蓋なんかもその一人で、彼が遺言に残したのは、案に宋江の帰順路線に対してチクリと言いたかったからかもしれない、という風に今になれば理解出来る。

いずれにしても、この新版水滸伝を見ようとあるときは銀河チャンネルで、またある時は中国語字幕付きだけども、ネット動画を漁ったりはしているわけです。それくらい色んなものが見えてきて面白い。