ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

名古屋へ行った日

2019-07-29 | Weblog
観る機会はほとんどないが、高校演劇は等身大の問題を社会に問う作品が多いように思う。
私の書くものはどれも、めまぐるしい社会の動きから外れたところにあって、ささやかな関係や置き去りにされた時間を惜しむような作品だ。
あまり高校演劇向きではないと思うのだけど、それでもたまに上演依頼をいただく。
その方たちはこの世界が好きと言ってくださる。うれしいようなくすぐったいようなう気持だ。

ひとつの作品を深く読み込み、自分のなかに落とし込み、舞台として作り上げるのは大変なことだ。私の書いたものにかかわってくださる方たちには感謝しかない。その方たちと会って、完成したものを観させていただくことは喜びだ。観に行けるか、行けないか、考える。日時、予算、興味、いろいろ考えてクリアできれば観させていただく。
愛知県にある誠信高等学校は2年続けて私の作品を選んでくださっている。

台風接近の大雨の中、名古屋へ向かった。
名古屋からJRで10分ほどの稲沢という駅で待っていると、若い女性が迎えにきてくれる。富澤さんという誠信高校で以前演劇部の顧問をされていた先生だ。会場まで案内してくださって、並んで観劇し、帰りも送ってくださる。車中でもいろいろ話が盛り上がって楽しかった。
台本を送ってくださり丁寧にメールで案内をくださった現顧問の仙田先生とも初めてお目にかかった。
仙田先生も富澤先生も、生徒さんたちから慕われている素敵な先生なのだ。
現実と幻想とが一緒になったわかりにくい世界を一生懸命演じてくれていた演劇部の生徒さんたちとも終演後お話しし、ビデオで知っていただけの去年の出演者のかたたちとも客席でお会い出来た。この年代って卒業して一年でこんなに変わるんだ。オトナっぽくてびっくり。

本当にみなさん楽しい時間をありがとうございました!

厳しいことを言えば、中ホールでマイクなしということもあるが、女性陣の声が小さく感じた。
緊張のせいかあせって早口になるところも多く、セリフが聞き取りにくい。
言葉をはっきり伝えるということは、感情をどう表現するかという以前に大事なことだと思う。自己満足ではなく、観る人にきっちりと伝えるということ。それを頭において稽古を重ねれば確実に進化すると思う。これからも勉強していってもらいたい。まだまだ若くて、時間はいっぱいあるのだから。うらやましいな。

大阪につくころには雨も止んでいた。夜は坂口さん達の二人芝居を観劇。こちらはまた熱量の高い、ビンビンにプロの仕事だ。面白いんだけど疲れているからつい目が落ちそうになる。するとそれを察知したかのように覗き込んでぐいぐいと迫ってくる坂口さん。しつこい。さすがこれが観客を飽きさせない手だな。目がさめた。

ということで、名古屋~大阪2イベント、私としてはいつになく頑張った1日だったのでした。








本が好き

2019-07-21 | Weblog
劇団大樹の川野さんの狂言コラムを読んでいたら、「学ぶ」は「真似ぶ」といって、狂言の世界ではひたすら師匠の真似をすることで稽古を進めていく。師匠の姿を鏡(手本)とするので、稽古はすべて1対1で行われる。というよなうことを書かれていて、興味深かった。

考えたら、読書も1対1の関係だ。
小さなころから本が好きで、私は本の真似をよくしていた。
子供の頃は好きな絵本を真似て手作りの絵本を作っていたし、
中学生になって自分で創作するようになってからは、同じ内容を、何人かの好きな作家ならどう書くだろうかと考えながら、それぞれの文体を真似して書いてみたりした。
文体に癖があって、その人らしいと思える文章を書く作家が好きだった。

本っていつでも読めるし、大きさや形や手触りが色々で、読んだことがある本でも、好きな本が違った装丁で出ていたらまた買ってしまうし、読みながら自分の世界に飛んで遊ぶことも出来る。

最近、なんとか本を減らそうと段ボールにいくつかまとめて図書館に寄贈した。
寄贈する本はきれいじゃないといけないから、買ったけどあまりあるいは全然読まなかったものばかりだ。
気に入った本は、お風呂で読むことが多いからぶよぶよになっているし、書き込みはするし、栞の無いときは折ってしまうし、どれもあまりきれいではないのだ。
そういうのは寄贈もできないけど、愛着があるから捨てることも出来ない。
結局、私の本棚はあまり整理されないままということになる。

本という形が好きなので、自分の書いたものを製本してもらうとうれしくなる。
上演台本という形にしてもらえるのもうれしい。

先日、「ポプコーンの降る街」が、素敵な手作りの上演台本になって送られてきた。
愛知県の誠信高等学校の演劇部からで、7月27日が本番だ。
去年は恋ごころのアドレスを上演してくれていたので、今年も私の脚本で勝負してくださるのだ。
がんばってほしいなと思う。
なので、今年は名古屋まで観に行きます!