ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

インプロのお芝居のこととか

2012-08-27 | Weblog
10年ほど前に、「詩のボクシング」という企画が盛り上がっていて、その全国決戦大会がテレビで放映されていたりしていた(今でも企画自体は続いていると思うのだけど)。
自分の書いた詩を自由な読み方で読んで、ボクシングのリングのような所でトーナメント方式で戦ってジャッジされて勝負が決まるというもので、最終決勝戦ではその場でいきなり題を与えられ即興で詩を作って読んでいた。
静かに届ける声、エネルギッシュな叫び、人目を引くパフォーマンス、老若男女がそれぞれの形で自作の詩を表現していて、観ていて面白かった。
でも、私自身はこんなおそろしいことは絶対に出来ないと思っていた。
人前で自分の書いたものを読むなんて、その上ジャッジされるなんて、そんな恐ろしいこと!

大きな劇団に作品を書かせてもらった時にも、読み合わせというものがあって、役者さんたちの前で読んでくれと言われたことがあった。私にはそんなことは出来なかったので、代わりに演出家に読んでもらっていた。
演技のプロの前で読むなんて、そんな恐ろしいこと!

なのに昨日、インプロ(即興)のお芝居を観て、怖いけどちょっとやってみたいなと思ってしまった。人って変わるもんだ。
アトリエ劇研で上演されたトランク企画の「窓」。
ストーリーは決まっていなくて、いきなりその場で観客に題をもらって芝居を作っていくというものだ。何がおこるかわからないわくわく感やハプニング性もあって面白い。
考えたらインプロって誰でもがしていることだ。人は普段相手の言葉が次にどう出てくるかなんてわからないところで生活しているのだ。
インプロの訓練は相手の言葉を聞く訓練にもなるし、表現力を身につける訓練にもなる。教育の現場でも最近盛んなようだ。
でも、わざわざお芝居にして観せるなら思いがけないものを観せてほしい。
昨日のインプロのお芝居は、面白かったけど観ているとちょっといらいらした。なんであんなわかりきった方向に行くんだろうとか、もうちょっと気の利いたセリフは出てこないのかとかいちいち思ったり。でも実際、自分が舞台に出てたら、舞い上がって何もしゃべれなくなってるにちがいないので、あまり偉そうなことは言いません。
普段木で鼻をくくったような返事しか返ってこない酒井君にしたら、昨日はよくやっていたと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・

私って子供のころから閉じこもりで損をしてきたなあとつくづく思ったのが一昨日。
昼間観たヤザキさんたちのワークショップの発表会では、子供たちは生き生きとダンスやお芝居に参加していた。
私が子供のころにしていたのは、一人遊びばかりだった。
一人で絵をかいて、詩を書いて、縄跳びをして、フラフープをして、かくれんぼをしていた。一人じゃない時もあったけど、誰と一緒で楽しかったということはなくて、ただ私はこんなことをして楽しんでいましたという記憶しかない。友達を必要としない子供だったのかも。これってなんだか孤独。
人になつかなかったので仲間外れにされていたのかもしれないけど、そういうこともあまり記憶にない。
ただ、今現在の私自身は、孤独もいいと、どこかで思っているところがある。
仲間と一緒に何かできる子が喜ばれるけど、一人で遊んでそれで満足している子も、それはそれでいいんじゃないかと思う。

人生は人それぞれ、それなりのやりかたで楽しく生きていけばいいのだ。

写真は一昨日の夜に行った中崎町のコモンカフェ。ラパン寄席で落語をする瓦屋一六八こと元りゃんめんの松本くん。
お芝居してた時よりも生き生きしていたように思いました。














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大衆歌謡お芝居ショー「わたしの青空」

2012-08-19 | Weblog
私、大衆○○とか昭和演歌や歌謡曲の世界が、ほんとに苦手。
でも母に言わせると、赤ちゃんの頃一番喜んだのが、父親に連れて行かれた新世界のストリップショーで、幼稚園の頃は、役者狂いのおばあちゃんに連れられて、女剣劇や旅芝居に通っていたそうだ。赤ん坊や子供にそんなものをみせるなと言いたい。
音痴の私はカラオケも大嫌い。なのに母はカラオケ大好き。美空ひばりの大ファン。歌も上手。この間も地区のお祭り(私はお祭りも大嫌い)に駆り出されて、百人くらいの前でワンマンショーをやっていたと、老人会の会長さんに教えられて唖然としてしまった。

そんな私がシアターワークそらまめの大衆歌謡お芝居ショー「わたしの青空」を観に行ったのは、ひとえに星みずくの相棒・酒井くんが出ているからだ。
美空ひばりの曲が4曲入ると聞いていたので、ためしに母を誘ってみる。案の定大乗り気。暑い時期は外に出るのも嫌がるくせに、絶対に行くという。
行く途中「どこに行くの?」と何度も聞く(認知症で今話したこともすぐに忘れてしまうのです)。
「美空ひばりの歌聴きにでしょ」「聴きたい!」「しんどい?」「しんどくない!大丈夫。でも、どこに行くの?」「だから、美空ひばりでしょう!」「ひばりが来るの?」「来るわけないでしょ!」
なんてとんち問答みたいな会話を交わしながら二時間かけて(とろとろ歩きなので時間がかかるのです)豊中の伝統芸能館に向かう。
酒井くんのすっとこどっこいなドタバタ演技に、一度目はショックを受けた苦い経験のある私。
今回はばかげた帽子が少し小さくなっているなと冷静に思う。
前回、ダンスが上手なように見えたのは錯覚だったんだろうか。それともヤザキさんのダンス教室に通うようになって(といっても習っているのはダンスではなくヨガなんだけど)
私の目が肥えてきたのかもしれない。下手でした。
横にいる母をみると、手拍子打ち鳴らしてもうほんとに楽しそう。

夜、母が私のところにやってきて、「連れて行ってくれてありがとう」と可愛くのたまう。
シアターそらまめさん、私からも感謝です。楽しい舞台、ありがとうございました!









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フジハラビルにて

2012-08-11 | Weblog
演劇農耕者(ドラマチックファーマーズ)の麻由子さんから10周年企画企画公演「星祭り」の案内が届く。場所はフジハラビルの地下。
思えばこの古いビルの4Fで、星みずくの公演を二年続けてやったのだ。
建物の前に立つといろんなことを思い出して懐かしさがこみあげてくる。
久しぶりに見るフジハラビルは、やっぱり愛らしい。

お祭り公演というだけあって、和太鼓あり篠笛あり朗読ありお芝居ありダンスありとサービス満点で盛り沢山。役者さんたちの舞台への愛と熱気とウキウキ感が、むんむんと伝わってくる。
麻由子さんなんて赤ちゃんを産んでまだ一年もたってないのに、学校の先生という大変な仕事だってあるのに、舞台に立つその体中から「私は芝居が大好き!」という溢れんばかりの思いがはじけている。
私がこの劇団でひそかにファンなのが作家の三宅由利子さんだ。
書くものも好きだけど、会場でテキパキとスタッフワークをこなしている姿にはいつも感動する。うろちょろするだけの役立たずの作家(りゃんめん時代の私のことです)とはえらい違い。

今回は星をキーワードにした短編集だった。
なかに二つの朗読作品があって、一つはいわゆる朗読。もう一つはお芝居のような朗読。
お芝居のような朗読だと、本を手に持っていることが不自然に見えてしまう時がある。覚える時間がなかったのかしら、と思ってしまったりする。

ドラマ・リーディングの演出って、すごく難しいんじゃないかと思う。
ラジオドラマだと耳からの情報だけだからあとは想像にお任せということになるけど、
舞台上にいる役者さんを見てのリーディングとなると、耳からの情報にプラスされるものがどういうものかによっていろいろ変わってくる。
コストがかからないから、セリフを覚えなくていいからという理由でのリーディングは、中途半端感が否めない。
それでも本で読むよりも舞台に近くはなっているし、音楽や照明や装置や衣装が自分がイメージするものと重なればもっと想像は膨らむ。

私は役者さんが簡素なセットでただ物語を聴かせるという企画も結構好きだ。
その人の声や姿から物語世界を想像する。語り方。物語と語り手のイメージの重なり。いろんな要素で楽しめる。ただし、その役者さんが自分好みということが大前提になる。
好きなら、ただそこにじっと座って語っているのを聴いているだけで楽しい。でも、嫌いなら家で本を読んでいたほうがずっとまし。
おまけに出不精。気になる舞台も誘われないと腰をあげない。

そういうわけで行けば楽しいだろうなと思いつつ、たいていは家で本を読むほうを選んでしまうのです。
今回は、行ってよかった(^^♪




























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