ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

額装された詩

2017-07-02 | Weblog
12月の「絵葉書の場所」の舞台に一枚の絵を飾る。
私が描かせてもらうことになって、四苦八苦して、先日ようやく描き上げた。
その絵をチラシに入れ込みたいとうことで早速東京に送る。

絵を収める額縁がないかなと家を捜していた時、目についたのが、伯父の詩が額装されている古い額縁だった。
昔は祖父母の家にあったものだけど、伯父の手になる英語の字体や添えられた絵がとても好きだったので、祖母の死後、私がもらったものだ。
額から詩を外して、自分が描いた絵を入れてみると、なにかぴったりの雰囲気で、芝居の設定では古すぎる気もしたけど、舞台で使ってもらいたくて一緒に東京に送る。

外したあと、大切な詩はとりあえずありあわせの別の額に入れて、あらためて読んでみる。

Let It Be Forgotten という題名の詩で、作者は SARA THASDALE とある。
英語の詩なのだけど、いままでちゃんと訳したことはなかった。
いまさらだけど、作者をネットで調べてみる。
英語をそのまま打ち込むと、サラ・ティーズデールと出てきた。
1884年8月8日生まれのアメリカの詩人で、亡くなったのは1933年1月29日。
睡眠薬による自殺とあった。睡眠薬による自殺?叔父と同じだ。
解説によると、サラ・ティーズデールという人は、愛や自然や死を書いて、20世紀末に人気があった詩人だそうだ。韓国ドラマ「冬のソナタ」の劇中にその詩人のThe flightという詩が引用されてたこともあって注目されたとあるが、伯父が亡くなったのは50年以上も前だ。

伯父はこの詩人の詩が好きだったのだろうか?
読んでみたいけど今は日本語に訳された詩集は出版されていない。
伯父に興味を持っていた私は、昔から伯父のことが知りたくてしょうがなかったのだけど、祖父母も妹である母も、伯父がどんなものを書いていたかとか、どうして自殺をしたのかとかは、余り語りたがらなかった。というより、わかってなかったようだ。
祖父母は伯父が死んだあと、残された膨大な原稿を読まずにみんな燃やしてしまったというし、母も伯父の失恋について少し知っていただけだった。失恋と言ってもほんとうに片思いだったようだ。

サラ・ティーズデールという詩人には、生涯、文通だけのプラトニックな恋人がいたそうだ。その恋人が自殺した二か月後にサラも自殺している。
なんだかこの詩人のことをもっと知りたくなってきてしまった。

伯父さんの大事な詩が収まった額縁をはがしてしまって、いいんだろうかとふと思ったけど、でも、これも大事な舞台で使うんだし、事後承諾で申し訳ないけど許してもらうことにする。
伯父さん、ごめんね。ちょっとの間、貸してください。

(写真は、とりあえずの額に収めた伯父が描いたサラ・ティーズデールの詩です)

……………………………。

劇団大樹&星みずく共同プロデュース「絵葉書の場所」は12月6日~10日。
詳細は、
劇団大樹HPや、私のHPから観てくださいね!




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