ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

ヴィラ九条山のオープンスタジオ

2017-06-25 | Weblog
ヴィラ九条山は、京都にあるフランスがアジアに保有する唯一のアーティスト・イン・レジデンスだ。
そこに滞在するアーティストたちの作品を展示・公開・プレゼンテーションするという趣旨で開かれたのが6月24日のオープンキャンパスで、私の目的はそこで行われるヤザキさんのダンスパフォーマンスをみることだった。

地図をみたらなんだか山の中のようで、場所もよくわからず、一人で行くのはちょっと不安だった。
何人か誘って、ありがたく付き合ってくれたのがタミーさんで、車で行ってもいいわよということだったのだけど、先方に駐車場がないというので、東山三条のパーキングにタミーさんの車を預けてタクシーを拾った。

そこからだと10分くらいだろうと思っていたのに、なんだかいつまでたってもたどり着かない。どうやらタクシーの運転手さんが道を間違ってしまったようで、山科まで行ってしまい、住宅街に迷い込んだ挙句、狸に騙されたみたいにまた元の場所に戻ってしまった。
申し訳なさそうにメーターを切ってくれて、再度挑戦し、ようやくたどり着いたのは、やはり結構な山の中で、帰りはどうなるんだろうと心配しつつ、とにかく中に入る。

こじんまりとした入口からは想像もできないような立派な建物だった。芸術的なホテルか小さな美術館といった雰囲気で、さすがフランス、文化芸術にお金をかけるのだ。
時間の関係で一部しか見られなかったけど、19時30分からのパフォーマンスが始まるまで、いくつかの作品や部屋を観てまわった。

お目当てのパーフォーマンスは、写真の一番上にあるテラスで行われた。
ラファエル・ライン&アンジェラ・デタニコという2人のビジュアルアーティストが作ったプロジェクターを背景にヤザキタケシさんがダンスをするというものだ。
以前に、京都芸術センターでもその2人の作品とヤザキさんとのコラポを見せてもらったことがあった。
言葉を造形的、音響的・視覚的な形に作り替える試みを行っていて、文字が言葉であると同時に象徴性を持つアートになっている。
プロジェクターには北園克衛の詩が断片的に映し出され、それを読むヤザキさんの声と肉体が交差する。
いつも思うのだけど、ヤザキさんのダンスにはドラマというか物語を感じる。
静寂と破壊、闘争と受容、邪気と無邪気。心に呼び起こされるいろんなもの。
そんなものを感じさせてくれるダンサーさんは稀有だと思う。
それは夕暮れから暗闇に変わる時間帯の、素敵なパフォーマンスだった。

帰りは歩いて山を下りて行った。途中、イノシシの集団がドラドラと走り回っているのに出会って驚いたが、すぐに大通りに出て、10分も歩けば東西線の蹴上の駅だった。
あのタクシーの運転手さん、やっぱり狸に騙されていたのだろうか。


コメント
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