ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

ダンス甲東園~nitte~マノン~繕い裁つ人

2015-02-15 | Weblog
先週末、星みずくではアコーディオンでお世話になっているダンサーのみーちゃんから案内をもらって、「ダンス甲東園」という催しを観に行ってきた。
年齢もダンス経験も問わずの19人の出演者たちがひとつの作品を作り上げるという公演。以前星みずくの公演を観に来てくださった亜由子さんも小さな息子さんと一緒に出演していた。響心くん、一生懸命で可愛い。大人たちに交じってちゃんとプログラムをこなしていたのには感心してしまう。
出演者たちの楽しい気分が、観ている私たちにもストレートに伝わってくる。
観終えた後、とてもほんわかとして、そのままあたりを散歩したくなってしまった。

場所は「阪急電車」という映画の舞台にもなっていた阪急今津線の甲東園。
前に雑誌でみて行ってみたいと思っていたお店がたしかこのあたりにあったと思い、スマホで調べたらとても近い。

まずは西宮北口にある「nitte」というお店へ。
ここにはビンテージも含めて、毛糸やボタンや布やリボンや、もう可愛いものがいっぱいで、作りたい気持ちがむくむくと湧いてくる。作るといっても、私に出来るのは既製品のリメイクとかカスタマイズ程度だけど。古い布やボタンはみているだけでも楽しい。
皮製のボタンを買って、姉妹店の「マノン」の場所を聞く。なんと、甲東園にあるというので、また甲東園まで舞い戻る。駅から教えてもらった方向に向かって歩くのだけど、なにせ方向音痴の私、なかなかたどり着けない。途中喫茶店に入ったりして、ぶらぶらと捜しながら歩いていく。坂道をどんどん登っていくと街が見渡せて、こういう景色って神戸っぽいなあと感心したり。なんてしている場合ではない。お店は6時に閉まるのだ。
散歩風の男性に仁川学園の場所を聞く。お店はそのそばにあると聞いていたから。
「仁川学園なら…」と彼の指差す方向を見ると、はるか下。こんなに上ってきてしまったんだとため息。親切にも一緒に近くまでついて行ってくださる。

さて、ようやく「マノン」に到着。小さな一戸建てのお店だ。看板もひっそり。おそるおそる入口を開けて、「やってます?」なんて失礼な質問をしてしまったのだけど、優しそうな店主さんがどうぞと迎えてくれる。
洋服や食器や小さな人形やブローチやレースや、一つ一つのセレクトがなんとも可愛い。階段を上がって二階にもたくさん。いろいろ欲しいものがあったけど、黒とオレンジ色の小さな造花を買う。これと余り毛糸や布を組み合わせてコサージュを作ろうと思う。

へたな創作意欲が出てきたところで、「繕い裁つ人」という映画を観に行く。
とてもきれいな映画だ。いやな人は誰も出てこない。事件もおこらない。特定の地名は出てこなかったけど、撮影場所は神戸だ。
映画をみて、子供の頃のことを思い出した。
二階に下宿していたとみこさんという仕立て屋さんのこと。きれいな人だったけど、分厚い眼鏡をかけていて、いつも布に目をくっつけるようにして裁縫をしていた。
私は小学校の卒業式に着る洋服をとみこさんに作ってもらった。
シンプルな黒のワンピースだった。地模様の入った薄手のウール生地で、首の周りに同じ布で作った小さな薔薇の花がびっしりと縁取りされていた。ものすごく細かく丁寧な仕立てだと母がしきりに感心していたのを覚えている。
でも、レースもフリルも何もついていない黒一色のワンピースが、私は不満だった。友達が着ていたような可愛い服が着たかった。
現物はもちろん、写真も残っていないその洋服が、今はとても懐かしい。

(写真はnitteとマノンのショップカード、ダンス甲子園のチラシ、白い箱はダンス甲子園の出演者からお客さん全員に配られた小さなプレセントです)