ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

リリーエアライン「べにばらちゃんとしろばらちゃん」

2013-09-28 | Weblog
だいたいが人見知りで出不精なたちなので、行ったことのない場所で、行ったことのない劇団がやるお芝居を観に行くなんてことはあまりない。
そのあまりないことをやったのが半年ほど前のリリーエアラインの「赤いろうそくと人魚」で、チラシとキャプションを見てどうにも観たくなって行ったのだけど、それがあまりに素敵だったので、今回も観に行ったのだ。

で、どうだったかというと、もうもう、前回以上に素敵なお芝居だった。
ギャラリーの真っ白な空間に同名のグリム童話の絵本を思わせるような赤と白と黒に統一した衣装。でも、ストーリーは作・演出の遠坂百合子さんのオリジナル。
チラシには「散らかったエピソード集」と書いてあったけど、どのシーンもすとんと心に落ちてくる。シーンとシーンのつなぎ目も見事。普段、頭のなかでいろいろな考えがあっちへ行ったりこっちへ行ったりして連想ゲームみたいに移っていく感じを、私もよく文章には書くのだけど、遠坂さんはそれをそのままの形でお芝居にしている。

お話は「普通って何?」が全体を通じてのキーワードになっている。
ゴキブリの普通。ナメクジの普通。アライグマの普通。いとこのまゆみちゃんの普通。マルクス主義者だったおじいちゃんやおばあちゃんの普通…。
ある人の普通はほかの人にとって普通じゃない。
普通の人になりたいべにばらちゃんは、一方ですごい人にもなりたいのだ。
いろんな人(動物)がいて、それぞれが矛盾を抱えて、悩んで、でもそれぞれが自分らしく前を向いて生きている。ラストシーンで踊るべにばらちゃんとしろばらちゃんの決意表明にも似たダンスは、涙が出るほど素敵だった。
べにばらちゃんを演じた佐々木ヤス子さんは、可愛くて個性的でいい女優さんだなあと思っていたら、あのダンスだ。役者さんじゃなくて、ダンサーさんだったのか!?と思ってしまった。
遠坂さんは役者さんの魅力を引き出すのがとても上手いと思う。前回の福田薫さんも素敵だった。
今回は1時の回を観て、3時の回も観てしまった。二回目は半額にしてもらえた。

写真は、上念さんがfacebookで紹介されていたピスタッチオ時代の遠坂さんのポスターからお借りした。遠坂さんは素敵な女優さんでもあるんだ。



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彼岸花

2013-09-20 | Weblog
この季節になればいつもマンションの池の周りに10本ほどの彼岸花が咲く。
私の秋は、つくつくぼうし、鈴虫、彼岸花という順番に来る。

気になって目が離せないくせに、好きなのか嫌いなのかわからない花なのだ。

曼珠沙華という別名は知っていたけど、調べてみたらその他にもいろんな異名があるようだ。
死人花、幽霊花、地獄花なんて呼び名は、古くから不吉で忌み嫌われていたことを連想させる。
その反対に、天上の花と言われて、めでたい兆しとされることもあるらしい。
葉と花が同時に出ないことから、「葉は花を知らぬまま花を思い、花は葉を知らぬまま葉を思い」というところで相思花とも言われている。

摘んで持ち帰りたいとは思わない。触れたいとも思わない。でもいつも見入ってしまう。

埼玉県の巾着田というところに、5万本もの彼岸花が群生しているところがあるそうだ。
写真を見ても、美しいのか怖いのかわからない。

田舎のあぜ道なんかに咲いているくせに人を寄せ付けないところがある。
淋しげに燃えている。拒絶するように誘っている。
葉は毒にもなり薬にもなるらしい。

相反するものを同時に持っている彼岸花は、
やさしいふりした悪女のようだ。あるいはその反対。

やっぱり好きなのか嫌いなのかわからない。




























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触発されて

2013-09-07 | Weblog
「触発」とは、愛用の新明解国語辞典によれば、「何かの刺激を与えて・行動を起こ(その気に)させること」とある。

5月のわからん屋での星みずくのライブのあと、ひきこもっている私には、外に出ていろいろ忙しくやっている酒井くんがうらやましい。私も何かやりたいなあと思っていた。

この間、かばさんとお茶してた時、「一緒に朗読やろうか」と、ふと持ちかけてみた。
思えば、私が星みずくを立ち上げたきっかけのひとつが、かばさんの「ろうどっかい」だった。
かばさんは、私のHP「星みずく」を作ってくれている。最初の出会いは10年以上も前。私のお芝居を観に来てくれたことだ。メールでの熱いやり取りが続いた。
本の趣味やいろいろ似たところもあって話はつきない。いつまでたっても女学生といった感じの、この世知辛い世の中では生きづらい所のある人なのだ。

かばさんは、ずっとカフェで朗読活動を続けている。
初めて観に行った時はちょっと驚いた。へたなんだ(いや、当時はですよ)。お客さんも2,3人なんて時もあった。でも人見知りの女の子が、自分の書いた詩を、カセットデッキを傍らに、間にオカリナを吹いたりして、楽しそうに読んでいる。人前に出ることが恐怖だった私にとって、それだけですごいことに思えてしまった。でもその時はまだ私もやりたいとは思わなかった。

それからしばらくして、りゃんめんに松本君という男の子が入ってきた。松本君は出来ようが出来なかろうが、無鉄砲にやりたいと思ったことをやってしまう人のようにみえた。その松本くんが、いっしょにインターネットでドラマを作って発信しようと誘ってくれたのだ。
それまで書くだけだった私を、出演者として誘ってくれた人は誰もいなかった。
み群杏子は作家としてしか認識されていなかったから、当たり前なんだけど。
でも、やってもいいかも、いや、やりたいかも、出来るかも、と、その時、思ってしまった。

そういうことがあって、そのあと、病気になって入院して、命には限りがあるなあとかいろいろ考えて、やりたいことはやらなくちゃという考えが強まって、私は星みずくを立ち上げたのだ。

かばさん、松本くん、星みずくを立ち上げた時に相談に乗ってくれて片腕にもなってくれたかっきーさん、出演してくれたみんな、そして今一緒にやってくれている酒井君、いろんな人たちに私は触発された。
他にも観に行った芝居、ダンス、役者さん、ダンサーさん、触発はいろんな場面である。

昔から後ろ向きにものを考える私だ。今だって、考えてもしかたないことを考えて落ち込む。それでも出来るだけ前向きに生きていこうと思い直す。試行錯誤の毎日だ。

最近、一枚の絵に触発された。
友人の酒匂さんが描いた絵だ。暗いのに明るい。不思議な箱。おびえているような、それでいて何かを待っているような女の子。しっかりと箱にかかった右手。左手はドキドキする胸に当てている。
この絵をイメージした朗読をしてみたい。

……………


そんなこんなで、かばさんとの朗読会が決まりました。
11月16日。茨木にある月心庵というカフェです。
詳細は、追って後程!








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