ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

微熱の箱

2006-01-24 | Weblog
「微熱の箱」という本を出した。そういうタイトルの作品が入っているわけではなく、本そのものが微熱の箱という意味だ。奥付にこんな言葉を添えた。「いつもより少し熱のある日、いつもより少し胸の鼓動が早い。少しけだるく、少しものうく、そんな時、私は忘れていた物語を思い出す。胸の奥にしまいこんだままの箱。箱の中には、あの日の物語がねむっている」。
子供の頃から箱が好きだった。箱を持つのも、箱で遊ぶのも。オルゴール、クリスマスボックス、衣装箱、箱庭、観覧車…。
「コーネルの箱」という本がある。箱の芸術家、ジョセフ・コーネルの作品を集めた本だ。コーネルは古本屋や古道具屋で買い集めた本や小物を箱に詰めて、小さな宇宙を作った。コーネルの作った様々な箱は、心に抱えたいくつもの秘密の部屋で、その中に集めた様々なものは、すべて自己の象徴のようだ。
三月に上演する私の芝居にも、箱がでてくる。「カスタネットの月」という、ひとりの女の喪失と再生の物語。一人語りの朗読劇に仕立ててみた(詳細はみ群のHPに)。信頼する朗読者の佳葉さんが語ってくれる。どうぞ観にきてください。