ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

アルゼンチンババア

2007-03-29 | Weblog
よしもとばななの本はよく読んでいる。オリジナルな世界があるし、彼女の作品のなかには、宝石のようなことばがたくさんある。登場人物それぞれが持っている自分だけの価値観や幸せの形が、よくわかる。女の子は、喫茶店のような小さな店を経営していたりする。とても居心地がよさそうで、私はその店の常連になりたいなあといつも思う。この人たちの中に入りたいなあと。
アルゼンチンババアを読んだのは、4,5年前だろうか。映画になったというので、懐かしくなってもう一度本を引っ張り出してきた。街はずれの廃屋のようなビルに住んでいるひとりのおばさん。それがアルゼンチンババアと呼ばれているユリさんだ。読み返してみれば、魔女のようなわし鼻で、目は鋭いつり目でとがった顔つき、ぼろぼろの服と書いてある。あ、それであんなメークだったんだと、納得できた。アルゼンチンババアは、私のなかでは、やさしくきれいなマリア様のようなイメージで記憶されていたので、鈴木京香が演じていることにはぜんぜん不思議はなかったけれど、なんであんなメークなんだろうと、そのことが不思議だったのだ。
ばななの作品を映画化したものでは、「キッチン」が好きだ。おかっぱ頭の川原亜矢子がとても可愛かった。5,6回は見たと思う。映画のアルゼンチンババアは、観るかどうか、まだ決めていない。
最近人からユリの花をもらった。玄関に飾りながら、ユリの花の香りは、なんでこんなに甘いのだろうと考えて、またひとつ、ばなながアルゼンチンババアにユリさんと名づけた理由もわかったような気がした。
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チラシが出来ました

2007-03-19 | Weblog
4月の公演のチラシが出来上がった。チラシに関しては、今回は私の好みで作ってもいいということだったので、デザイナーの林みると君に直接会って話を聞いてもらった。私は「アメリ」という映画のパンフレットや、ささめやゆきさん、酒井駒子さんの絵本、他にも美術雑誌や服飾雑誌まで抱えていって、こういう雰囲気の絵が好きだとかこんな色を使いたいだとか、まるで、小学生のような注文の出し方をした。思いついて、「古いトランクから言葉や音符があふれ出ているなんて、面白くない?」と言うと、みると君は、「うーん、それはちょっと安易ですねえ」と言いながらも、じっと話を聞いてくれて、とても素敵なチラシに仕上げてくれた。みると君、ほんとうにありがとう。
公演は4月27(金)19時~、 28日(土)14時~ 19時~、29(日)14時~の4回。場所は玉出のヌーボースタシオン。予約はみ群かりゃんめんまで。詳細はりゃんめんにゅーろんのホームページで。みなさん、ぜひぜひ、観にいらしてくださいね。
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海のみえるカフェ

2007-03-17 | Weblog
疲れたなと感じた時、私はよく大阪港にあるサントリー美術館に行く。美術館に続く橋を渡る時、海の匂いがする。特別展の行われていない平日なら美術館は大抵空いている。売店がある。文具、画材、雑貨、美術・工芸・手芸の本。みているだけで楽しい。カフェに入る。一番奥の、海の見える席が空いていればそこに座る。突堤が見える。美しいとはいえない海がみえる。コーヒーを飲みながら、長い時間、歩く人や行きかう船を眺めている。気がつくと、癒されている。
売店に戻って「繕(つづくろ)ノート」という本を買う。古びたセーターや靴下の虫食い穴が、アート感覚でかがられている。しみの出来たスカーフは、しみの形を生かして絵を描くようにステッチでかがられている。どれも古びているもの独特の風合いが生かされていて、新品よりも素敵なものに生まれ変わっている。欠点や不具合を工夫して、素敵なものに変える方法はいくらでもある。人との関係も同じことなのかもしれないなと、あらためて思う。
少し明るい気分になって家に帰ると、普段会えない人からの思いやりのあるメール。「LaVie」という名のパソコンに向かって、私は笑顔で返事を書く。
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