ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

森蔭アパートメント 再び

2009-01-26 | Weblog
2007年にりゃんめんにゅーろんで上演した「森陰アパートメント」を、今年12月に劇団大樹さんが上演してくれる。上演にあたって、大樹版として改稿しようと作品を見直していた。
書いた頃のもろもろを思い出した。私は一度書いてしまったらいろんなことを忘れてしまう。ビデオを撮っていてもあまり見ないし、読み返したり思い返すこともあまりない。でも、必要があって読み直すと、その時考えていた別の設定や言葉などを思い出す。で、今回は思い立ってヒロインの職業を変えてみた。なにやら新しくなって、楽しくなってきた。
「森蔭アパートメント」は、私の書いたもののなかでも、自分のなかの(懐かしい)を刺激する作品だ。
出来不出来は別にして、「絵葉書の場所」という初期の頃の作品も、私の(懐かしい)を刺激する断片がいっぱいの作品だった。作法が未熟であれやこれや詰め込みすぎて整理のできていない作品だったけど、これもちゃんと読み返して手を入れてみたい。
私は作品を書く時に、まず場所をどこにするかを考える。
「絵葉書の場所」では喫茶店。「森蔭アパートメント」ではアパート。どちらも古くてぼろい。子供の頃、慣れ親しんだ風景の一部であるそういう場所に、私はいつも引き戻される。センチメンタリズムにひったっていては、何も生まれない。でも、自分の原点を無視しても、うそっぽいものしか生み出せないと思う。
今私が書くということは、その原点を抱えて生きている今の自分をみつめることでしかない。
大樹版では、題を「森陰アパートメント」から「森蔭アパートメント」に変えた。もともと初稿では森蔭だったのに、りゃんめんで改稿していくなかで、森陰に変わってしまっていて、私自身最後までまったく気がつかなかった。常々言葉にこだわっていると言っているくせに間抜けな私だ。
さて、大樹さんではどんなキャスティングで、どんな装置を考えてくるのだろう。それも楽しみだ。

(写真は前に森蔭のイメージの古いアパートを捜していてみつけたアパート。場所はたぶん京都の長岡天神。それと、京都大学近くの銀月アパートメントという有名なぼろアパートも森蔭のイメージでした。銀月アパートメントは、もう存在しないかも)。


星みずく二年目

2009-01-05 | Weblog
去年ユニットを作り、3月に「甘やかな十字架」というタイトルで、第一回公演を果たした星みずく。今年の公演は4月18日・19日に決まった。
今回の公演で、私が一番初めに決めたことは、私がかつて書いた詩をノアさんに読んでもらうことだった。その詩のことはずいぶん長い間忘れていたのだけど、ノアさんのライブを観た時に、あの詩を読めるのはこの人しかいないんじゃないかと、突然思ったのだ。
次に決めたのが場所。大正時代に建てられたというフジハラビルという不思議ビルの、4階のギャラリーを見せてもらった時に、ここしかないと、やっぱり突然思ったのだ。
長い時を経て古びた窓を、継母にいじめられたえびちゃんがシンデレラよろしく磨いている図や、屋上からサンデッキに続く螺旋階段を、月と星に照らされたノアさんが優雅に下りてくる図まで見えてしまった。
そこから全体の構成を考えて、登場人物を設定して、そうして書き始めた物語だけど、例によって、物語は考えていた方向ではないところに発展していく。でも、それはそれで面白い。詩も当初考えていたものとは別のもののほうがふさわしい気がしてきて、古い詩を引っ張り出して書き換え、元旦の夜、作品全体を書き上げた。
タイトルは「みみずく町異聞」。みみずく町という小さな町に埋もれた切ない愛の物語だ。
登場人物の語りの文体も、それぞれの個性に合わせて変えてみた。私がみ群杏子と名乗りだした頃の、そして良くも悪くも私自身が「もっともみ群杏子らしい」と思える作品にしあがった。これから公演までの間に、みんなでどんな形に仕上げていくのか、すごく楽しみだ。
今回の出演は、ノアさんの歌と詩に加え、ギター演奏のハルヒさん、語りはおなじみのえびちゃん、ときちゃん、そして新しくロッテさん、それからもちろん私(まだまだ読みは未熟ですが、星みずくには出演することに決めている私です)。
演出・音響・照明は、この人あっての星みずくであるかっきーさん。
進行状態はこのブログでも紹介していく予定です。

というところで、まずは、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します!