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蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

世界中で一番、信用できない人

2012-05-17 | 日々のこと

わたしは、世の中で一番、世界で一番、信じられない人物がいる。
それは、自分だ。

「自分ほど、信じられない人間が他にいるのか」
ということを昨日から今日にかけて、思い知った。


毎日携帯している黒いバッグに、いつも入れている貴重品袋の中に、
ちょっと前から入っている、通帳がある。
前々から気になっていた。
自分が入れていたのだけれど、入れた当初は、目的があって入れていた。

そして、サイフの中には、その通帳(T銀行)のキャッシュカードが入っている。
わたしは、ここ10年来、必要がない限り、キャッシュカードは持ち歩かないことにしている。
(サイフを紛失した場合の被害を最小限に、とどめておきたいから)

でも、そのわたしのサイフに、キャッシュカードが、2~3週間近く前から入っている。
ということは、自分で、なにかの必要があると思い、意図あって入れているわけだ。
(このあたりは、自分を信じている)

おまけに、サイフには、メモ用紙が入っていて、自分の字で、なにやら金額が書いてある。
おそらく、通帳を記帳して、出金しようという、自分の行動予定があったのだろう。
(このあたりから、だんだん、信用に、かげりが見え始める)

何日か、何週間か前、T銀行の前を通った時、
ぜひ出金しようと思いながら、別の急ぎの用事を優先し、その銀行の前を泣く泣く通り過ぎた。

それから何日かして自宅近くのT銀行のATMで操作しようとしたら、時間外だった。
銀行の預金利子のスズメの涙に比べて、手数料の高さが、あまりにも腹立たしいので、
ATMの画面に触れただけで、その場では、出金操作は断念していた。

それは覚えている。

さて、何日か経ったある日、余裕の時間ができ、いよいよ、いざ、銀行に行こう!!と、
やっと、念願の目的を果たした。
その時は、その銀行に行って、なにかATM操作をするんだ!!ぐらいにしかアタマになかった。
なので、サイフに入っていた、メモ用紙のままの金額をなにも考えず、すんなり出金した。

そこからが、自分は怪しい人物と化している。
さて、事務所に戻り、何の代金を引きおろしたのか、通帳にメモしておこう、と、
やにわに通帳を出し、ページを開いた。
あれっ?
なんの代金だったっけ?

思い当たるフシがない。
でも、どうみても、自分が書いた文字だ。
その書体には見覚えがあるし、メモ用紙は自宅でしか手に入らない。

そこから、わたしのアタマに血が上り、いっきに、空(から)のエンジンが火を噴いた。
ガソリンが空っぽのところに、いくらアクセルを踏んでも、焦げ臭いニオイと、異常音のみ。

あちこちの書類を引っ張り出したり、メモやノートを探し出し、目を皿のようにして見る・・・・
が、・・・わからない。

いったい、何月何日、なんの必要で、このメモを書いたんだろう?
正体不明の人物になって暗黒を彷徨う。

そんなバカな・・・59400円・・・こんなにきっちりとした数字。
けっこうまとまった金額。なにかの費用のはず。
こんなことを忘れる???

愕然、呆然としながらも、脳ミソのピントを合わせる。
記憶を辿る。

必死で、脳内にある手巻きねじを右回し、時計回りに巻いていく。


なに?なに?なに?なんだったんだろう・・・???

あっ・・・そうだっ・・・
なにかの税金に違いない!!

半ば、ほっとして、似たような金額の書類と照らし合わせるが、微妙に金額が違う。
がっかり。

いや、きっと、思い出す、思い出すに決まってるわよ、
と、無理やり鼻歌交じりに微笑んだりする、不気味な人物。
几帳面なわたしのことだもの、家計簿に記載しているに違いない。
家に帰れば、すぐわかるはず、と。

そのまま、(いつものごとく)楽観的ではあるけれど、中途半端なまま、夜を越えるが、
ちょっとアルコールが入ると、即、忘れて、
そんなこと、あったっけ?と、爆睡、快眠をむさぼる。


さて、今朝も、忘れていることを忘れて、快適な朝を迎える。

いつものように、パソコンの電源を入れ、ご機嫌よく作業を進めていると、突然、思い出した。
あっ、そうだっ、昨日の、あのお金!! 何代??

頼みの、信頼の家計簿を自信満々でチェックする。が、・・・ない。
そんな、ばかな。
お金には几帳面なわたしが、なんの証拠も残さず、金銭関係の処理をほっぽり出すわけがない。

あちこち、家の思い当たる場所を探しまくる。
冷や汗で、体温はぐんぐん上昇。

冷や汗効果もあってか、脳ミソが追い詰められ、記憶の焦点が合いだしてきた。
だいたい税金関係だと目星はついてきた。(税金も、あれこれ、いろいろ抱えている)
前にコンビ二のATMでM銀行から出金して、立て替えたカタチで、とりあえずその場で税金を払ったが、
税金関連として決めているT銀行通帳から引き出そうとしたのだ。
(このあたりは、へんに几帳面)

だが、関係書類がない。
いつもの税金関連書類ケースには入っていない。
振り込んだはずなのに、振り込んだ証拠がないということは、わたしは、振り込んでいない??
あれは、いつだった?
旅行に行っている最中に納税期限が来るから、急いで振り込んだはず・・・
あの振込用紙は、どこにいった???

信じるとか、信じられない、とか、そういう余裕の気持ちはまるでなく、必死。
確か、コンビ二で振り込んだはず。
その用紙は・・・レシートは??
どこ?どこ?どこ? ない。ない。ない。

脳のピントは、これ以上はもう合わない。もう無理。
すっかりあきらめていたが、まさか・・・と思い、毎日持ち歩いているバッグの底をさらえてみると、
そこに封筒を発見した。

なんと。
毎日、ずっと持ち歩いていたの? わたし。
で、それでも、忘れてる?

一気に人物像が、地に落ちた。
こんなに信用できない人間はない。
見つかったという安堵とともに、余裕が出て、さらに、自分への失望へと変わった。

「いつものことだわ」、と次回は、爽やかに探しているのだろうか。

そして、見つからない時は、
さらに深刻に進化した「信用ならぬ自分」に、我を失うのだろうか。

 

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最近のわたしの、マイブーム・キーワードは、「失念しました」です。
上品で、かしこそうで、ステキな表現だと、わたしは、いたく気に入っています。