常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

スマートウォッチ

2020年02月02日 | 日記
以前に買ったスマートウォッチが急に不具合になった。電源は通じるのだが、機能がどれも使えない。ネット通販だから、不具合をどうすれば改善できるか、連絡の方法も分からない。3000円程度であったから、スマートウォッチというのはこんなもの、と知るだけでもよかったかと諦めることにした。後継としてもう少し高くてもいいから、運動と身体の状態を知るために何がいいか。正直迷いに迷った。ネット通販のサイトやユーチューブを何度みたか、数えきれない。今度は買って失敗したくないからだ。予算もある。それほど高いものには手が出ない。

そして決めたのが、HUAWEI WATCH GT2スポーツ。昨日入手して、さっそくスマホとペアリング。心配をよそに、ハーウェイのヘルスケアというアプリをダウンロードするだけでスムーズに成功。腕につけて生活が一変した。歩数、心拍、GPS、睡眠の分析、ウォーキング、登山、ストレッチなどあり余る機能がついている。コンパス、高度計、スマホへの通知チェックなどこれらを確めるために先ず外に出る。いわば、スマートウォッチに背中を押されて、戸外で運動することになる。若いころは、やろうちと思ったことを継続して行うことが普通にできたが、最近はどんどん後ろ向きになっている。ウォーキングから階段登り、室内の筋トレと次第に運動の範囲が狭まっている。こういう状況に喝を入れてくれるのがこの時計ということになる。

GPSは今ではスマホで十分にできるが、スマートウオッチを持っていると、いちいちポケットから取り出すこともなく現在位置が確認できる。ラインのメッセージも、さっと腕を上げただけで目でみることができる。睡眠の管理も細かい分析が出来ている。目覚めた回数、深く眠った時間、総合判定も点数で知らせてくれる。座っている時間が長くなると、立ち上がることを進めてくれる。何よりも、心拍数がリアルタイムで表示されることが便利だ。登山中に決めている以上に心拍が上がればアラームで警告がでる。休憩をとるべき時期を見逃さない。

スマートウォッチなど必要ないという声が聞こえてくる。スマホを買ったときも同様であった。使いなれているガラ携で十分という人が大勢であった。ここへ来て、高齢者の人たちが次々とスマホを持ち始めている。家族も友人も、もはやガラ携の人が少数になった。セレブの人たちは、高級時計を求めてやまないが、老人の味方はこの便利なスマートウォッチであるような気がする。
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図書館

2020年02月02日 | 日記
昨日、県立図書館がリニューアルオープンした。新しい雰囲気が知りたくて出かけてみた。入館してすぐ左手に、円を描くようにカーブした木製の書棚が目につく。展示の仕方もすっかりモダンな感覚が取入れられ、随所に工夫が見られる。奥に進むと文学のコーナーがある。この日、知事のテープカットも行われ多くの利用者で賑わっていた。一階には子ども用の絵本もあり、子連れの来館者も多い。館内には落ち着いた雰囲気のBGMが流されており、以前のようなかた苦しさが薄れている。中庭が見えるロビーには、ベンチが置かれ、小鳥の遊ぶのを見ながら借り出した本のページを繰ることもできる。ふと、笹沢信氏の顔が頭に浮かんだ。たしか、「井上ひさし」の評伝を執筆中の頃であったとと思う。生前の氏と会って言葉を交わしたのは、ここが最後の場所であった。この春にこけら落としのある県民会館。老舗の百貨店の退場があったばかりだが、山形市に新しい息吹が感じられる。

粉川忠というゲーテ研究者がいた。ちょっとした病気で入院したベッドへ届けてくれた一冊の本、それはゲーテの『ファウスト』であった。最初、とりつき難かったゲーテが次第に身体にしみ込み、離れなくなっていった。ある日、友人から質問を受けた。「君はゲーテ、ゲーテというが、この人が日本に初めて紹介され、影響を与えてのはいつ頃のことだね?」何気ない、友人のこの一言が、粉川忠の一生を決める言葉となった。何故なら、大学の先生に片っ端から電話をかけ、図書館で関係がありそうな本をいくら当たってもこの簡単なことが分からない。最後には、図書館の司書の方の計らいで、書庫に入ることを特別の許可されがた。暑い夏が過ぎ、冬になっても多分明治10年ぐらいだろう、という見当はついたが決定打が出ない。「もう今日で終わります」と図書館に申し出た。

司書の方はやさしく「よく頑張りましたね。ここに和本が少し残っています。」といって出してくれたページを二人でパラパラと捲っているうちに、目についたのが「ジェルマンに於いてグーテ、フイシテの説出て、人心発り立ちし時なり」であった。この本こそ明治4年中村敬太郎が訳したミルの『自由の理』であった。この発見をした帰り道、粉川は星空を見上げながら虚しい思いに駆られた。たったこれだけのことを知るために費やした時間、己の無力を知らされた。しかし、彼の頭にふと持ち上がったのが、「そうだ、ゲーテの図書館をつくろう」という思いであった。それから、東京ゲーテ記念館ができるまでの苦難は、ここに書くゆとりはない。全くの無一文から、誰の援助も受けず、資金は自分で起こした事業の利益をつぎ込み、ひねり出した自由の時間でゲーテに関するあらゆる文献の蒐集につとめた。戦時下の空襲の被害を通りぬけ、戦後は神田の古書店を回り、ここで協力してくれる心強い支援者を得た。図書館にには、知られないたくさんのドラマがある。


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