福田の雑記帖

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書評 さだまさし作「解夏」 幻冬舎文庫 2003年

2021年05月12日 09時36分33秒 | 書評
 主人公は失明が必至の病、ベーチェット病に侵され、絶望の怒りと恐怖に向かい合うという「業」を背負っている。恋人と母と友人達の絶対的な愛に支えられ、運命を受け入れ、解放される日々を過ごす。
 物語の内容は映画評「解夏」にも記載した。

 数々の名曲を生み出したのみならず、筆者の文章はとても美しい。淡々としているのに読むものの心を震わせる。

 表題作のほか5編の短編が収められている。いずれの物語も素晴らしい内容である。
 
 (文庫本の表紙)

 余談(1)
 書評ではないが、私は旅行嫌いで、観光にも土地の味覚にもそれほど興味がない。特に九州は馴染みが乏しい。その中でも長崎については関心が大きい方である。

 亡母の話によると幼少の頃に一度何かの用事で長崎を訪れたことがあるらしい。
 その後、内科や血液学会を通じて30年ほど前に2回長崎市を訪れた。学会のことなど記憶は皆無だが、長崎市に関しては、平地が少なく坂道だらけの地形、夜景の素晴らしさ、歴史的な街として長崎出島、グラバー邸などが記憶に残っている。
 長崎チャンポン?はあまり美味とは言えなかった。
 中でも2回訪れた平和公園、原爆資料館は衝撃的で、広島のそれとともに機会があれば何度でも訪れたいところである。

 最初の訪問時には航空機が海面すれすれまで降下して長崎空港に着陸した。長崎空港は大村湾の中央付近、海岸から約2kmに浮かぶ世界初の海上空港として開業したが、その情報を得ていなかったためにこのまま海上に不時着するのかとさえ思った。

 長崎については10年ほど前だったか、吉村昭氏の戦艦「武蔵」建造に関わる著作を読んだことが機会となって、長崎について認識を新たにした。

 余談(2)
 内容的には映画で取り上げた病気とは全く違うが、私も進行性の視力障害の最中にある。視力検査の字や記号は全く見えない。両眼とも0.01以下と判定される。
 私の場合は白内障、緑内障などが原因なので治療しようと思えばできないわけではないが、私はあえて治療せずに放置し、徐々に進む軽度の視力障害の世界を楽しんでいる。焦点がずれていてはっきりは見えないが、だからこそ景色は美しく、夜景は綺麗、かつ女性は美しく見え、ネコは可愛い。見え過ぎるよりは総じていい感じである。

コメント
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