福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

皇位継承(1) 人間と認めるなら皇室に人権を認めよう

2021年05月02日 11時16分02秒 | 時事問題 社会問題
 安定的な皇位の継承のあり方を検討する有識者会議の初会合が先日開かれた。
 皇族数が減るなかで、皇室制度をどう維持するか、これは「国家の基本に関わる極めて重要な事柄」(菅首相の弁)であるが、従来は血筋、血統、伝統が前に立ち、敗戦直後出された「人間宣言」において昭和天皇は、天皇と国民との間の「紐帯」が、戦前の「神話と伝説」から「信頼と敬愛」に変わった、と述べられた。昭和天皇の人間宣言によって「神話」性が取り除かれ「人間」となった。

 しかし、GHQは天皇を象徴として地位を認めたので、天皇を特別な方として特別な規範の中に置かれた、と見なす考え方は国民の中に残り、人間宣言後に当然迎えるであろう「人間的な扱いの検討」はおざなりのままに残されていた。このことで皇室問題は、特に皇位継承問題はいまだにうやむやの中に残されている。

 平成28(2016)年7月天皇陛下に生前退位の御意向があることが報じられた。陛下は同年8月8日に、御自身のお気持ちを国民へのビデオメッセージという形で表明された。
 しかしながら、現行法では、「皇位継承は天皇の崩御の場合に限られ、崩御によらずに退位して皇位を後継に譲ることできない・・・」と解されていた。極論の一つとして天皇が生前退位を表明されたこと自体が憲法違反とみなす考えも出てきた。

 「天皇を人間として尊重する」ならば退位については、前向きに考えてしかるべき時がきた、と私は単純に考えたが、そんな簡単なものではなく、歴史学者、識者を中心に肯定的な意見と否定的な意見が交錯した。私は高齢天皇の立場を人間的に捉えたから考えは単純であった。天皇陛下の生前退位(1) ご高齢に配慮し直ちに実質的対応に着手すべき

 退位を可能にするとした場合の法改正の方法については、皇室典範の改正により退位を制度化すべきとする意見、一代限りの退位を特別法で認めるべきとする意見などが出た。
 私は驚いた。生前退位に反対する先鋒者は安倍前首相であったが、私はその挙げた理由に納得できず心から驚いた。
 「天皇は御存在自体が尊いというから存命中は一定のお役目を持つ」、と言う。ある人は、日本は「天照大神の子孫の神々様から始まり、神武天皇の即位で神話が国になったのだから、国民のために祭祀を執り行うのが、天皇の最重要任務である」と生前の退位に反対した。よくわからない論理であった。

 皇室構成員を人間として捉えれば事は簡単に進むのに、と思う。
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする