銅版画制作の日々

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映画 「靖国」、鑑賞した。

2008-06-20 | 映画:ミニシアター

 8月15日、靖国神社は祝祭的な空間に変貌する。

 

6月10日、京都シネマにて鑑賞。連日満席状態が続き、立ち見も出ています。観客の年齢層も高いですね。私が鑑賞した時間も多かったですが、立ち見になるところまではいかなかったようです。それにしても、これだけの動員数、やはり宣伝効果ももちろんですが、何といっても上映されるか?どうか?という微妙な経緯もかなり影響したからでしょうね。政治的背景も絡んでいるので、上映にあたっては、かなり反対も出ただけに・・・・・。そうなると、人間の心理状況としては、それだけ物議をかもし出している作品だから、どんなのだろう?と興味深々になるのは当たり前ですよね。

 

意外にノーマルなドキュメンタリーだったと思います。、靖国神社と言えば、A級戦犯、B級戦犯という戦争犯罪者が祀られているということを思い浮かべてしまいます。しかしこの靖国では、犯罪者ではなく、「英霊」と言われ、つまり天皇のための聖戦で亡くなった軍人のこととされています。

ところが、驚くべき事実があったんですね。靖国で靖国刀という軍刀が作られていたということです。昭和8年から終戦までの12年間の間、8100振の軍刀がここ靖国神社の境内においてです。そしてこの刀はここで祀られている246万6千余りの軍人の魂が移された一振の刀が神社の御神体だそうです。

 

 毎年8月15日になると、靖国神社とその一帯は奇妙な祝祭的空間に変貌します。日の丸を掲げて、「祖国のため殉じ、戦争の犠牲となった戦没者の英霊の御霊よ、安らかに眠りたまえ」と吼えながら、参道を進んでいく白髪の老人がいたり、旧日本人の軍服を着て、「天皇陛下万歳」と猛々しく叫ぶ人たち、的外れな主張を述べ立て星条旗を掲げるアメリカ人、境内で催された追悼集会に抗議し、参列者に袋叩きされる若者、日本政府に「勝手に合祀された魂を返せ!」と迫る台湾や韓国の遺族、それに加えて日本の遺族も同じように訴えている。印象的なのは高齢の日本女性、兄弟3人がすべて戦死され、遺骨として戻ってきた中身は、《英霊》と書かれた紙切れ、そして爪とか、髪の毛くらいだと・・・・。本当に兄弟のものなのか?と話される姿に、複雑なものを感じた。

 

昭和天皇の靖国参拝図。

 

また浄土真宗の僧侶であり、遺族の一人として、合祀取り下げを求めてきた真宗遺族会事務局の菅原さんも、僧侶だった父を戦争で亡くした。尊厳を説くべき宗教者が戦争に行った事実を忘れないために寺の仏間に軍服姿の父の写真を飾っている。昭和42年に日本政府から、勲章が贈られた。そのことに対して、遺族としては、大変理不尽な死を余儀なくされた。国策のために、駆り出されたわけだから、怒り、恨み、悲しみを国にぶつけたいのに、国の方は勲章を与えて褒め称え、名誉の戦死だという。そのことは、遺族の思いの居場所を失うことだと話す。勲章贈与には、そうした、倒錯した構図があると・・・・。つまり、国の戦争責任は問われないかたちで、遺族に文句を言わせない機能を果たしている。

真宗遺族会の菅原さんは、今も、合祀の取り下げを訴え続ける

 

そんな遺族の悲痛な思いは、まったく受け入れられないまま、靖国神社は存在するのだと改めて、感じる。小泉元首相や石原都知事も登場する。この人たちはまさに、戦争で散った人たちに対して英霊だと賛美をしているわけで。戦争体験がないのに、何故?このような捉えかたなのか・・・・・。と疑問を感じた。でも、とどのつまりは人間性の問題なのかもしれない。この2人については靖国参拝の違法性を問う審議がなされています。詳しくはこちらをご覧下さい。

 

さてもう一つのメインとなる、靖国刀を作る刀匠の存在。刈谷直治さん、現在90歳だそうで、唯一の現役最後の靖国刀作る人である。8月15日の靖国神社の様子が映し出しながら、刈谷さんの仕事とインタビューも映し出され、場面展開が交互になされる。刈谷さんは何処にでもいそうなご老人という感じで、素朴な方だが、仕事ぶりを拝見すると・・・・・。やはりさすが凄い刀匠!という存在感はある。只者じゃないという表現に匹敵するかもしれない。

 

誠心誠意ーーーー刈谷直治 この映画に寄せられたコメント

 

台湾原住民の母を持つ台湾国会議員の高金素梅さん、戦没した高砂義勇兵(日本統治下の台湾で結成された台湾原住民からなる軍隊)の魂を靖国神社から取り戻すべく、何度も、靖国を訪れている。日本軍・高砂義勇兵として、洗脳され南洋戦に送られた人たちがここに閉じ込められていると。

 

 

それぞれの思いが重なり合う靖国神社の存在、必要とする人もいれば、必要がないと訴える人もいる。戦争を二度と繰り返さないということは誰しも思うことなのだが。戦争で亡くなった多くの犠牲者の御霊をここに納めるのは、果たして必要なことなのか?望まない戦争に行かされたとしたならば、遺族の元に戻してあげるべきではないだろうか。戦争を仕掛けた人と一緒に合祀するのは、やはり矛盾しているのかもしれないし・・・・・。

 

靖国神社お散歩マップ

 

特別な存在"靖国神社"、まだ訪ねたことはないですが、人に聞くところによると、壮大な場所だとか?何か感じるものがあるんでしょうか??

 

映画『靖国』YASUKUNI公式サイト

 

詳細はHPをご覧下さい。

 

 

 

Comments (4)
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