銅版画制作の日々

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「それでもボクはやっていない」を観た・・・・。

2007-02-02 | 映画:ミニシアター

 
最近、富山で○○罪で実刑判決を受けた男の人が二年9ヶ月服役後、無罪だという事が判明した。それは昨年8月に別件で逮捕された男が「自分がやった」という自白からだ。警察の取調べもかなり不十分だったようである。しかし無罪であることを主張することも出来なかったその状況の裏には何があったのだろう?

この作品は11年ぶりに周防正行監督が“撮らないわけにはいかない”という使命感を持って作った初めての映画である。題材は冒頭で書いた冤罪がテーマだ。

2002年12月に、ある新聞記事と出会った監督。その記事の内容はこうだった東京高裁で痴漢事件の逆転無罪判決を伝えていた。被告人と家族、大学時代の友人らを中心とした支援者たちが、彼の無罪を勝ち取るために支援活動をして、検察官の有罪立証を覆し、無罪を取ったという内容だったそうだ。監督が今まで取り組んだ“素人ががんばる”というコンセプトにぴったりはまっていたのがひとつの大きな理由も・・・・。素人がプロと闘うなんてあまりない事なので、自分が漠然として思っていた裁判の姿と実際は違うのではと取材を始めたらしい。そして取材を進めるうちに、《裁判》というテーマに出会った。

周防監督の作品はこんなきっかけから誕生した。日本の刑事裁判の実態をこの作品を通して、えぇ~こんなのありという疑問がたくさんある。一番の驚きは無実だと訴えたら、不利になるということ。素直に容疑を認めたら、身柄釈放→起訴(多くは略式起訴、正式裁判はなしで、書面のみ)→罰金刑 つまり前科がなければ、身柄釈放されて不起訴、もしくは起訴猶予という事が多い。もし起訴されたとしても多くは略式起訴で罰金刑の適用となる。そしてこの略式起訴は軽微な犯罪の場合に限る。やっていないと無実を主張するならば、留置場に勾留されるのだ主人公撤平(加瀬亮)は容疑を否認して、無罪を主張したので、4ヶ月もの間勾留に・・・。つまり否認続けることで勾留延長する可能性が多いようだ。勾留期限が切れるまでに検察官は起訴するか否かを決めなければならない。起訴が決定すれば、正式裁判となる。そして被疑者から被告人と立場がかわり、刑事裁判となるのだ

まだまだ分からないこと、理解できないことが多くあるが・・・。裁判所は被害者の供述を依拠して有罪判決を決めるという現実が今の状況だし、そしてあいまいな証拠で簡単に有罪されてしまうのも現実そしてもうひとつ、否認事件での有罪率は何と映画の中で述べられているように99.9%なのである

金子徹平はある日、会社の面接に向かう満員で痴漢と間違えられる。話せば分かると思っていた。駅員に促されるまま、駅事務所に行ったら何も言わずに警察官に引き渡されてしまうそこから徹平の人生は思わぬ方向へ・・・・。現行犯で逮捕何もやっていないという無実の訴えには、耳もかそうとしない警察官。否認を続ける事は立場が悪くなるから、罪を認めよ!と言う弁護士の言葉に驚く徹平・・・・。でもそれが日本の刑事裁判の実態だったやがて裁判が始まり、被告として立つ徹平

弁護士荒川正義(役所広司)
元裁判官、父親も冤罪事件を積極的に弁護した人権派の弁護士だった。正しい裁判を行えば冤罪は生まれないと思い、裁判官になったが、現実は単純ではなかった。父親の死後、裁判官を辞めて弁護士に・・・・。国家権力に物を言う個人でありたいという決意の元に弁護をしている

新人弁護士須藤莉子(瀬戸朝香)
荒川弁護士と同じツグミ法律事務所で、否認事件担当は初めて

斉藤達雄(山本耕史)
徹平の大学時代の友人、徹平と同じくフリーター、徹平の無実のために支援

金子豊子(もたいまさこ)
徹平の母、定職につかない息子のことを心配して上京する。突然の息子の逮捕に衝撃友人達雄とともに息子の無実を訴える。

         金子徹平(加瀬亮)
就職活動中のフリーター、痴漢に間違えられて現行犯逮捕“被疑者”となり、起訴されて“被告人”となる

さてこの映画を観て、貴方は無罪それとも有罪、どちらだと思いますか?

周防正行監督最新作『それでもボクはやっていない』
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