Menkarm World

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剰余の定理で悩む

2019年08月28日 00時27分00秒 | タイで子育て
今回も前回の続きで、ウドンタニ・ラジャバット大の数学競技会についての話題。
興味がない方は御免なさい。

問題

115-2x7+x+3 を x4-x3+x-1 で割った余りを求めなさい。

私の途中までの解答

4-x3+x-1=(x-1)(x+1)(x2-x+1)

4次式で割った余りは3次式なので、余りを ax3+bx2+cx+d とすると、

f(x)=x115-2x7+x+3

    =(x-1)(x+1)(x2-x+1)Q(x)+ax3+bx2+cx+d

f(1) = a+b+c+d=3 ---①
f(-1)=-a+b-c+d=3 ---②

①+②
2b+2d=6 b+d=3

①へ代入して
a+c=0

②へ代入しても同様で
-a-c=-(a+c)=0

a=c=0 もしくは a=-c


まで来て行き詰まってしまったのが前回までのお話。

115なので普通に割り算をすると大変だろうと思って「剰余の定理」を使って解こうとした。
ここで剰余の定理について再確認。

剰余の定理とは、多項式 f(x) をモニックな(最高次の係数が1である)二項一次多項式 x - a で割ったときの剰余はf(a) であるという定理。

多項式 f(x) を d(x) で割るとき、以下を満たす多項式 q(x), r(x) が一意に存在する:
f(x)=q(x)d(x)+r(x) deg r < deg d
これを多項式における除法の原理と言い、このときの q(x) を商、r(x) を剰余と呼ぶ。また、d(x) を除数あるいは除多項式、f(x) を被除数あるいは被除多項式と呼ぶこともある。

除多項式がモニックな二項一次式 d(x) = x - a であるとき、次数に関する条件 deg(r) < deg(d) は剰余 r(x) が x に関係しないある定数 r であることを意味する。すなわち f(x) は
f(x)=q(x)(x-a)+r
と分解され、さらに x = a とおけば x - a = 0 ゆえに f(a) = r なることを知る。

同様に、除多項式 d(x) がモニックとは限らない二項一次式 ax + b であれば
f(x)=q(x)(ax+b)+r
なる多項式 q(x) と定数 r が一意に定まり、ax + b = 0 なる x, つまり x = −b / a をあたえれば r = f(−b / a) を得る。

ウィキペディアの剰余の定理より抜粋)

簡単に書くと、f(x)をx-aで割った余りは、f(x)のxへaを入れた時の値になるということ。
例えばf(x)=x115-2x7+x+3とすると、
これをx-1で割った余りは、f(x)のxへ1を入れて
f(1)=1115-2・17+1+3=1-2+1+3=3 と求められる。

剰余の定理を利用して求められるのは多項式を一次式で割った余りであり、多項式を二次以上の式で割った余りは、私が悩んでいる問題の様に複数の一次式で割った余りから求める。

一つ解いてみよう。

115-2x7+2x2-x+7 を x3-x で割った余りを求めなさい。

解答

3-x=x(x-1)(x+1)

3次式で割った余りは2次式なので、余りを ax2+bx+c とすると、

f(x)=x115-2x7+2x2-x+7
    =x(x-1)(x+1)Q(x)+ax2+bx+c

f(0) =     c=0115-2・07+2・02-0+7=7 ---①
f(1) = a+b+c=1115-2・17+2・12-1+7=7 ---②
f(-1)= a-b+c=(-1)115-2・(-1)7+2・(-1)2-(-1)+7=11 ---③

①よりc=7
②へ代入して、a+b+7=7  a+b=0 ---②’
③へ代入して、a-b+7=11 a-b=4 ---③’

②'-③'
2a=4 a=2

②'より
2+b=0 b=-2

ax2+bx+c=2x2-2x+7

答え 2x2-2x+7


今回私が悩んだ問題では、x115-2x7+x+3 を x4-x3+x-1 で割った余りを求めるが、4次式で割った余りは3次式以下となるので余りをax3+bx2+cx+dとすると、a b c dの4つを求めなければならないが、x4-x3+x-1を因数分解すると(x-1)(x+1)(x2-x+1)となり、一次式は2つしかない。
よって今回の問題は剰余の定理を利用して解けないのだろう。

読者の方から教えて頂いて面白いなと感じたのを書いておこう。

A=B・Q(x)+Rのとき、AをBで割った余り=RをBで割った余り。

今回は余りをP(x)=ax3+bx2+cx+d として、一番上の私の悩みの解法からc=-aとd=3-bを入れ、P(x)=a・x(x-1)(x+1)+b(x-1)(x+1)+3となるので、P(1)=3、P(-1)=3なので、余りは3ではというお話だったが、剰余の定理の定義からP(1)やP(-1)はP(x)をx-1やx+1で割った余りだろうと私は思う。

それでは今回のラジャバットの問題をどうやって解くかだが、私が知っている範囲で残された方法は力技w。

(x115-2x7+x+3)÷(x4-x3+x-1)にチャレンジすると・・・

商はx111+x110+x109+x105+x104+x103+x99+x98+x97+・・・(この間3つ飛ばしの繰り返し)・・・+x9+x8+x7-x3-x-xで、肝心な余りは3。www

ずれて間違えそうなのでエクセルの表へ書き込んで計算したが、落ち着いてやれば繰り返しなので紙でも問題無さそうだし、思ったほど時間も掛からなかった。

今回の最高得点は39点満点で37点。この問題の配点が2点なので、恐らくこの問題をやらなかったのでは?2時間で35問であり、1問の配分は3分半弱。時間が掛かる設問を準備して満点を取らせない目的では無いだろうか?

この問題は時間の浪費を目的にした満点阻止の力技問題ということで解決としたい。

「違うよ。こうすれば簡単に解けるのだよ!」というコメントを楽しみにしている。w

タイの中学生向け数学ギフテッド問題の記事へのリンク→#高1入試ギフ

タイの高校生向け数学入試問題の記事へのリンク→#大学入試


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2 コメント

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これは難しいっすよ~ (muga)
2019-08-28 13:12:17
数字ばっかり並んでて意味がわかりませんが、時間を消費させる引っかけ問題であることはなんとなく理解できました。
息子によるとゲゲゲ先生に似たような問題があったそうで、これは難しく考えないほうがいいとか生意気に言ってましたね。メンカームさんの回答を楽しみにしてたので早速見せてあげましょう。
ところで算数オリンピックの予選、お嬢ちゃんは如何でしたか?
うちの息子は30問中、18問しか答えられなかったそうです。しかも確実なのは8問と言ってますから、上には上がいるってことで、今の所は天狗にならず謙虚になってます(;^ω^)
返信する
コメント有難うございます (メンカーム)
2019-08-29 23:26:02
mugaさん
見ただけで拒否反応が出そうな問題ですよね。w
日本でもタイでもこれを高校で学ぶのですが、
タイでは中学生向けの数学競技で必ずと言って良いほど出題されます。
基本的な問題だとパターン通りにxの値を代入し、
余りの式の係数の方程式を解くだけなのですが、
パターンを外れた設問も多いですから、何か裏技でもあるかなと記事にしてみました。
今年もラジャバット大学へ質問に行きましたが会議中ということで、
設問を担当された先生には会えませんでしたから、
会議を抜けて来て下さった採点を担当された先生へ質問しましたら、
剰余の定理を利用した式を見せましても???でして、
先生を迎えに来られていた御主人(こちらも教員らしい)が私の疑問を理解してくださって、
これはオカシイねって話になりました。
その反応を見て、剰余の定理を使わないのだろうと思いましたから力技を試してみました。
すると思ったほど面倒でもなくて、あ~引っ掛け問題だっ!って思うようになりましたw。
剰余の定理は「一次式で割った余り」 ですから、
二次式以上で割った時の余りを求める解法を記事へ入れておきました。
さて、ソ・オ・ウォ・ノ試験ですが、地域によって設問が違うそうです。
イサーンは完全記述式8問で、娘は5問解けたと喜んでましたが、
ネット上で塾の先生達が出される解答速報を見ると暗い顔にwww。
絶対値記号を含む方程式・不等式が多かったそうですが、
条件を見落としたりして失敗してますね。正解は2、3問らしいです。
噂では3問解ければコンケン大のセミナーご招待らしいです。
息子もこれが苦手で、受験直前になってもう一回教えてくれなんて言って来てましたが、
娘もまだまだ練習が足りませんw。
娘は数学ギフテッド問題集はもう良かろうとマヒドン対策に走ってましたが、
今年もラジャバットの入賞を逃しましたので、
今週から自宅でIJSOの過去問題をやり始めました。
本の解答は解り難いし、ややこしい解き方だったりですから、
解答は私がチェックを入れて作ってます。
面白い問題はまた記事へ入れるつもりです。
宜しくお願いします。
返信する

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