高2の娘は、国から奨学金を得て国立大附属校のウォモウォコース(全寮制でマヒドン高校のシステムを採用した科学者育成コース)で学んでおり、高1は新型コロナ対策でほぼ自宅からオンライン学習だったが、高1が終わる少し前から入寮し、3月からの夏休みも大学から指導して頂きながらの自由研究があるので寮へそのまま居ようとしたが、換気が悪くエアコンも無い寮なので、暑くて暑くて流石にダウン。エアコン付きの外部のアパートを借りて大学の理学部へ通った。
今年の6月から新学年が始まり、学校でのコロナクラスターも収束し、自宅から通学していた生徒も入寮して数週間。
ようやく普通に勉強できると喜んでいたが、その頃から娘の様子が変わって、電話で話していると家が恋しいと泣いてしまうことが多くなり、とうとう退学したいと言い始めた。
理由を尋ねると…
①寮は狭い部屋へ3人も入れられ、エアコンも無ければ換気も悪く、息が詰まりそう。全くリラックス出来ず、ぐっすり眠れない。
②多い宿題や自由研究に時間を取られて受験勉強が出来ない。
③中学校の時の定期テストは、課目によってはクラスの半数が合格点へ届かなかったりで、それでも追試へ合格すれば最高評価の4を貰える事が多かったが、今の高校は評価がシビアな上に、大部分の生徒が一回で合格点を取っている。娘は今まで定期テストの勉強を特別にした事が無く、ずっと合格点を取る自信が無い。
④数学の先生の教え方が合わなく、得意だった数学が苦手になってしまった。
⑤物理が全く分からない。先生から「こんなに出来ないのに、どうやって入学した?」とまで言われたそうだ。
…とこんな話をしていたが、もし退学すると奨学金を一括返還しなければならず、コロナで痛めつけられた我家へそんな余裕は無いと伝えると、返還しないで止める方法があると言う。
評価が2.5以下を2回取るとウォモウォコースから追い出されるが、その時は奨学金の返済が無いそうだ。
そんな事を誰から習ったと尋ねると、寮を担当する若い先生。
「ウドンタニの(娘が通った)中学から入った生徒は毎年退学するけど、貴方は?」と言われ、上手な退学の方法を教えられたそうだ。
環境が変わって不安定になっている生徒へロクでもない事を吹き込んでくれたものだ。
私が娘から聞いた時は、既にその若い先生は退職しており、退職理由は寮の責任者の博士との不仲。
自分の不満を生徒へ吹き込んだか?それとも生徒を退学させて寮の責任者を困らせようとしたか?
娘からこんな話を聞かされ、妻も私も大ショック!!!
苦しんでいる娘を相手に「駄目」なんて言えず、「退学してどうするの?」と尋ねると、「コソノー(週末にやっている学校)で高校を卒業して、大学へ行く」と言う。
「寮の環境が良くないのは確かだが、それでもそこで暮して卒業する生徒が大多数。一人だけ我慢出来ないのはどうなのかな?もし退学した後に戻りたいと思っても、戻れないのは判っているのかな?退学する以外に解決する方法は無いのかな?」と私が話すと、娘は「私もリスクが高いのは理解している。でもどうすれば良いの?」と言うので、「もしかするとホームシックなのかも知れない。毎週迎えに行くから、週末はウドンタニへ戻って家で過ごしなさい。他も1つずつ対策するから、パパは少し時間が欲しい。もし絶対に我慢出来なくなったら、言いなさい。その時は退学でも休学でもさせるから。お前をパパが守るのを約束するから。」と言うと「分かった」と同意してくれた。
それから娘は毎週金曜の夜に帰って日曜の夜や月曜の朝に寮へ戻るの繰り返し。毎月の車の燃料代は1万バーツを軽く超えるが、ウドンタニの中学校への通学でもそのくらい掛かっていたので仕方ないかなと思っている。
①の寮の環境の悪さは、学校が全く改善する気が無いので、次の夏休みから個室でエアコンもある外部の女子寮を借りる予定。学校の寮以外の利用は許されてなく、実際に使うかは判らないが、逃げ場があるだけでも気分的に違う筈。夕方や週末の昼にそこで勉強するだけでも良い。
②の受験勉強は、「無理してやらなくても良い。浪人しても構わない。」ということで娘と合意。
化学と物理は私が中学のときと同様にサポートする事とし、先ずは基本的な事を暗記カードにして10月末に渡しておいた。
娘の学校の場合は、BMATを受験してそのスコアでロープヌン(ポートフォリオ入試)を狙うのが一番楽だと思うが、BMATの試験は英語だし、それに向けた受験勉強が必要なので、娘は自信が無いと言う。
それならどうしたいのか尋ねると、ロープソーン(コンケン大だとNETSAT)だと言うので了承した。
③の定期試験については、中学の時は高校受験対策しか勉強せず、定期試験は適当にやっていたのだが、高校では授業を重視して定期試験対策を優先する事にした。
授業が解らない時は早めにパパへ相談しろと言っておいた。
④の数学の先生は、成績が落ちた生徒が多数で、前期末のアンケートでも教え方を変えて欲しいと娘も書いたそうで、後期から別の先生と交代された。数学が解らなくなった娘は塾のコースを申し込んで学び直し。
⑤の物理は光の干渉が解らなかったそうで、学校の教科書を見せて貰うと公式の羅列だけで解説が無いので、日本の参考書を使って干渉の仕組みを説明してやり、公式はカードを作って暗記。
前期の中間テストはボロボロだったにも関わらず、前期の評価は3.5だったので、期末テストはそこそこの得点だったのだろう。
NETSATの物理の得点はクラスでトップだったそうで、夏休みに私と一緒に勉強した日本の参考書のお蔭。
物理の教師から「何でお前が…」と言われたらしく、『「先生の教え方が悪い」くらい言ってやれ!」とけしかける私。w
ベッドへ転がって寛いでいる時に、「ねぇ、パパ。これを見て」と娘が差し出したスマホを見ると、寮の部屋で机へ向かって大声で一人で話し続ける娘のルームメイト。
「病気だから文句を言ってはいけないと思っていたけど、日に何度もこれは厳しいよね。二段ベッドで私の上がこの娘だけど、夜中に突然起きて騒いだりするの。」なんて言う。
「先生は知ってるの?」と尋ねると、「知ってるし、医者に見せて薬を飲ませろとお母さんへ連絡したらしいけど、お母さんは連れて行かないみたい。」と娘は言う。
娘は寮の先生へ話したらしいが、「困ったね」くらいで、全くアクションがないそうだ。
こういう時は親の出番。直ぐに妻を呼んで寮の責任者の先生へ電話をさせる。寮の責任者の先生の話では、ルームメイトに問題があるのは入寮前から把握済で、娘が大人しいので同室が可能かと白羽の矢を立てて、オリエンテーションの旅行で試しに同室にしたそうだ。そして喧嘩などの問題が起きなかったので学校の寮でも同室に。
娘が寮の先生へ相談したのは責任者の先生へ全く伝わっておらず、親が苦情を入れなければ卒業まで一緒の予定だったらしい。
そのルームメイトは自宅が学校から近いので、後期以後は寮へ籍を置いたまま自宅から通学する事になった。
高校最後の科学オリンピックで、また予選を通過出来ず、少し落ち込んだ様子を見せた時期もあったが、NETSATの成績は想定外に良くてクラスでも上位だし、MEDQuizKKU(コンケン大主催の医学知識を競う大会)では、タイ全国から参加した千チーム以上の中から娘のチームが予選通過。本戦で団体入賞は逃したが、娘は個人入賞して大喜び。
コンケン大医学部のオープンキャンパスも選抜試験を通過。
良いことが続くと、娘の機嫌も良い。
6日は学校で三者面談があり、先生から「モー5(高2)になって成績が落ちましたね」と言われると、娘が「夜に寝れなくて困ってましたが、寮の責任者の先生へ言って解決しました。もう大丈夫です。」と答えた。
やはり一番の原因は病的なルームメイトだったのだろう。
教科書を書写させたりとレベルの低い勉強を嫌って、附属校を全寮制で学べるウォモウォコースへ入れたが、寮の環境がこんなに悪いとは思わなかった。全国でもウォモウォの寮へエアコンが無いのは珍しいらしい。
国からの予算はかなり余っている話を聞いているし、卒業生がエアコンを寄付すると言っても断ったらしい。
在校生が文句を言うと、「そのくらい我慢する事を覚えなさい。」と寮の責任者から言われるそうだが、良い環境で学べる事を期待してウォモウォへ入れたのであって、劣悪な環境を我慢させる為に入れたのではない。
進学実績の良い人気の学校へ入れたつもりだったが、娘には合わなく選択を誤ったようだ。
そうは言っても今から退学はリスクが大き過ぎるので、娘と力を合わせて卒業まで頑張りたい!
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