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貧困はこうして再生産される

2012年12月12日 06時00分00秒 | タイで子育て
大卒の最低賃金が1万5千バーツになった事で、公立学校の先生達の収入がかなり良くなったらしい。私が知っている中学の教頭先生も月に6万バーツ貰っているそうで、奥さんも先生なので世帯収入は10万バーツ以上は確実だろう。自家用車も新車が2台である。近所に住む公立小中併設校の英語の先生も月収は4万バーツ。副業の闇金も好調だそうで、車は毎年買い替えるし、土地も買う。
そんな話を聞いた近所に住むお母さんの一人が子供の教育に力を入れて、将来は先生にすると言い出した。ところがそこの子供は学校からデックピセート(特別な子供=発達に遅れがある子供)と言われている。小4だが本も読めなければ計算も出来ない。学校の教科書は当然読めないし、帰宅しても漫画も読めない可哀想な子だ。そんな子供をどうやって先生にするのだと近所で話題になったのだが、そのお母さんによると休みの日は塾へ行かせるそうで、月1500バーツで休日は朝から夕方までしっかり教えてくれるそうだ。1500バーツは日本円だと4000円強だが、法定最低賃金が230バーツの地域だ。単純労働なら1週間分の給料になる。私が住む郊外の農村にもそんな塾ができる時代になったのだ。農家のお母さんが自分の1週間分の収入を使って子供を塾に通わせる。そのお母さんにしては相当期待しての決断だったと思うが、塾へ通っただけで発達の遅れた子供が学校の先生になれるほど伸びるかと言えば、簡単ではないだろう。
日曜にそのお母さんを見たので、子供は塾へ行っているか尋ねたら、まだ行って無いそうで、いつから行くのか聞くと3ヶ月先のピッターム(夏休み)からと言う。子供は毎日成長しており、学校では毎日新しい事が教えられる。期末テストや統一テスト、入試の日は決まっており、明日、明後日とは延ばせない。子供の1日はとても大切なのだ。塾へ行かなくても家族の誰かが教えてやれば良いのだがそれもしない。子供は家へ帰ると御飯を食べて寝るだけだ。このお母さんでは子供が伸びるのは難しいだろうと思った。貧困はこうして再生産されるのだ。

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コメント (16)    この記事についてブログを書く
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16 コメント

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Unknown (海外暮らし)
2012-12-12 08:03:46
子供が小4にもなれば、どういう方向が向いているか見えてきますけどね。
ビル・ゲイツも学習障害を持っていたと告白していたし、デック・ピセーが逆に天才だったなんて話もあるんでしょうけど、すべて環境。
親を含めた環境次第でしょうね。
その子は(タイの画一的な)学校の先生じゃなく、別の方面で才能を伸ばしてあげた方が良いような気がしますが、
あとは本人の向上心次第でしょうかね。
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教育と職業 (ハシビロコウ)
2012-12-12 09:46:59
同期させるのは、旧ソ連邦でも難しかった様です。本人の希望を大切にしながらも、生きて行ける職業に就ける教育を優先した方が、宜しいような気がします。
「その子」にはナムジャイで接するしかないのかなあ。
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貧困の無限ループ (ぺんぺん草)
2012-12-12 11:32:49
児童教育が専門だった妻からの話です。

小4という事は11歳前後でしょうから両親をはじめ周囲がどんなに手を尽くしてもただの悪あがきし・・・両親は2~3歳、遅くとも4歳までには自分の子供の異常に気付き、医師と相談をし手を打つならその子の将来の選択肢は芸術分野等で多少は見込めるが、小4となってしまっては時すでに遅し。
こういった子供はタイ全体で6%(小学生高学年で)もの数字となるそうで、各クラスに1~2人の割合を占めているのが現状だそうですが、教師も放置状態だそうです。

中には経済的に余裕のある家庭では専門の乳母(家庭教師以上の知識と教養を有す)をかなりの高給で雇い所作のしつけを始め、学校の授業にも付き添わせ、その子にその場で理解できるようにしている家庭もあるそうですが極めて稀だそうです。
また、特殊養護学校もバンコクに1校あるのみでウドン等の地方には皆無だそうで、ご近所さんも今になって欲をかいて慌て出しても無駄・・・”製造責任者”とその周囲が無知・無教養・文無しで放置・・・貧困の無限ループ。

ハシビロコウさんが述べられている様に、周囲がナムジャイで接するしか現在のタイではこの子の活きる道はなさそうです。 
返信する
底上げ (muga)
2012-12-12 11:32:56
だいたい今の大人たちが、その親から、その程度の教育しか受けてないのです。
また、学校の先生も安給料でしたから、しょうがなく先生になってるデモシカ先生の理想なんて推して知るべしですよね。
自分の利益優先で教育そっちのけだったと思いますよ。

まー、センセのお給料も上がるということで、良質な教員の大量導入となればいいですね。
そうやって、徐々に底上げするしか手立てはないでしょう。
より良い先生から、良識を伝授された子供たちが、次の世代に、よりまともな教育を施す。
その一環としての最低賃金高騰であるならば、あまんじて享受せざるを得ない、そんな気持ちです。
効果の程は、良くわかりませんが‥
返信する
おはようございます。コメントありがとうございます。 (メンカーム)
2012-12-12 11:39:04
海外暮らしさん
仰る通り環境が一番大切だと私も思います。
子供が将来にどのような夢を描くか
これも環境で決まりますし
子供を伸ばすのも周囲です。
記事にしたお母さんは、
子供を昔からと同じように農業に就かせれば十分と思っていたようですが
経済の発展により周囲が変わってきてますので
慌てて子供の教育に目が行ったようです。
今から取り戻すには相当の努力が必要と思いますが
その方法も塾頼み。しかも先送り。(笑)
私の周囲は、そんな人が多いようです。

ハシビロコウさん
何の職業でも食べていけますし、
それなりに幸せも感じられます。
子供がやりたいようにさせるのも方法ですが
少しは誘導してやらないと
後から後悔しても取り戻すのに
大変な努力が必要です。
普通は諦めてしまうでしょう。
嫌々やる仕事ほど面白くない物はありません。
楽しくて時間を忘れてできるような仕事へ出会えると良いですが、
出来る事が少なければ、それだけ将来も狭まってしまいます。
その子のおばあちゃんは原理主義的な仏教感の持ち主で、
周囲が何を言っても難しいようです。
返信する
手に職 (HIDE IN NK)
2012-12-12 13:45:40
うーん。そのお母さんも、現実が見えていないのでしょう。

そういう子は、普通クラスでは対応できません。
タイでは、日本でいう「特殊学級」は少ないのでしょうね。

本当のところ、塾へ行っても対応できないでしょう。塾の教師が、マン・ツー・マンで教えてくれますかねー。

そのままでも、小学校6年は卒業させてもらえるでしょう。

なにか、工芸品製作の技術とか、「手に職」をつけてあげたらどうでしょうか。

返信する
こんにちは。コメントありがとうございます。 (メンカーム)
2012-12-12 14:51:06
ぺんぺん草さん
近所の子供を見ていて発達の遅れの原因を考えると、
先ずは栄養失調。そして刺激が無い生活や躾の悪さを思い浮かびます。
栄養失調なんかは給食の導入でいくらでも改善されるのに、
公立はいつまでも学食で業者任せですね。
貧困の無限ループを解消するには時間が掛かりそうです。

mugaさん
そうですね。親と同じ道を子供が歩んでます。
家庭には期待できませんから
先生が引っ張っていくしかないでしょう。
給料を引き上げて良質な人材を集めて欲しいです。

HIDE IN NKさん
お母さんもそんな人なので
塾へ行かせれば先生になれると思ったようです。
私の予想ではピッタームになっても塾へは行かせないでしょう。
字が読めなくても成績は3以上になっているそうです。
問題を表面化しないための底上げです。
私の身近に、もう一人そんな子供が居たのですが
中学卒業後に転職を繰り返しながらも
好景気の人手不足が幸いして
今は長距離バスの車掌になってます。
運転手でなくて良かったと思ってます。(笑)

返信する
現実 (Jun)
2012-12-13 02:43:31
給料の件)本当ですか? 
私は某国立大学で11年教師をしています。私の給料は、勤続11年で、肩書きなしではこれ以上のアップは無いといわれる額で、約2万9千バーツです。この給料で、確かに海外留学組の博士号を持った教授達の給料よりも高いです。おかげでタイ人教師・職員から嫌味を言われる事もあります。肩書き分としていくら貰っているか知りませんが、公立学校(小中高)の先生で3万バーツを越えるような給料をもらえる方は稀かと思います。私の知り合いには居ません。因みに5年ほど前、県下の有名学校から引き抜きの話があった時の条件が、給料2万5千バーツ、ボーナス一ヶ月(働きに応じてup)、2ヶ月の完全夏休みというものでした。当時の先生としてはかなり良い条件だったと思います。公立の小中高の内情を良く知っているので、断りましたが。
確かに給料が安いのが、先生にいい人材が集まらない最大の要因です。小中高では、時間給や臨時の先生がかなり居ると思いますよ。学校側は、教育の質よりもコストを優先するからです。校長の評価は、「いかにお金を集めたか、稼いだかによる」のだそうですから
それから教師の現況に関して一言(ちょっと長くなりますが)。教師は時間給の非常勤教師と常勤教師(公務員)に分かれます。さらに常勤教師は、公務員と契約公務員に分かれます。タクシンさんの時代以降、増えたのが契約公務員です。政府が将来の年金支出を抑えるために、考えたものです。当時は「契約公務員の方が給料が上がると喜んだ人が多い」と聞いて、本当にタイ人は先の事を考えない人が多いなと苦笑した事を覚えています。彼らは退職後のことを全く考えていないからです。
今回の最低賃金アップに関しては、私も誤解していて、実は他人事のように捉えていました。実際は会議に出席して分かったのですが、契約公務員は対象外、公務員の最低賃金アップ分は、政府は全額は支給せず、不足分は学校自らが調達しなければならないとの事。何の会議か分からず出席した会議は、契約公務員を対象とした大学側の状況説明とそれに伴う問題発生に理解を求めるものでした。
会議では、契約公務員の先生方から「同じ仕事をして、給料に差が出るのか」とかの不満が大学側に寄せられ、大学側は最低賃金アップ分の資金調達の為の契約公務員の首切りを匂わせるといった不穏なものになりました。
今回の政府による最低賃金アップは、教育現場においては、あまり良い結果をもたらさないと思います。同じ仕事をして給料が違うという不平等感、教師が減る事による労働量のアップ等、これから「現場がもっとギスギスしたものになるのでは」という不安を覚えています。
返信する
ナムジャイ (HIDE IN NK)
2012-12-13 12:07:25
思い出しました。

ガレージを改造した時、親方がある村の職人グループを呼びました。

そのなかに、知恵遅れの青年{18歳くらい?}がいました。先輩たちに見守られて、それなりに仕事をこなしていました。日当も、もらっていたようです。{一人前賃金かどうかは知りませんが・・・。}
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おはようございます (メンカーム)
2012-12-13 12:26:42
Junさん
コメントありがとうございます。
中高一貫校の教頭先生の月給が6万バーツは
妻が本人から伺いました。
公立小中併設校の英語の先生の月給は
そこの家政婦さんから妻が伺いました。
他にも公立小学校併設幼稚園の先生が2万3千バーツ。
これも妻が本人から伺いました。
見栄っ張りのタイ人ですから多めに言われるかも知れませんが
大きくは違わないと思ってます。
タイの警察のように本給以外に支給されているのでしょうか?
噂ではコピー教科書の販売や裏口入学等収入源はいろいろあるそうですが。

HIDE IN NKさん
我家でも農園の工事をすると
能力によっていろいろな人が来て、
出来る仕事をやってます。
この前の古い栽培台を撤去したのは
HIV感染者でした。
集落内で助け合って仕事も分配するのは
素晴らしいと思います。
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