わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

騙しのテクニック49 海外の贋作事情

2014-08-16 20:42:13 | 騙しのテクニック
古陶磁は中国、香港、台湾、韓国、タイ、フィリッピンなど多くの国で売買されています。

中でも、中国の古陶磁は古美術市場の主流に成っています。その為中国の贋作は各時代の各々の窯

の物があります。その他の国々でも、それぞれの贋作が作られて、売買されています。

現代では、古陶磁の人気が強く、興味を持つ方も多くなり需要も増している為、偽物が出回る環境が

出来ていると言われています。

1) 贋作が作られている国。

 贋作が多く売買れている国では、現在でも、贋作の製作も盛んに行われています。

 ① 中国本土: 特に多いのは、唐三彩、磁州窯、鈞窯(きんよう)、龍泉窯の青磁、景徳鎮の

  染付、赤絵などです。中国では経済開発に伴い、これからも、新たな発掘品が登場する可能性が

  大きいです。優れた焼き物が発見され話題になると、必ず贋作が現れます。

  その為、本物と贋作が入り乱れて売買される事になります。

  更に、贋作は技術的に日々進化し続けていますので、古典的技法のみでなく、新たな贋作技法が

  現れる可能性があります。その真偽の判別も難しくなります。

 ② 韓国: 贋作が多いのは、新羅土器、高麗青磁、三島手、白磁、染付け等です。

  最近では、中国の古陶磁を扱う店も増えているとの事です。

  古陶磁を扱う店「古玩舗」は首都ソウルの中心街に多く存在し、豊富な品揃えとの事ですが、

  優れた作品は少ないそうで、例え、掘り出し物を見つけても、価格は日本より高めとの事です。

  ◎ 韓国での注意事項は、韓国の「文化財保護法」により、古物、古美術品の国外持ち出しを

    禁止している事です。空港では、買った所に返す様に命令されますが、実際には、帰りの

    飛行機の関係で、空港で没収扱いに成るそうです。

 ③ 香港、マカオ。

   ここ数十年の間に、中国古陶磁の発掘品が大量に、もたらされます。

   その種類は、ほとんど全ての分野の焼き物が存在しています。販売している店として

  ) ほとんど本物の優れた作品を揃えている店。(数は少ない)

  ) ほとんど本物だが、駄作の作品が多い店。

  ) 本物と偽物が混在している店。その割合は店によって異なる。

  ) ほとんどが偽物で、本物が少ない店。

  ・ ほとんど本物で一点のみ偽物の店もある様で、この偽物を本物の様に見せる引っ掛け物に

    として販売している様です。

 ④ 東南アジア(ベトナム、タイ、フィリッピン等)

   東南アジアの主要都市には、古陶磁を扱う店が多いそうです。一過性の観光客目当ての商品で

   贋作を法外の値段で売りつけるとの事です。

   当地で作られた、南蛮物や安南物などの古陶以外に、中国から輸入された龍泉寺青磁や元の

   染付け、景徳鎮の赤絵、呉須赤絵等が多いです。

   但し、ほとんどが贋作か、もしくは、「共色直し」による修復した物が多く、無傷の物は

   ほとんどありません。

 ⑤ 台湾では、あらゆる種類の贋作が存在しています。

   多くは、中国本土より流入した焼き物です。時代時代によって、贋作の流行もある様です。

   有名な故宮博物院に収められている、優れた作品は一通り揃うと言う事です。

   鈞窯、磁州窯、天目茶碗など、贋作を掴まされる日本人が多いそうです。

 ⑥ 日本でも、写しと称され、古伊万里の染付け、柿右衛門の赤絵、古唐津、古備前、野々村仁清

  や尾形乾山の作品も多く作られ、それらが一人歩きして本物として、流通している場合も多い

  です。その他、中国の龍泉窯青磁、景徳鎮の嘉靖、万暦の赤絵、呉須赤絵などの写しも、多く

  作られています。

以下次回に続きます。

 参考資料: やきもの鑑定入門:出側直樹監修 芸術新潮社編集部編: 新潮社

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