「はた」様より以下の質問を頂きましたので、当方なりの回答をいたします。
◎ 電気窯不調について
電気窯についての質問です。家庭用電源で使用できる電気窯を使用1年半で、温度が
1250度まで上がらなくなってしまいました。素焼きを含め45回の焼成(素焼き
750−800度、本焼き1250度)で、電熱線交換は早いと思うのですが、メーカーに
相談したところ、電気線に問題はないので、原因として、アグレッシブな釉薬の使用また
は、まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼きをするから、電熱線の
劣化が早いのでは、とのことでした。
2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉の自作釉以外は、通常の市販釉薬
を使っています。何度か灰釉を使いましたがテスト程度です。2酸化マンガン使用の釉薬で
電熱線の劣化が早まるということは、あり得ますでしょうか。
ご教授いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
◎ 明窓窯より
温度が所定まで上昇しないのは、電熱線の抵抗が大きく成ったのが原因と考えられます。
即ち電気的抵抗値(R.単位オーム=Ω)が大きく成った為、電流値(I.単位アンペア)が
減少した結果発熱量(ワット=W)が低下と見られます。
ちなみに発熱量=電流X電流(電流値の二乗)X抵抗=IxIxRとなります。
その為、電流の少しの増減でも発熱量に大きく関係します。
尚、電熱線の抵抗はテスター(電圧、電流、抵抗が測れる)で測定すれば簡単に判ります
それ故定期的に測定すれば細る状態を発見する事が出来ます。又窯に電流計が設置されて
いれば、電流値が判ります。
1) 抵抗が増大した理由は以下の原因だと思われます。
① 電熱線が腐食し一部又は全体が細くなった為。
② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。但し断線ではない。
③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。
2) 上記の原因について述べます。
① 電熱線の腐食について。
2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉に、原因があるとは思われ
ません。 2酸化マンガンや酸化コバルトは、釉の中に多量に含む事は少ない事と、
揮発性が強い物ではない為です。
メーカーが説明した「まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼
きをするから、電熱線の劣化が早いのでは」との見解が妥当と思われます。
特に施釉直後ではなく、出来るだけ一晩程度窯の中に放置する事を勧めます。
その際、窯の扉は開けて少しでも湿気を逃がします。
ⅰ) 高温の水蒸気は電熱線を痛めます。
素焼きでも本焼きでも大量の水蒸気が発生します。一般の技術書では400℃程度ま
で蒸気抜きを行う様に説明されていますが、当方では500℃程度まで行っています
窯を早く密閉し、温度を早く上昇させたいのは判りますが、十分蒸気を抜いた方が
その後の温度上昇が早くなります。
ⅱ) 電気窯の場合、蒸気抜きが有れば、この温度程度まで開けておくか、無い場合
には、扉を少し開けておく必要があります。尚、煙突のある窯であれば、煙突から
も多少蒸気が抜けますが、やはり扉などを開けておく方が正解です。
ⅲ) 水蒸気は温度が高くなるに従い、腐食性(酸化、錆)が増大します。
それ故、水蒸気の発生がなくなるまで、窯を密閉しない事です。
尚、水蒸気は冬であれば、肉眼でみる事が出来ますが、ガラス等を近付けると曇り
ますので、容易に有無が確認できます。
ⅳ) 使用しない窯の中も常に乾燥させておく事。
金属類(電熱線など)は湿気に弱く、例え高温でなくても腐食されます。
それ故、湿気が籠らない様に、使用しない場合でも、窯の扉を開けて通気する事が
大切です。窯は湿気を嫌います。
ⅴ) 施釉した作品を窯詰めの際、作品が電熱線に当たり、釉が電熱線に付着したま
ま、通電すると釉が溶けて電線を痛める場合もあります。通電する前に綺麗に拭き
とっておきます。通電した後では容易に取れません。
② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。
電熱線同士、または他の電線との接続部分が接触不良を起こすと、その部分の抵抗が
大きくなります。結果的に全体の電気抵抗が増します。
接続部分にはコネクター、ねじ止め、カシメ(圧着)があります。常日頃より、この
部分に緩みが無い事を点検する必要があります。
③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。
窯詰めの際、狭い空間では作品と電熱線が接触する事があります。電熱線を傷付ける
とその部分の抵抗値も上がります。又、窯の壁や扉に張り付けてある電熱線が、何ら
かの理由で宙ぶらりんになり、壁と接触しすり減る事も起こりえます。この様な状態
では、電熱線は次第に摩耗し細くなり、抵抗値も大きくなります。電熱線の状態も確
認する事もお勧めします。
以上参考にして頂ければ幸いです。
◎ 電気窯不調について
電気窯についての質問です。家庭用電源で使用できる電気窯を使用1年半で、温度が
1250度まで上がらなくなってしまいました。素焼きを含め45回の焼成(素焼き
750−800度、本焼き1250度)で、電熱線交換は早いと思うのですが、メーカーに
相談したところ、電気線に問題はないので、原因として、アグレッシブな釉薬の使用また
は、まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼きをするから、電熱線の
劣化が早いのでは、とのことでした。
2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉の自作釉以外は、通常の市販釉薬
を使っています。何度か灰釉を使いましたがテスト程度です。2酸化マンガン使用の釉薬で
電熱線の劣化が早まるということは、あり得ますでしょうか。
ご教授いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
◎ 明窓窯より
温度が所定まで上昇しないのは、電熱線の抵抗が大きく成ったのが原因と考えられます。
即ち電気的抵抗値(R.単位オーム=Ω)が大きく成った為、電流値(I.単位アンペア)が
減少した結果発熱量(ワット=W)が低下と見られます。
ちなみに発熱量=電流X電流(電流値の二乗)X抵抗=IxIxRとなります。
その為、電流の少しの増減でも発熱量に大きく関係します。
尚、電熱線の抵抗はテスター(電圧、電流、抵抗が測れる)で測定すれば簡単に判ります
それ故定期的に測定すれば細る状態を発見する事が出来ます。又窯に電流計が設置されて
いれば、電流値が判ります。
1) 抵抗が増大した理由は以下の原因だと思われます。
① 電熱線が腐食し一部又は全体が細くなった為。
② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。但し断線ではない。
③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。
2) 上記の原因について述べます。
① 電熱線の腐食について。
2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉に、原因があるとは思われ
ません。 2酸化マンガンや酸化コバルトは、釉の中に多量に含む事は少ない事と、
揮発性が強い物ではない為です。
メーカーが説明した「まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼
きをするから、電熱線の劣化が早いのでは」との見解が妥当と思われます。
特に施釉直後ではなく、出来るだけ一晩程度窯の中に放置する事を勧めます。
その際、窯の扉は開けて少しでも湿気を逃がします。
ⅰ) 高温の水蒸気は電熱線を痛めます。
素焼きでも本焼きでも大量の水蒸気が発生します。一般の技術書では400℃程度ま
で蒸気抜きを行う様に説明されていますが、当方では500℃程度まで行っています
窯を早く密閉し、温度を早く上昇させたいのは判りますが、十分蒸気を抜いた方が
その後の温度上昇が早くなります。
ⅱ) 電気窯の場合、蒸気抜きが有れば、この温度程度まで開けておくか、無い場合
には、扉を少し開けておく必要があります。尚、煙突のある窯であれば、煙突から
も多少蒸気が抜けますが、やはり扉などを開けておく方が正解です。
ⅲ) 水蒸気は温度が高くなるに従い、腐食性(酸化、錆)が増大します。
それ故、水蒸気の発生がなくなるまで、窯を密閉しない事です。
尚、水蒸気は冬であれば、肉眼でみる事が出来ますが、ガラス等を近付けると曇り
ますので、容易に有無が確認できます。
ⅳ) 使用しない窯の中も常に乾燥させておく事。
金属類(電熱線など)は湿気に弱く、例え高温でなくても腐食されます。
それ故、湿気が籠らない様に、使用しない場合でも、窯の扉を開けて通気する事が
大切です。窯は湿気を嫌います。
ⅴ) 施釉した作品を窯詰めの際、作品が電熱線に当たり、釉が電熱線に付着したま
ま、通電すると釉が溶けて電線を痛める場合もあります。通電する前に綺麗に拭き
とっておきます。通電した後では容易に取れません。
② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。
電熱線同士、または他の電線との接続部分が接触不良を起こすと、その部分の抵抗が
大きくなります。結果的に全体の電気抵抗が増します。
接続部分にはコネクター、ねじ止め、カシメ(圧着)があります。常日頃より、この
部分に緩みが無い事を点検する必要があります。
③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。
窯詰めの際、狭い空間では作品と電熱線が接触する事があります。電熱線を傷付ける
とその部分の抵抗値も上がります。又、窯の壁や扉に張り付けてある電熱線が、何ら
かの理由で宙ぶらりんになり、壁と接触しすり減る事も起こりえます。この様な状態
では、電熱線は次第に摩耗し細くなり、抵抗値も大きくなります。電熱線の状態も確
認する事もお勧めします。
以上参考にして頂ければ幸いです。
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