唐津焼の起源は、はっきりしていませんが、室町末期には、現在の唐津市の岸岳の山麓に、岸岳
八窯と呼ばれる、古窯址群が存在し、ここが古唐津の発祥地と思われています。
尚、古唐津と呼ばれる焼き物は、17世紀前半までに作られた作品です。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の文禄の役以後、朝鮮の陶工が多数移住(拉致)し、朝鮮の陶芸技術が伝わり、
唐津焼は隆盛を極めます。
1)唐津焼の特徴。
① 唐津の土は一様では無く、種類も多い。
唐津焼は、東松浦郡(現在の唐津市の南)、伊万里市、武雄市、有田市、佐世保市一帯の広い
範囲で焼成された焼き物です。それ故、土地土地によって土の種類も異なります。
即ち、砂目の土、粘りの有る土、褐色の鉄分を含む土、灰色や白色の土、肌理の粗い土、細かい
土のなど、種類は豊富ですが、各々の埋蔵量は少なく、枯渇し易い為窯の移動が多くなって
います。
② 土の種類や性質に応じて、成形方法も異なります。
即ち、叩き造り、板起し、蹴轆轤(けろくろ)などで、型抜き制法は見られません。
尚、蹴轆轤は、左回転(逆時計方向回転)で水挽きします。高台も全て削り出しで、美濃の様な
付け高台はありません。
③ 唐津の釉の色調は、くすんだ色が多いです。
これは、釉の成分に由来するのでは無く、唐津の土は、一般に鉄分の多い土の為です。
④ 唐津の絵は志野や織部に比べ、簡単で素朴のな絵柄が多いです。
鬼板などを用いた鉄絵が中心ですが、筆や藁(わら)に浸して、一気に描いている物が多いです
⑤ 我が国で最初の連房式の登窯が築かれ、この窯は渡来朝鮮人によってもたらされ物で、
量産体制が整います。この技術は瞬く間に、美濃の他多くの窯場に伝わります。
2) 古唐津の作品の種類。
① 絵唐津: 唐津のほとんどの窯で、鉄絵が描かれています。作品の種類も多く、茶碗、皿、
壷、花瓶など全ての種類の作品に描かれています。
② 斑(まだら)唐津、斑絵唐津: 白濁する藁灰釉を利用した焼き物です。
③ 奥高麗茶碗: 日本に渡来した朝鮮の陶工達によって作りだされて茶碗で、本場朝鮮の
高麗茶碗との区別は困難との事です。
④ 彫唐津: 茶碗の胴部などに、箆(へら)を使い、大胆に陰刻線を巡らし、装飾する焼き
物です。
⑤ 黒唐津: 釉に鉄分を多く配合すると黒色に発色し、少ないと褐色や飴(あめ)色になります
3) 唐津焼の贋作。
古唐津は、特に人気のある焼き物で、経済的にも高価の物が多いです。更に、「くだけた」
作風や絵柄などから、写しがし易く、贋作が非常に多い焼き物です。
① 贋作を見分ける: 良く言われている、高台脇の土見せ、三日月高台(片薄高台)、高台内の
縮緬皺(ちりめんじわ)などは、当てに成りません。
) 土見せは、この部分に釉が掛けられていない事を意味しますが、本物には高台内まで、
釉の掛かった総釉の物もあります。
) 本物の三日月高台は、非常に稀な事の様です。逆に、贋作には必ず三日月高台があります
) 高台内の縮緬皺は容易に真似をする事が出来るとの事です。
② 贋作では斑唐津が一番多い様です。
釉が派手で一般受けするからです。古唐津の白い釉の中に、青い斑点が有るものがありますが
この斑点を自然に出す事は困難との事です。贋作では、コバルト(呉須)などを添加して
青い斑点をだしている物も多い様です。
特に斑唐津の「ぐい呑み」、「立ちぐい呑み」の贋作が多く出回っています。
③ その他の贋作。
) 碗形の酒盃などは、容易に贋作を作る事が出来、更に極めて高価の為、贋作を手掛ける
人も多い様です。
) 徳利、茶碗、皿: 特別高度の技術が無くても、容易に贋作を作る事の出来る作品です。
これらの本物の作品は、書籍や図版で多く取り上げられていますので、沢山存在すると
思われますが、実際には極めて稀で、一般に出回る事はありません。
④ 絵唐津の絵が、「かすれている物」には、贋作が多い。
本物には「かすれ」がほとんど見当たらない様です。
絵の無い、無地唐津の場合は、手掛かりが少なく判定は難しい様です。
奥高麗茶碗は、とても高価で贋作が多く出回っていますが、掘り出し物は皆無です。
⑤ 類似の他の陶器に注意。
) 上野(あがの)、高取、萩などの窯場でも、唐津と同様な焼き物が焼かれています。
) 唐津写しの作品に注意。
・ 美濃唐津: 胎土と絵の雰囲気が本物とは異なる。
・ 京唐津: 轆轤の回転方向が逆(右回転)です。
尚、瀬戸唐津、本手瀬戸唐津と呼ばれる焼き物は、瀬戸風の釉の意味で、瀬戸で焼かれた
物では有りません。
⑤ 二度焼や、後鉄絵の作品に注意。
発掘品を焼き直した作品も出回っています。
以下次回に続きます。
八窯と呼ばれる、古窯址群が存在し、ここが古唐津の発祥地と思われています。
尚、古唐津と呼ばれる焼き物は、17世紀前半までに作られた作品です。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の文禄の役以後、朝鮮の陶工が多数移住(拉致)し、朝鮮の陶芸技術が伝わり、
唐津焼は隆盛を極めます。
1)唐津焼の特徴。
① 唐津の土は一様では無く、種類も多い。
唐津焼は、東松浦郡(現在の唐津市の南)、伊万里市、武雄市、有田市、佐世保市一帯の広い
範囲で焼成された焼き物です。それ故、土地土地によって土の種類も異なります。
即ち、砂目の土、粘りの有る土、褐色の鉄分を含む土、灰色や白色の土、肌理の粗い土、細かい
土のなど、種類は豊富ですが、各々の埋蔵量は少なく、枯渇し易い為窯の移動が多くなって
います。
② 土の種類や性質に応じて、成形方法も異なります。
即ち、叩き造り、板起し、蹴轆轤(けろくろ)などで、型抜き制法は見られません。
尚、蹴轆轤は、左回転(逆時計方向回転)で水挽きします。高台も全て削り出しで、美濃の様な
付け高台はありません。
③ 唐津の釉の色調は、くすんだ色が多いです。
これは、釉の成分に由来するのでは無く、唐津の土は、一般に鉄分の多い土の為です。
④ 唐津の絵は志野や織部に比べ、簡単で素朴のな絵柄が多いです。
鬼板などを用いた鉄絵が中心ですが、筆や藁(わら)に浸して、一気に描いている物が多いです
⑤ 我が国で最初の連房式の登窯が築かれ、この窯は渡来朝鮮人によってもたらされ物で、
量産体制が整います。この技術は瞬く間に、美濃の他多くの窯場に伝わります。
2) 古唐津の作品の種類。
① 絵唐津: 唐津のほとんどの窯で、鉄絵が描かれています。作品の種類も多く、茶碗、皿、
壷、花瓶など全ての種類の作品に描かれています。
② 斑(まだら)唐津、斑絵唐津: 白濁する藁灰釉を利用した焼き物です。
③ 奥高麗茶碗: 日本に渡来した朝鮮の陶工達によって作りだされて茶碗で、本場朝鮮の
高麗茶碗との区別は困難との事です。
④ 彫唐津: 茶碗の胴部などに、箆(へら)を使い、大胆に陰刻線を巡らし、装飾する焼き
物です。
⑤ 黒唐津: 釉に鉄分を多く配合すると黒色に発色し、少ないと褐色や飴(あめ)色になります
3) 唐津焼の贋作。
古唐津は、特に人気のある焼き物で、経済的にも高価の物が多いです。更に、「くだけた」
作風や絵柄などから、写しがし易く、贋作が非常に多い焼き物です。
① 贋作を見分ける: 良く言われている、高台脇の土見せ、三日月高台(片薄高台)、高台内の
縮緬皺(ちりめんじわ)などは、当てに成りません。
) 土見せは、この部分に釉が掛けられていない事を意味しますが、本物には高台内まで、
釉の掛かった総釉の物もあります。
) 本物の三日月高台は、非常に稀な事の様です。逆に、贋作には必ず三日月高台があります
) 高台内の縮緬皺は容易に真似をする事が出来るとの事です。
② 贋作では斑唐津が一番多い様です。
釉が派手で一般受けするからです。古唐津の白い釉の中に、青い斑点が有るものがありますが
この斑点を自然に出す事は困難との事です。贋作では、コバルト(呉須)などを添加して
青い斑点をだしている物も多い様です。
特に斑唐津の「ぐい呑み」、「立ちぐい呑み」の贋作が多く出回っています。
③ その他の贋作。
) 碗形の酒盃などは、容易に贋作を作る事が出来、更に極めて高価の為、贋作を手掛ける
人も多い様です。
) 徳利、茶碗、皿: 特別高度の技術が無くても、容易に贋作を作る事の出来る作品です。
これらの本物の作品は、書籍や図版で多く取り上げられていますので、沢山存在すると
思われますが、実際には極めて稀で、一般に出回る事はありません。
④ 絵唐津の絵が、「かすれている物」には、贋作が多い。
本物には「かすれ」がほとんど見当たらない様です。
絵の無い、無地唐津の場合は、手掛かりが少なく判定は難しい様です。
奥高麗茶碗は、とても高価で贋作が多く出回っていますが、掘り出し物は皆無です。
⑤ 類似の他の陶器に注意。
) 上野(あがの)、高取、萩などの窯場でも、唐津と同様な焼き物が焼かれています。
) 唐津写しの作品に注意。
・ 美濃唐津: 胎土と絵の雰囲気が本物とは異なる。
・ 京唐津: 轆轤の回転方向が逆(右回転)です。
尚、瀬戸唐津、本手瀬戸唐津と呼ばれる焼き物は、瀬戸風の釉の意味で、瀬戸で焼かれた
物では有りません。
⑤ 二度焼や、後鉄絵の作品に注意。
発掘品を焼き直した作品も出回っています。
以下次回に続きます。
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