わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ3(技術を習得したい方の注意点)

2019-06-24 14:37:13 | 続 電動ろくろに付いて
陶芸と言えば「ろくろ」と思われる方も多いです。勿論電動ろくろを使わずに作品を造る方も

多くいます。ろくろを使わなくとも(手捻り)立派な作品を造れますし、ろくろでは表現でき

ない作品も数多く存在します。それ故、どちらの方法が良いと言うものではありません。

4)ろくろ(轆轤)は回転させながら、肉薄で軽い作品を形良く、早く作る道具です。

 手捻りよりも数倍~十数倍の速さで形作る事ができ、肉厚を薄く出来ますし、底削りなどの

 作業で、余分な肉を削り取ることで、さらに軽くなります。ろくろ技術に長けた方は、同じ

 様な形状と大きさの作品を、短時間に数多く作る事もできます。

 ろくろ作業を長引かせるのは、得策ではありません。なぜならば、ろくろは別名水挽とも呼

 ばれ、水を使って作る方法ですので、その水が素地に吸い込み素地を柔らかくし、腰が無く

 なります。その為時間と共に作品は下に沈み込み肉厚になります。水の役目は手と作品との

 摩擦を少なくし、手を作品上を滑らかに滑らせる事で、外部からの余分な外力を少なくさせ

 る事です。その為、ろくろに長けた方は水は出来るだけ少なくし、素地から出る泥を多用し

 ます。但し例え泥であっても、長時間作品に触っていれば、素地は水分を吸い込むのは変

 わりありません。それ故、短時間で作陶する事を心掛ける事です。

5) ろくろの技術習得には、かなりの時間を要します。

 自動車の運転免許に要する時間より、はるかに長い時間が必要です。更に自動車教習と同じ

 様に教官(批評してくれる人)がそばに居てくれる事が重要です。即ち初心者は一人や

 独学では、ほとんど何もできません。

 習得に必要とする時間とは、実質轆轤を回転させ粘土に触っている時間の長さになります。

 勿論、底削り等の削り作業時間も含まれます。

 始める年齢も自動車同様、年齢が若い程有利です。少なくとも60歳を超す前が理想です。

 勿論、熱心に練習される方や、手先が器用な方などその人の個性(特性)にもより、必要な

 時間はバラツキがあります。以前にも述べた様に、一般にご自分一人のみで、轆轤作業が出

 来るなでには、約500時間が必要です。集中して時間が取れれば、一年以内ですが、週一

 程度であれば、4~5年は掛かる事になります。

6) ろくろ技術には標準的な方法は存在しません。

 即ち、ある地域のみに通用する方法(技法)も存在します。これはその場所から産出す

 る素材(粘土)に関係する場合や、その地域の師弟関係の影響も大きく影響します。

 現在では、従来の様に焼き物の産地に囚われないで、ろくろを回している方が多くなりまし

 た。何処に住んでいても、自由に素材が簡単に手に入る事が可能に成った為です。

 その為、ろくろ技術は個人によって好きな(やり易い)様に、自由に変えられ様になりまし

 た。轆轤技術は、最初に指導を受けた指導者の技術を真似る事から始まります。この影響は

 かなり強く、ここから中々抜け出せません。それ故、最初は、どの様な方に付いて学ぶ

 かが重要になります。余談ですが、小生の所に左回転のろくろを習いたい方が見えた事が

 ありました。(一般に日本では右回転が多い)その方の指導してくれた方が、左回転でした

 ので、ろくろは左回転で作陶していました。指導者が亡くなった為、ろくろ技術を更に磨く

 為ろくろを再開したいのですが、左回転の指導者が中々見つからないと嘆いていました。

 問題は、回転方法だけではありません。前述した様に、作り方は人によって異なります。

 即ち、手指の使い方は勿論、作陶姿勢やコテ等の用具類の使い方にも違いがあります。

 途中からやり方が変わるのは、色々問題が発生し易いです。ある程度一人で作陶できるまで

 なるべく先生は変えない方が良いと思われます。

以下次回に続きます。
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