わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問  287 陶芸の手順とは4(轆轤作業の手順4)。

2017-05-24 16:41:55 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

1) 全体の手順

 ① 陶芸の作業の手順。

 ② 轆轤作業は特に手順を大切にしますので、轆轤を例にとって述べます。

 ③ 成形の手順

  ⅰ) 轆轤上の中央に、土を据え密着させる為、土を強く両手で叩く。

  ⅱ) 土殺しを行う。(センター出し)

  ⅲ) 作品の底を作る。  

  ⅳ) 土を上に伸ばす。  

  ⅴ) 形を作る。        以上が前回までの話です。

  ⅵ) 形を作った後に行う作業。 

   イ) ご自分の希望した形や寸法になったら、確認作業に入ります。

    口縁が凸凹に成っていないか? (勿論抹茶々碗の様にあえて凸凹にする場合を除きます。)

    一般には、底面と平行で均一の高さに成った作品が多いです。狂いが有る場合には、弓や

    細い針で切り取り高さを揃えます。振れが有る場合には、出来るだけ振れを止めます。

    尚、轆轤に慣れていない方は、轆轤上にある作品は座った状態で、斜め上から見る事と轆轤

    に近過ぎる為、正確な形を認識し難ですので、轆轤を回転させた状態で、なるべく遠くから

    見る事をお勧めします。

   ロ) 口縁を濡らした「なまめし皮」で拭きます。

    親指と人差し指の間に「皮」を入れ、摘む様にして使用します。摘む時間は、轆轤の回転を

    やや早くし、ニ回転する程度で終わらせます。

    口縁を滑らかにする以外に、土を締める目的もあります。皮の使い方によって、縁が太く

    成ったり、薄く成ったりします。即ち、摘む力を強くすれば、薄くなり力を弱め、他方の手

    の人差し指で縁の真上を押せば、肉厚の縁になります。磁器の場合には口縁が薄い事は賞賛

    されますが、陶器の場合には、薄い口縁は割れ易く、貧弱に見えます。

    更に、摘んだ指に捻りを加えると、端反りに成ったり、内側に入り込みます。

   ハ) 「竹へら」を使い、糸で切り離す位置を固定します。 

    切り離す際、底抜けに成らない様にする必要があります。それ故、内側の底との厚み(距離)

    が重要に成ります。特に数挽きの際には、一塊の土から順々に作品を切出しますので、

    轆轤に慣れない方は、厚みの判断が難しくなります。一本挽きの場合には、底に針を差込み

    厚が確認できます。位置が決れば、竹へらで楔形の切り口を作ります。楔形は切糸のガイド

    になりますので、轆轤を回転させ3mm程度内側に押し込みます。これは底面の裾野を面取

    りした事にもなります。面取りする事で乾燥時に底の中心に向かう亀裂を防ぐ事ができます

   ニ) 器の内側の水を取り除く。

    轆轤挽きすると、内部(特に底)に水が溜まります。この水を抜かないと、底割れが発生

    します。即ち、周囲は乾燥が速く、濡れた部分は乾燥が遅くなります。乾燥とは周囲の土を

    引っ張り合いながら、自身も縮む現象ですので、濡れた弱い部分は「又裂き」状態になり、

    亀裂が入る事になります。

   ホ) 作品を糸で切り離します。

    慣れた方なら、轆轤を回転させた状態で、切り口に糸を巻きつけ一回転半程度で水平に糸を

    引き、切り取ります。慣れない方は、轆轤を回転させずに止めたまま糸で切り取ります。

   へ) 作品を轆轤上より取り除く。

    作品によっては、轆轤上より取り除き難い形の物もあります。例えば平たい皿類や、寸胴形

    の物です。前者は直径が大きい為、持ち上げると変形してしまいます。この場合には亀板上

    で制作すると、亀板ごと移動が可能となります。又後者の場合、持ち上げる指の引っ掛かり

    が無い為、指が滑って持ち上げる事が出来ません。それ故、持ち上げる部分に出来るだけ

    竹へらで段差を設けておくと、持ち上げ易くなります。輪高台の場合は、これで良いのですが

    碁笥底高台の場合、なるべく段差は付けたくないですので、二重切で切る方法があります。

    即ち、高台部分を上下二段に切り分けます。上段が本来の切り取り位置で、下段が取り上げ

    る為の土です。下段は取り上げ易い形状にする事が出来ます。

    尚、轆轤上より作品を取り除く方法は、両手の人差し指と中指で「チョキ」を作り、指を

    上向きにして、両手の「チョキ」で作品を挟み、手前に傾ける様にして持ち上げます。

  ④ 底削りの手順。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする