わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 282 轆轤挽きで使う小道具(用具)とは 5

2017-05-01 17:43:22 | 素朴な疑問
3) 皮、布、スポンジの使い方。

 ③ 布の使い方。

  主に布は水切れ防止として使う事が多いです。その他、紐作り後轆轤挽きする際にも利用します

  ⅰ) 水切れ防止として利用。

   轆轤挽きでは水切れは大敵です。作業する手指が作品上を滑らかに移動できる為には水切れ

   しない様にする必要があります。水を含む布を使う事は理に叶う事になります。

   布を使う事で、手指を使う方法よりも、強い力で粘土を押す事が出来ます。その為、土を

   綺麗に回転させる(整形)事が出来ます。

  ⅱ) 使用する布は、薄手の物とやや厚手の物があります。

   薄手の布は、日本手拭(てぬぐい)等の薄手の布を、幅約10cm、長さ15~20cmに

   切った物を使います。やや厚手の布は、表面が滑らかで、毛羽立ちが無い物を使用します。

   大きさは小さな物から、大きな物など使う目的によって様々です。

  ⅲ) 薄手の布の使い方。

   a) 布の端は切断面になり、毛羽立ち易いですので、布を内々に折り、切れ端が隠れる様に

    します。 即ち、幅10cmの両端を布の中央まで折り、更に中央部分を谷折りにし、

    幅約2.5cm長さ15~20cmの短冊状に折ります。使う時は折口が左側に成る様に

    します。(轆轤が右回転の場合)これは、袋状になった口から粘土がは入るのを防ぐ為です。

   b) 両手を使う場合。

    大皿を作る際、底を拳で叩き締め、周囲を土手状に盛り上げる様にして作るのが、一般的に

    行われている作り方です。土手状の部分は高さも狂えば、外周も内側も凸凹です。

    轆轤挽きする前に高さを揃え、外側も綺麗な円にする必要があります。その為濡れた布を

    使います。布の使い方は、前回なめし皮でお話したと同じ方法で使います。

    即ち、右側の親指を土手の外周に、人差し指を内側当て、外周の真上は左手の人差し指で

    強く押し付けます。内外上の三方を強く押さえ込む事で綺麗な円にする事が出来ます。

    布が濡れている為、押さえ込む時間が長くなり、押さえる力も強く出来る利点があります。

  c) 紐作りで筒状に高く巻き上げてから轆轤挽きする方法でも、布を使うと作業がし易いです。

    即ち、各段の繋ぎ目を指で綺麗に消す作業をしても、表面の凸凹は残ります。薄手の布を

    濡らして左右一枚づつ持ち、轆轤を回転させ、内外の壁を滑らかに整形してから、本格的な

    轆轤挽きに移ります。筒の高さ(深さ)によっては、両手が繋がらない事もあります。

    手順としては、最初に濡れた布を、両手の中指と人差し指の先端に巻き付け、親指で端を押

    さえます。膜方向は轆轤の回転で布が解けない方向にします。即ち轆轤が右回転ならば、

    巻く方向も右巻きとなります。軽く内外から挟む様にして、泥(ドベ)をだします。

    次に、両手の布を下から上、上から下へ布を滑らせます。基本は肉の厚い方向から薄い方向

    になります。最初は轆轤の回転を遅くし、凸凹が少なくなったら、回転を速くします。

    表面の凸凹が無くなれば、布を取り外します。

  d) 背の高い作品を作る際、上下を別々に作り、下側がある程度乾燥したらその上に継ぎ足す

    方法があります。即ち切継ぎ、碗継ぎと呼ばれる方法です。

    継ぎ足す際、合わせ目の肉厚を一定にする為、繋ぎ目が無くなる様にする為、濡れた布を

    使う事があります。当然繋ぎ目の大きさは略同じ様にすると同時に、糊代となる部分は肉厚

    に成りますので、繋ぎ目の肉厚は他よりも肉厚になります。この部分を布を用いて他と

    同じ厚みに仕上げます。基本的には肉厚の部分から、肉薄の部分に土を滑らせ移動し、

    しっかり接着した後、轆轤挽きして薄く伸ばします。両手に持った薄手の布で挟み込み

    ます。手の入らない場合には、次に述べる柄コテを使います。 

  e) 柄コテ(鏝)の先に濡れた布を巻き付けて使う方法。

    口縁が狭い作品では、手が中に入らなくなりますので、柄コテを使います。内側は水で濡

    らす事は難しくなりますので、水切れし易いです。そこで柄コテの先に濡れた短冊状の布を

    巻き使います。但し、轆轤の回転が右であれば、巻き付ける方向も右にします。さもないと

    轆轤の回転と共に布が解ける事になるからです。(指に巻き付ける時と同じ)

  f) ハゼ石の入った粘土や目の粗い粘土を使う場合、指を保護する目的で濡れた布を使います。

    土殺しの時に大量の土を使う程、掌や指び付け根などに強い力が必要になります。

    強く押し付けると石等で手や指を切る恐れが生じます。特に女性に向いた方法とも言えます

    使い方は、掌(てのひら)側の人差し指、中指、薬指の指の付け根から指先に掛けて、

    濡れた布で覆い、一端は、小指と薬指の間を通し、他端は親指と人差し指の間を通し、

    挟み込んで保持します。この場合掌全体が濡れた布で覆われている訳では有りませんので、

    親指の付け根付近は無防備になります。掌全体を覆うのでしたら、五本の指全部を布を巻き

    付ける必要があります。厚手の布であれば、掌の保護になるのですが、掌の感覚が鈍くなる

    のが欠点となります。

 その他に濡れた布を上手に使っている方もいらっしゃる事と思います。各自工夫して使う事を

 お勧めします。

 ④ スポンジの使い方。

以下次回に続きます。

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