わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く 2 窯の設計 1

2016-05-30 14:02:06 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

最初にやる事は、全体のレイアウト図です。即ち、窯の位置だけでなく、窯詰めの際の人の動き

(動線)や窯出しの際の作品を並べる場所等、プロパンガスの場合はボンベの置く位置も決めておく

必要があります。勿論、ボンベの交換もありますので、人が出入りし交換し易い位置である事です。

何処の様に配置するかと言う事がレイアウト図になります。

自作の窯の場合、移動用のキャスターは付いていないのが普通です。それ故、一度築いてしまった

窯は容易に移動させる事は難しくなりますので、予め十分検討して置く事が大切です。

特に敷地が狭い場合には、念入りに配置を考えておく事です。

但し、本格的に設計図(機械設計、構造図)を描く事の出来る方は、極少数の方のみと思われます。

それ故、全体が見渡せる概観図、鳥瞰図又は大まかな図面でも十分です。細かい部分も必要に成る

かも知れませんが、その都度図面化する事です。例えば、耐火煉瓦の積み方も、壁の厚みをどの位に

するかによって色々な方法がありますので、どの方法を採るかによっても、窯全体の大きさに関わり

ます。尚、窯の壁の厚みは窯の冷え方にも関係します。(結晶化を促すには壁を厚くする事です)

図面から設置に必要な土地の面積や区割り、鋼材(窯の外枠用)、耐火煉瓦(レンガ)の量、

耐火モルタル等の必要量が割り出されます。勿論、数分の一の縮尺で十分です。

1) 窯の種類を選定する。電気、ガス、灯油、薪の中から選ぶ。

 ① 窯の種類に拠って構造に違いがあります。薪窯(特に窖窯)の場合は、直接地面の上に築くか

  半地下式事が多いのです。他の種類の窯の場合は、地面より浮かせた構造になる事が多いです。

 ② 電気の場合は焚口は設けませんが、他の窯には単数又は複数個の焚口が必要です。

  どの様な燃料を使う窯によっても、焚口の構造に違いがあります。

 ③ 窯の扉の位置や開く方向も大切です。窯詰めや窯出しのし易い構造出なければ成りません。

  扉の開閉もスムーズに行える事も大切です。又、熱伝対温度計は是非とも欲しい物です。

  取り付け位置も考慮する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。なるべく多くの資料を揃える事です。

  現在の燃料を使う窯のほとんどは、倒炎式の構造に成っています。即ち、側面又は裏面下部から

  上昇した炎は丸みのある天井まで昇り、下部に向かい底面(又は更に下)に設けられた煙道から

  煙突に抜け外部に放出される構造に成っています。これは、窯内の温度差を少なくする為の構造

  です。その為、窯の扉も前面又は横面に設ける事になります。現在では、窯詰めが便利の様に

  シャトル式の物もありますが、自分で築く窯の場合は、窯やシャトル台などの構造が複雑に

  成りますので、この際考慮しない事にします。

  一方電気窯の場合は、天井に丸み(アーチ)を付ける必要がありませんので、扉も天板に設ける

  事が出来ます。この場合窯詰めは上部からになります。

  陶芸の窯を作っているメーカーのカタログからも、窯の構造を読み取る事が出来ます。

  ) 燃料の種類によって区別されているはずですので、ご自分が作ろうとしている窯はどれに

   相当するか見比べる必要があります。

  ) 窯の内寸を決める。(本焼き時の作品詰め込む量が決ります。)

   a) 一度に本焼きする作品の量で決まります。小型の窯で回数で稼ぐ方法と、一度に大量の

    作品を焼く方法があります。前者の場合小回りが利きますので、急ぎの仕事がある場合、

    巧く対応が可能です。但し焼く回数が増えますので作業的には「きつく」なります。

   b) 縦に長い窯、横幅のある窯、奥行きの深い窯、奥行きが浅い窯。

    使い易さと燃料の効率に関係してきます。但し窖窯の場合は別の話になります。

    各々長所と欠点があります。例えば奥行きの深い窯では、作品を多く詰める事が出来、

    熱を保持するのに適しますが、窯詰めの際大変です。横幅のある窯は、窯詰めや窯出しが

    容易ですが、扉も大型に成り易く、窯内部の温度差が出易い構造とも言えます。

   c) 燃料の違いによってバーナの種類も異なり、取り付ける数や取り付ける位置も違います。

    どの様に取り付けているかも参考になります。自然燃焼方法のガス窯の場合は、窯の左右に

    複数の焚き口を設ける事に成ります。その為横方向に長く成ります。

    灯油窯や強制燃焼方式のガス窯は、焚き口が一つの場合が多いです。(大型な窯では複数に

    なります。)この場合も側面又は裏面に設けますので内寸も大きくなります。

   d) 棚板から窯の内寸が決る場合があります。

    例 あるメーカーの市販されている棚板(メーカーによって厚みの寸法が異なる場合有り)

    ・ 正方形(縦x横x厚み):カーボランダム製

     250x250x10mm。300x300x10mm。320x320x10mm。

     330x330x10mm。350x350x10mm。450x450x10mm。

    ・ 長方形

     350x300x10mm。350x400x10mm。350x450x10mm。

     400x450x13mm。400x500x13mm。

    既存の棚板を使う場合、一段に何枚使う(敷く)かによって自然と窯の容量(作品量)が

    決まります。更に、焚き口(バーナー)の取り付け寸法を加味して内寸が決ります。

    尚、バーナー類の寸法も、メーカーのカタログから知る事ができます。

以下次回に続きます。
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