わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 227 殺す、絞める、刺す、切る、叩く等の陶芸用語とは9?。

2016-02-21 15:10:49 | 素朴な疑問
8) 作品を切断する行為とは?

 折角完成させた作品を真っ二つに切断して、他の作品に作り変える方法があります。

 勿論、最初から予定している場合が多いのですが、途中の思い付きで切断する方に、変更する事も

 あります。又、一つの作品を思い切って切断し、好みの作品に仕上げる方法や、全く違った作品に

 仕上げる事もあります。

 ① 作品を縦に真っ二つに切断する行為とは?

  ) 瓢箪(ひょうたん)形の皿。

  ) 徳利や花瓶を縦に切断した器。

  ) 竹を割った器。 (以上までが前回お話した事柄です。)

  ) 風船作りからの加工。

   a) 風船作りとは、轆轤作業の最終段階で、最上部の口縁部を徐々に絞り、完全に閉じて仕舞

    いゴム風船の様な形を作る方です。完全に閉じられた状態では、中の空気が外に逃げない為

    上から圧力を加えれば、横方向に力が増します。即ち直径が大きくなります。逆に直径を

    細くすれば上に伸びる(高くなる)事になります。但し、肉厚との関係がありますので、

    必ずしも思う通りに形が変形する訳ではありません。肉厚の厚い処は変形し難いです。

   b) 完全に閉じられた作品は、そのままではほとんど役に立ちません。

    それ故、何らかの方法で、使える様に加工する必要があります。但し加工するにはある程度

    乾燥させておく必要があります。そのままの状態で乾燥させると、素地の収縮と共に空気も

    圧縮され、最悪弱い部分から亀裂が入ります。その為、針の穴程度で良いですから、穴を

    貫通さえておきます。切断する一番一般的な方法は、胴体部分を輪切りにし、上部を蓋に

    する方法です。尚 風船作りの際に、摘み部分を一体的に作る事も可能です。

    輪切りの位置によって、皿に成ったり小鉢や丼風の器、小物入れにする事が出来ます。

    但し、蓋がずれない様に何らかの方法を、講じる必要があります。例えば切断面を凸凹

    (食い違い等)にしたり、蓋の内側と器の縁に斜面を設け、動かない様にする方法もあり

    ます。器と蓋が一体に成形されていますので、綺麗な形の器が出来ます。

 ② 轆轤で楕円形の皿を作る。

   轆轤では楕円形の作品を作る事も苦手です。但しやり方に拠っては、楕円の器を作る事が

   出来ます。簡単な方法と、かなり手の混んだ方法があります。

   ) 簡単な方法は、底は円形のままで、底以外を楕円形にする方法です。

    素地が生乾きの状態では、縁周辺の円形も楕円にする事は、さほど難しくはありません。

    両側を反対方向に伸ばしたり、逆に両端を接近させれば楕円に成ります。但し、口縁の高さ

    が均一に成りませんので、切ったり削ったりして高を揃える事もあります。

   ) 底までも楕円形にするには、底の中央部を「笹の葉状」に切り取る方法があります。

    切り取った後、底を轆轤上(又は亀板上)から糸を入れて切り取り、底を笹の葉の隙間に

    左右の土を押して埋める様に圧着させます。圧着が弱いと切れ易くなりますので、しっかり

    側面と上下方向及び底の裏側を接着する必要があります。底が楕円状に成れば、側面も

    楕円形に成りますが、手作業での変更では、綺麗な楕円形に整えるのは、かなり難しくなり

    ます。

   ) 俵形の器を縦に切断して楕円を作る。

    上記の風船作りの要領で、縦長の容器を作り縦に切断して作ります。

    但し、上部は好みの形に丸める事が出来ますが、反対側はシッタを用いて削り出す必要が

    あります。これは俵形の器を作る方法と同じです。この方法で難しいのは、楕円の長軸方向

    の丸みが同じ様に成らない点です。轆轤挽きと削りでは、おのずと形が異なり易いためです

    この器は一般的に、長楕円形にするのが制作が容易です。

   ) 轆轤挽きした円形の器を楕円形の型に押し当て、形を作る。

    この方法であれば、意外と簡単ですが、型(内、外型)が無ければ作れません。その型を

    自作するのもかなり難しいです。尚、型が出来れば同じ形の楕円形の器を数多く作る事が

    可能です。 自作する場合、粘土の塊から削りだすか、楕円の容器に石膏を流し込み型を

    作る事になります。  

   ) 楕円の器では付け高台にすると良い。

    高台を楕円に削り出すのは、手捻りであっても、かなり困難です。それ故、「ベタ高台」に

    楕円形の高台を取り付ける方が、簡単です。

以上にて、「殺す、絞める、刺す、切る、叩く等の陶芸用語とは?」の話を終わります。
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