2) 「景色」はどの様にして起こるか?。
景色は① 作品の成形過程で起こる「景色」、② 作品の焼成過程で起こる「景色」、③ 作品を
使用中に起こる「景色」に分類できます。
② 作品の焼成過程で起こる「景色」。(前回の続きです)
) 窯変(ようへん): 焼成中に普段とは異なる釉の色や結晶模様などが現れれ現象です。
現在では、偶然性に頼らずに、ある程度の事が再現できる様に成ってきました。
以下の窯変は主に無釉の陶器である、備前焼に現れる窯変です。
a) 牡丹餅: 作品を重ね焼きし、効率的に窯を利用する事で得られた結果の「景色」です。
大きな器などの作品の上に、直に作品を重ね焼きした物で、重なった部分に炎や灰が
掛からない結果出来た「景色」です。上に置いた器の跡が素地のまま、丸い牡丹餅
(ぼたもち)風になりなります。
b) 黄胡麻、青胡麻、カセ胡麻(ごま): 燃料である松の灰が高温で熔け、自然釉となった
物を胡麻と言います。窯の構造や年代によって発色に違いがあります。江戸時代以降は
黄胡麻、それ以前は青胡麻が多い様です。現在では、人為的に松灰を振り掛ける事で、
出現させる事が可能に成っています。
・ カセ胡麻: 飛んだ小粒の灰が完全に熔けず、粒粒の状態のまま残った状態です
c) サンギリ: 窯の中で灰で埋もれた場所で起こる現象です。
即ち還元焼成の為、肌が赤くならず、暗灰色を呈します。
・ 榎肌(えのきはだ): サンギリよりも更に温度が低く、積もった灰が黒色や灰色の粒粒
で、あたかも榎の樹肌の如く様相を呈した物です。
d) 火襷(ひだすき): 白又は薄茶色の素地に、濃い赤色の線が生じた物です。
本来は、重ね焼きした際、作品同士がくっつくのを防ぐ目的で、作品に藁(わら)を
巻いて窯詰めした結果です。藁の跡が赤色に残ります。
) 信楽焼きの窯変
a) 釉垂れ: 松灰による自然釉が熔けて流れ出し状態で、透明度の高い緑色になった物を
特にビードロと呼んでいます。最も綺麗な窯変とも言われています。
b) 釉溜り(くすりだまり): 釉が熔けて流れながらも、下まで落ちる事なく、途中で
滴(しずく)の様に留まった状態の物です。
c) 灰被り(はいかぶり): 窯の温度が低い為、完全に熔けていない松灰が降り掛かった
状態です。灰は多くの場合白色になります。
d) 抜け: 高温の炎が直接当たった部分は赤色になります。しかし直接炎が当たらない場合
や、他の作品の陰に成った部分は白色になります。同じ作品でありながら、隣同士で赤と白
の模様になった窯変を「抜け」と言います。
) その他の窯変。
a) 国宝の曜変天目茶碗(稲葉など4点)も窯変と言えるかも知れません。
曜変は元々窯変と書かれた物との事ですので、窯変の一種です。
b) 楽焼きにも窯変の作品が多いです。
・ 国宝 楽茶碗 銘「不二山」光悦作 江戸時代
・ 重文 楽茶碗 銘「雨曇(あもぐも)」 光悦作 江戸時代
・ 楽茶碗 銘「是色(ぜしき)」 道入作
これらは釉の色が場所により異なり、「景色」と成っています。
上記以外に多数存在します。
) その他の「景色」。
a) 梅華皮(かいらぎ): 釉が縮れて粒状になった物です。
特に高台付近(高台脇)の釉が縮れ、細かい露がびっしり付いた状態です。
b) 御本(ごほん): 作品の表面の所々に、白ぽいい肌に赤い(又はピンク)斑点が現れる
現象です。斑点は略円形で5~30mm 程度の物が多いです。器の内外にでます。
更にその出現も色々なパターンが存在します。土の成分と焼き方によって異なると思われ
ます。素地に薄い白化粧を施したり、透明系の釉を掛け、還元気味の焼成で出現すると
言われていますが、不確実性が高いです。
器の内側に大きな御本が一つある物、細かい粒子状の御本が密集している物、淡い色の御本、
濃淡のある御本、その他表情は諸々です。
③ 使用中に起こる「景色」。
以下次回に続きます。
景色は① 作品の成形過程で起こる「景色」、② 作品の焼成過程で起こる「景色」、③ 作品を
使用中に起こる「景色」に分類できます。
② 作品の焼成過程で起こる「景色」。(前回の続きです)
) 窯変(ようへん): 焼成中に普段とは異なる釉の色や結晶模様などが現れれ現象です。
現在では、偶然性に頼らずに、ある程度の事が再現できる様に成ってきました。
以下の窯変は主に無釉の陶器である、備前焼に現れる窯変です。
a) 牡丹餅: 作品を重ね焼きし、効率的に窯を利用する事で得られた結果の「景色」です。
大きな器などの作品の上に、直に作品を重ね焼きした物で、重なった部分に炎や灰が
掛からない結果出来た「景色」です。上に置いた器の跡が素地のまま、丸い牡丹餅
(ぼたもち)風になりなります。
b) 黄胡麻、青胡麻、カセ胡麻(ごま): 燃料である松の灰が高温で熔け、自然釉となった
物を胡麻と言います。窯の構造や年代によって発色に違いがあります。江戸時代以降は
黄胡麻、それ以前は青胡麻が多い様です。現在では、人為的に松灰を振り掛ける事で、
出現させる事が可能に成っています。
・ カセ胡麻: 飛んだ小粒の灰が完全に熔けず、粒粒の状態のまま残った状態です
c) サンギリ: 窯の中で灰で埋もれた場所で起こる現象です。
即ち還元焼成の為、肌が赤くならず、暗灰色を呈します。
・ 榎肌(えのきはだ): サンギリよりも更に温度が低く、積もった灰が黒色や灰色の粒粒
で、あたかも榎の樹肌の如く様相を呈した物です。
d) 火襷(ひだすき): 白又は薄茶色の素地に、濃い赤色の線が生じた物です。
本来は、重ね焼きした際、作品同士がくっつくのを防ぐ目的で、作品に藁(わら)を
巻いて窯詰めした結果です。藁の跡が赤色に残ります。
) 信楽焼きの窯変
a) 釉垂れ: 松灰による自然釉が熔けて流れ出し状態で、透明度の高い緑色になった物を
特にビードロと呼んでいます。最も綺麗な窯変とも言われています。
b) 釉溜り(くすりだまり): 釉が熔けて流れながらも、下まで落ちる事なく、途中で
滴(しずく)の様に留まった状態の物です。
c) 灰被り(はいかぶり): 窯の温度が低い為、完全に熔けていない松灰が降り掛かった
状態です。灰は多くの場合白色になります。
d) 抜け: 高温の炎が直接当たった部分は赤色になります。しかし直接炎が当たらない場合
や、他の作品の陰に成った部分は白色になります。同じ作品でありながら、隣同士で赤と白
の模様になった窯変を「抜け」と言います。
) その他の窯変。
a) 国宝の曜変天目茶碗(稲葉など4点)も窯変と言えるかも知れません。
曜変は元々窯変と書かれた物との事ですので、窯変の一種です。
b) 楽焼きにも窯変の作品が多いです。
・ 国宝 楽茶碗 銘「不二山」光悦作 江戸時代
・ 重文 楽茶碗 銘「雨曇(あもぐも)」 光悦作 江戸時代
・ 楽茶碗 銘「是色(ぜしき)」 道入作
これらは釉の色が場所により異なり、「景色」と成っています。
上記以外に多数存在します。
) その他の「景色」。
a) 梅華皮(かいらぎ): 釉が縮れて粒状になった物です。
特に高台付近(高台脇)の釉が縮れ、細かい露がびっしり付いた状態です。
b) 御本(ごほん): 作品の表面の所々に、白ぽいい肌に赤い(又はピンク)斑点が現れる
現象です。斑点は略円形で5~30mm 程度の物が多いです。器の内外にでます。
更にその出現も色々なパターンが存在します。土の成分と焼き方によって異なると思われ
ます。素地に薄い白化粧を施したり、透明系の釉を掛け、還元気味の焼成で出現すると
言われていますが、不確実性が高いです。
器の内側に大きな御本が一つある物、細かい粒子状の御本が密集している物、淡い色の御本、
濃淡のある御本、その他表情は諸々です。
③ 使用中に起こる「景色」。
以下次回に続きます。