2) 福島長石に天然灰を添加した釉。
天然の灰は、当初は窯焚きの際に使用する赤松や雑木の薪の灰を利用した物が多いです。
即ち、廃物利用と言えます。但し、現在では窯の灰には純粋の松灰以外に、他の雑木の灰が
含まれる可能性が大きいですので、別の方法を取っていると思われます。
後で述べる藁や籾殻(もみがら)、糠(ぬか)も脱穀や精米時に発生する廃棄物とも言われる
物です。釉はこの様な不用品を上手に使っています。
③ 灰釉の実態。(前回の続きです)
) 天然栗皮灰を添加した場合。
「桃栗三年柿八年」と言われる様に、栗は生長の速い樹木です。又古く縄文時代より、
実は食料として、幹は水に強く防虫効果があり腐敗し難く、防腐剤で処理しなくても十分使
える為、土木工事や家屋の材料に大量に使われていました。現在でも同様の理由で多くの
処で使用されていました。当然、樹皮は不要ですので、剥ぎ取る事になります。
樹皮の一部は草木染めの染料などとして利用されますが、大部分は廃棄処分される運命に
なります。そこでこの樹皮で灰を作った処、長石を良く熔かし、更には面白味のある釉と
成りましたので、樹皮が利用される様になります。尚、栗皮灰は淡い黄色を帯びています。
珪酸(シリカ)成分が多いのが特徴で、アルミナ成分や鉄分は比較的少なく、雑味もあり
ません。
a) 天然栗皮灰を30%添加した場合。
酸化焼成では、澄んだ薄い黄色に発色します。還元焼成では、綺麗な淡い青紫色になり
ます。栗皮に含まれる珪酸の影響で、釉が少し濁る事もあります。
b) 天然栗皮灰を50%添加した場合。
融点が下がり、流れ易い釉になります。又、釉肌に艶があり、酸化で澄んだ黄色、還元で
澄んだ深緑色になります。
c) 天然栗皮灰を70%添加した場合。
融点が下がり過ぎて、作品の表面より流れ落ちます。還元焼成では艶消し状態になります
) 市販されている、その他の灰
a) 天然(又は合成)藁(わら)、籾殻(もみがら、もみ)灰、糠(ぬか)の灰(市販品に
見当たりません)にはシリカ成分が多く含まれる為、長石に30~50%程度添加すると、
乳濁釉になります。藁白、白萩、卯の斑(鵜の斑)、糠白などと呼ばれる釉です。
b) 天然樫(かし)灰。 松灰に次いで多く用いられる灰です。アルカリや鉄分がほとんど
有りません。長石に添加した釉は、艶があり釉の濃さによって細か目~大き目の貫入が
入り易いです。酸化で淡い黄色、還元で淡い青~濃い青緑色となります。
c) 合成柞(いす)灰、又は天然欅(けやき)灰。
柞灰は鉄分が極端に少ない灰ですが、天然物はほとんど入手が出来ません。それ故、天然の
欅の灰が代用品として使われています。
3) 灰釉を作る時の注意事項。
① 灰のみでは釉には成りません。即ち、全く熔けないないのが普通です。
熔ける為には、ガラスの材料になる成分(長石など)が必要です。透明釉にするには長石8に
灰が2の割合(重量比)になります。又灰釉として利用するには、長石7に灰3の割合と
します。
② 安定した灰釉を作る際には、長石:各種灰:藁灰=5:4:1とも言われています。
尚、藁灰の代わりにカオリンを使っても同じ効果が得られます。
以下次回に続きます。
天然の灰は、当初は窯焚きの際に使用する赤松や雑木の薪の灰を利用した物が多いです。
即ち、廃物利用と言えます。但し、現在では窯の灰には純粋の松灰以外に、他の雑木の灰が
含まれる可能性が大きいですので、別の方法を取っていると思われます。
後で述べる藁や籾殻(もみがら)、糠(ぬか)も脱穀や精米時に発生する廃棄物とも言われる
物です。釉はこの様な不用品を上手に使っています。
③ 灰釉の実態。(前回の続きです)
) 天然栗皮灰を添加した場合。
「桃栗三年柿八年」と言われる様に、栗は生長の速い樹木です。又古く縄文時代より、
実は食料として、幹は水に強く防虫効果があり腐敗し難く、防腐剤で処理しなくても十分使
える為、土木工事や家屋の材料に大量に使われていました。現在でも同様の理由で多くの
処で使用されていました。当然、樹皮は不要ですので、剥ぎ取る事になります。
樹皮の一部は草木染めの染料などとして利用されますが、大部分は廃棄処分される運命に
なります。そこでこの樹皮で灰を作った処、長石を良く熔かし、更には面白味のある釉と
成りましたので、樹皮が利用される様になります。尚、栗皮灰は淡い黄色を帯びています。
珪酸(シリカ)成分が多いのが特徴で、アルミナ成分や鉄分は比較的少なく、雑味もあり
ません。
a) 天然栗皮灰を30%添加した場合。
酸化焼成では、澄んだ薄い黄色に発色します。還元焼成では、綺麗な淡い青紫色になり
ます。栗皮に含まれる珪酸の影響で、釉が少し濁る事もあります。
b) 天然栗皮灰を50%添加した場合。
融点が下がり、流れ易い釉になります。又、釉肌に艶があり、酸化で澄んだ黄色、還元で
澄んだ深緑色になります。
c) 天然栗皮灰を70%添加した場合。
融点が下がり過ぎて、作品の表面より流れ落ちます。還元焼成では艶消し状態になります
) 市販されている、その他の灰
a) 天然(又は合成)藁(わら)、籾殻(もみがら、もみ)灰、糠(ぬか)の灰(市販品に
見当たりません)にはシリカ成分が多く含まれる為、長石に30~50%程度添加すると、
乳濁釉になります。藁白、白萩、卯の斑(鵜の斑)、糠白などと呼ばれる釉です。
b) 天然樫(かし)灰。 松灰に次いで多く用いられる灰です。アルカリや鉄分がほとんど
有りません。長石に添加した釉は、艶があり釉の濃さによって細か目~大き目の貫入が
入り易いです。酸化で淡い黄色、還元で淡い青~濃い青緑色となります。
c) 合成柞(いす)灰、又は天然欅(けやき)灰。
柞灰は鉄分が極端に少ない灰ですが、天然物はほとんど入手が出来ません。それ故、天然の
欅の灰が代用品として使われています。
3) 灰釉を作る時の注意事項。
① 灰のみでは釉には成りません。即ち、全く熔けないないのが普通です。
熔ける為には、ガラスの材料になる成分(長石など)が必要です。透明釉にするには長石8に
灰が2の割合(重量比)になります。又灰釉として利用するには、長石7に灰3の割合と
します。
② 安定した灰釉を作る際には、長石:各種灰:藁灰=5:4:1とも言われています。
尚、藁灰の代わりにカオリンを使っても同じ効果が得られます。
以下次回に続きます。