窯を開けるまで解からない理由は、窯の中の状態がしっかり見えない事も一つの原因です。但し、
釉の熔け具合は、釉の光沢やテストピースを入れ引き出す事で判断できますが、どの様な色に成って
いるかまでは明確に判断できません。当然、窯が冷えるに従いガラス質は固まり、結晶などが成長し
色も固定されますが、この段階で窯を開ける事は出来ません(無理に開けると、作品が壊れます)。
但し、楽焼き等はこの段階で窯を開けますので、少しは条件が良いかもしれません。
注: 当然の事ですが、本ブログで取り上げた事を実施すれば、窯が安定し常に一定品質の作品が
焼き上がる事を保障するものでは有りません。なぜなら、同じ容量で同じ燃料であっても、
各々窯毎に癖があり、一概に安定させるには、「これ」と言えるものが無いからです。
1) 焼き上がりの良し悪しを決定する要素は、数多く存在します。
「一土二焼き三細工」と言われる評価方法がありますが、ここでは、土と細工の項目を除いて
お話したいと思います。
① 毎回焼き上がりに変化が出る要因。
尚、ここでは、同じ窯で焼成する事を前提でお話します。
釉及び施釉に関する事項(釉の種類、釉の厚み、漬け掛け、流し掛けなど)。窯詰めに関する
事項(棚板の組み方、作品を置く位置など)。窯の構造と調整に関する事項(煙突の引きの
強さ、空気や電気の供給量、窯の改良など)。焼成温度に関する事項(最高温度、攻め焚きと、
寝らしなど)。焼成方法(焼成時間、酸化還元、燃料の供給、昇温、冷却スピード等)に関する
事項。その他の事項(天候、季節)などです。これらは単独で作用するのではなく、複合的な
要因によって変化します。但し、ここでは個々の事項に付いてお話します。
前置きが長くなりましたが、ここより本題に入ります。
2) 釉及び施釉に関する事項。
理想的な釉(色見本通り)が想像できれば、毎回その様な釉に発色させる事が狙いになります。
但し、理想の釉がどの様なものか、想像できなければ、今まで焼成した中で、最高の物を目指す
事になります。尚、未知の釉を目指すにしても、ある程度の予測を立てているはずです。
① 釉の種類。一つの窯で、単独の釉か複数の釉を一緒に焼成するか。
) 一窯全体を一つの釉の作品で占める場合。
窯の大きさにもよりますが、容量の小さな窯であれば、単独の釉を掛けた作品のみを焼く
事も多いです。その際には複数の釉の作品を一緒に焼成するよりも、条件は良くなります
) 釉の種類によっても、推奨する釉を厚く掛けるものと、薄く掛けるもの、普通の厚み
(昔から葉書3枚程度と言われています)のものがあります。当然、施釉の厚みに差が
あれば、同じ釉を掛けても発色の仕方に違いが出ます。同じ釉であれば、特別な場合を
除き、同じ厚みに施釉する事が大切です。
) 釉の特性を頭に入れて置く事。
a) 釉には流動性のある釉(主に結晶釉など)や、流動性の乏しい釉(志野釉など)があり
ます。更に、流れる割合にも大小があります。当然ですが高温に成るに従い流れ易く
なります。
b) 釉によって焼成温度範囲が異なる事もあります。
陶器の場合、一般に1180~1250℃程度の範囲内に入る釉が多いです。特に1230℃を中心に
上下10℃程度が普通です。市販されている釉も、おおむねこの範囲内の物がほとんどです
但し、土鍋土の場合は、最高温度1180℃と成っている物が多いです。
磁器であれば、更に高温で1280~1300℃で焼成する事が多いです。
c) 酸化、還元焼成で発色が変化します。
釉には、酸化焼成向きのもの、還元焼成のもの、どちらでも発色に影響しない物があり
ます。それ故、なるべく同じ雰囲気で焼成する釉を選ぶ事です。
尚、容積の大きな窯であれば、経験からこの場所は還元が掛易い場所を見つける事ができ
ます。
以下次回に続きます。
釉の熔け具合は、釉の光沢やテストピースを入れ引き出す事で判断できますが、どの様な色に成って
いるかまでは明確に判断できません。当然、窯が冷えるに従いガラス質は固まり、結晶などが成長し
色も固定されますが、この段階で窯を開ける事は出来ません(無理に開けると、作品が壊れます)。
但し、楽焼き等はこの段階で窯を開けますので、少しは条件が良いかもしれません。
注: 当然の事ですが、本ブログで取り上げた事を実施すれば、窯が安定し常に一定品質の作品が
焼き上がる事を保障するものでは有りません。なぜなら、同じ容量で同じ燃料であっても、
各々窯毎に癖があり、一概に安定させるには、「これ」と言えるものが無いからです。
1) 焼き上がりの良し悪しを決定する要素は、数多く存在します。
「一土二焼き三細工」と言われる評価方法がありますが、ここでは、土と細工の項目を除いて
お話したいと思います。
① 毎回焼き上がりに変化が出る要因。
尚、ここでは、同じ窯で焼成する事を前提でお話します。
釉及び施釉に関する事項(釉の種類、釉の厚み、漬け掛け、流し掛けなど)。窯詰めに関する
事項(棚板の組み方、作品を置く位置など)。窯の構造と調整に関する事項(煙突の引きの
強さ、空気や電気の供給量、窯の改良など)。焼成温度に関する事項(最高温度、攻め焚きと、
寝らしなど)。焼成方法(焼成時間、酸化還元、燃料の供給、昇温、冷却スピード等)に関する
事項。その他の事項(天候、季節)などです。これらは単独で作用するのではなく、複合的な
要因によって変化します。但し、ここでは個々の事項に付いてお話します。
前置きが長くなりましたが、ここより本題に入ります。
2) 釉及び施釉に関する事項。
理想的な釉(色見本通り)が想像できれば、毎回その様な釉に発色させる事が狙いになります。
但し、理想の釉がどの様なものか、想像できなければ、今まで焼成した中で、最高の物を目指す
事になります。尚、未知の釉を目指すにしても、ある程度の予測を立てているはずです。
① 釉の種類。一つの窯で、単独の釉か複数の釉を一緒に焼成するか。
) 一窯全体を一つの釉の作品で占める場合。
窯の大きさにもよりますが、容量の小さな窯であれば、単独の釉を掛けた作品のみを焼く
事も多いです。その際には複数の釉の作品を一緒に焼成するよりも、条件は良くなります
) 釉の種類によっても、推奨する釉を厚く掛けるものと、薄く掛けるもの、普通の厚み
(昔から葉書3枚程度と言われています)のものがあります。当然、施釉の厚みに差が
あれば、同じ釉を掛けても発色の仕方に違いが出ます。同じ釉であれば、特別な場合を
除き、同じ厚みに施釉する事が大切です。
) 釉の特性を頭に入れて置く事。
a) 釉には流動性のある釉(主に結晶釉など)や、流動性の乏しい釉(志野釉など)があり
ます。更に、流れる割合にも大小があります。当然ですが高温に成るに従い流れ易く
なります。
b) 釉によって焼成温度範囲が異なる事もあります。
陶器の場合、一般に1180~1250℃程度の範囲内に入る釉が多いです。特に1230℃を中心に
上下10℃程度が普通です。市販されている釉も、おおむねこの範囲内の物がほとんどです
但し、土鍋土の場合は、最高温度1180℃と成っている物が多いです。
磁器であれば、更に高温で1280~1300℃で焼成する事が多いです。
c) 酸化、還元焼成で発色が変化します。
釉には、酸化焼成向きのもの、還元焼成のもの、どちらでも発色に影響しない物があり
ます。それ故、なるべく同じ雰囲気で焼成する釉を選ぶ事です。
尚、容積の大きな窯であれば、経験からこの場所は還元が掛易い場所を見つける事ができ
ます。
以下次回に続きます。