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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸245(杉本貞光)

2012-11-26 22:10:41 | 現代陶芸と工芸家達

京都大徳寺の立花大亀老師は、高僧であると共に大茶人でもあり、「桃山に帰れ」の教えを忠実に

実行して、信楽、伊賀から始まり、長次郎、本阿弥光悦の楽、高麗物の井戸、粉引、織部、志野等

多様な焼き物を手掛けているのが、杉本貞光氏です。

1) 杉本貞光(すぎもと さだみつ); 1935年(昭和10) ~  : 寺垣外窯

  ① 経歴

    1935年 東京に生まれます。

    1968年 信楽の山中に窖窯(あながま)を築き、信楽焼きと「レリーフ制作」を開始します。

    1974年 大徳寺、立花大亀老師よりご教導を受けます。  

          沖縄海洋博にレリーフ制作します(レリーフ活動を終える)。

    1979年 茶陶伊賀の研究制作を開始。  大徳寺の如意庵にて個展を開催します。
     
    1981年 長次郎風黒茶盌(ちゃわん)、光悦風の赤茶盌の研究制作を開始します。

    1985年 高麗物、井戸、粉引の研究制作を開始します。

    1995年 自然灰釉による彫塑の制作発表。

    1997年 施釉による彫塑の制作と発表。  光悦風白茶盌の制作と発表。

    1999年 古信楽土再発見及び研究、制作発表

    2002年 京都・建仁寺晋山記念として井戸茶碗を納めます。

    2012年 喜寿記念 寺垣外窯 杉本貞光 「陶」展を開催します。

   ・ 個展 : 日本橋・壺中居など多数。

   ・ 収蔵 :吉兆(湯木美術館、1992)、エール大学美術館(1994)

  ② 杉本氏の陶芸  

    1968年 「侘びた信楽焼の古い壷との出会いが、焼き物の世界で生きて行く決心をさせた。」

    と述べています。

   ) 彼が生涯のテーマとして掲げる「桃山に帰れ」は、彼の師であった、故立花大亀老師の

    言葉です。老師は現代茶道の変質に警鐘を鳴らし、「利休に帰れ」と利休が完成した

    「侘び茶の心」を現代に問うた茶人であり名僧でもあります。

    その師から「桃山を見よ」と桃山時代に生まれた、茶陶の世界に生涯を掛けて挑めとの

      教示を受けます。

   ) 杉本氏は信楽に築窯し、無釉の焼締めの信楽焼きから出発します。

    1974年 立花大亀老師との出会いにより、作陶活動と人生に大きな方向づけの転機と

    なります。

  )信楽焼きの茶碗、水指、花入、信楽蹲壷などの茶陶器以外にも、伊賀水指、伊賀

    花入、伊賀壷、伊賀大壷などに発展し、更には長次郎風の黒茶盌や、光悦風の赤茶盌

    高麗物美濃の茶陶の黄瀬戸、瀬戸黒、蕎麦釉、井戸茶盌などを、精力的に

    制作しています。

    注: 信楽焼きは生活雑器を中心に制作しているのに対し、伊賀焼きの作品は茶陶が

      中心に成っています。いずれも、深い「焦げ」などの中に、一筋、二筋、三筋と

      流れる、透明感のある青いビードロが特徴に成っています。 

  )「信楽は農家の民具から生まれた素朴な世界、

     伊賀は織部の美の世界

     黒茶盌は利休の世界

     赤茶盌は光悦の世界

     おのおの桃山の偉大な世界です

     立花大亀老師の御教導もと

     この世界のでっちをさせていただいています。」

     と杉本氏は述べています。

次回(森岡成好・由利子氏)に続きます。

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