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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸230(若尾誠)

2012-11-04 21:41:28 | 現代陶芸と工芸家達

岐阜県多治見市で、青瓷(せいじ又はあおし)を追求する作家が若尾誠氏です。

   注: 「青瓷」とは、素地が磁器土の物を「青磁」、 陶土の物を「青瓷」と呼び区別しています。 

     北宋汝窯、南宋官窯、南宋龍泉窯の青瓷と様々有りますが、究極の青瓷と言われるのが、

     皇帝の為に作られ南宋官窯青瓷、修内司、郊檀下の官窯と言われています。

1) 若尾誠(わかお まこと): 1959年(昭和34) ~  

  ① 経歴

    1959年 岐阜県多治見市に生まれます。          

    
1980年 多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、若尾利貞氏に師事します。

    1984年 「朝日陶芸展」と「日本伝統工芸展」に初入選。 台北故宮博物院へ視察を行います

    1993年 「美濃陶芸展」で奨励賞を受賞。

    1994年 大阪なんば・高島屋で個展を開催。

    1996年 「淡交ビエンナーレ」で入選します。
 
    1998年 東京銀座・黒田陶苑で個展を開催。

    2000年 「粉青瓷磁輪花組鉢」が、岐阜県陶磁資料館に永年保存作品として収蔵されます。

      同年 日本工芸会の正会員として認定されます。

    2008年 松坂屋本店にて個展「~青への憧憬~」

    2009年 「東海伝統工芸展」で 日本工芸会賞を受賞。

    2010年 銀座黒田陶苑にて個展 台湾 ギャラリー造居にてグループ展

    2011年 「日本伝統工芸展」出品作品の「粉青瓷輪花大皿」が、宮内庁お買い上。

    2012年 「若尾誠・青瓷展」を大丸札幌店で開催します。

   ・ 銀座黒田陶苑、名古屋松坂屋本店、大阪なんば高島屋、岐阜高島屋、札幌・大丸などで個展を
 
     多数開催しています。

  ② 若尾誠氏の陶芸

   ) わが国では青瓷(青磁)の取り組みは、1950年代の岡部嶺男氏(当ブログ現代の

      陶芸199を参照)によって、中国で粉青と呼ばれる青瓷釉を再現し、「嶺男青瓷」と呼ば

      れる独自の青瓷の世界を切開きます。

   ) 若尾氏は、身近で「嶺男青瓷」を見た事で、青瓷の研究制作に取り組まれる切っ掛けに

      なります。中国の南宋官窯、龍泉窯の視察や、台湾故宮博物院視察などで研究を重ね、

      独自の粉青瓷を完成させます。   

   ) 青瓷の特徴として以下の事が上げられます。
 
      a) 素地は赤土を使っています。
 
        赤土には、鉄分が含まれていて、磁土より色の深みや柔らかさ、優雅なライン出易く      
 
        なります。但し、赤土は磁土と違い、耐火度が低く作品が歪み易くなります。   
 
        更に、不純物を多く含む赤土は、様々な金属やガスが焼成中あるいは釉薬の上に
 
        噴出し、ピンホール、釉はげ、釉めくれ等の問題が発生し易いです。
 
       ・ それ故、陶土は磁土よりも数段、技術的困難が大きいと言われています。
 
     b) 素地は極端に薄く作ります。
 
        轆轤挽きされた作品は、薄く作り薄く削られます。薄く作る事で更に作品は熱で歪み易く
 
        なります。
 
     c) 釉はかなりの厚く掛けてあります。素地よりも釉の方が厚い位です。
 
        但し、素地が薄い事は、一度に必要の厚みに釉は付着しませんので、重ね掛けを
 
        する必要があります。
 
     d) 釉が厚く掛ると、釉が流れ易くなり、更に、作品表面に必ず「貫入」が入ります。
 
        この「貫入」も作品の見所となります。但し、釉と素地との収縮差によるバランスが
 
        崩れると、「貫入割れ」により、素地は割れてしま事も稀ではありません。
 
   ) 粉青(ふんせい)とは、不透明な薄い青色を言います。釉の中に含まれる微量鉄分が
 
       還元されて発色しますが、素地に含まれる鉄分(赤土)も発色を助けます。

       厚い釉は、釉中に細かな気泡を発生し、色に深みと潤いを与えます。

   ) 窯変米色瓷: 2008年の松坂屋本店「~青への憧憬~」展で初めて窯変米色瓷を

      発表します。青瓷を酸化焼成する事により、薄茶色(土色)に発色させた作品です。

次回(好本宗峯氏)に続きます。

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