岐阜県多治見市で、青瓷(せいじ又はあおし)を追求する作家が若尾誠氏です。
注: 「青瓷」とは、素地が磁器土の物を「青磁」、 陶土の物を「青瓷」と呼び区別しています。
北宋汝窯、南宋官窯、南宋龍泉窯の青瓷と様々有りますが、究極の青瓷と言われるのが、
皇帝の為に作られ南宋官窯青瓷、修内司、郊檀下の官窯と言われています。
1) 若尾誠(わかお まこと): 1959年(昭和34) ~
① 経歴
1959年 岐阜県多治見市に生まれます。
1980年 多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、若尾利貞氏に師事します。
1984年 「朝日陶芸展」と「日本伝統工芸展」に初入選。 台北故宮博物院へ視察を行います
1993年 「美濃陶芸展」で奨励賞を受賞。
1994年 大阪なんば・高島屋で個展を開催。
2000年 「粉青瓷磁輪花組鉢」が、岐阜県陶磁資料館に永年保存作品として収蔵されます。
同年 日本工芸会の正会員として認定されます。
2008年 松坂屋本店にて個展「~青への憧憬~」
2009年 「東海伝統工芸展」で 日本工芸会賞を受賞。
2010年 銀座黒田陶苑にて個展 台湾 ギャラリー造居にてグループ展
2011年 「日本伝統工芸展」出品作品の「粉青瓷輪花大皿」が、宮内庁お買い上。
2012年 「若尾誠・青瓷展」を大丸札幌店で開催します。
② 若尾誠氏の陶芸
) わが国では青瓷(青磁)の取り組みは、1950年代の岡部嶺男氏(当ブログ現代の
陶芸199を参照)によって、中国で粉青と呼ばれる青瓷釉を再現し、「嶺男青瓷」と呼ば
れる独自の青瓷の世界を切開きます。
) 若尾氏は、身近で「嶺男青瓷」を見た事で、青瓷の研究制作に取り組まれる切っ掛けに
なります。中国の南宋官窯、龍泉窯の視察や、台湾故宮博物院視察などで研究を重ね、
独自の粉青瓷を完成させます。
厚い釉は、釉中に細かな気泡を発生し、色に深みと潤いを与えます。
) 窯変米色瓷: 2008年の松坂屋本店「~青への憧憬~」展で初めて窯変米色瓷を
発表します。青瓷を酸化焼成する事により、薄茶色(土色)に発色させた作品です。
次回(好本宗峯氏)に続きます。