わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 17 (下絵付け2)

2010-03-19 22:04:12 | 釉薬の調合と釉を掛ける
鉄絵の話を、続けます。

 ② 黒浜(砂鉄)について

 岩石に含まれる、鉄酸化物の内、磁鉄鉱(Fe3O4)は、風化によっても、分解されず、海岸や、川岸に

 堆積し、黒浜(砂鉄)と呼ばれ、黒っぽい色をしています。

 ) 参考までに、化学分析値を、表示すれば、

   Fe3O4:82%、TiO2:6%、Al2O3: 2%、SiO2: 2%、MnO: 3%、MgO: 2%、その他、CaO、NaO2、

   と成ります。

   鉄分以外に、「チタン」も、多く含まれています。

 ③ 黄土について

  岩石は、風化すると、粘土質に成ります。火成岩の様に、鉄化合物が入っている物は、赤色や、

  黄色の粘土質に成り、赤土とか、黄土と呼ばれています。特に中国産の黄土が、代表的な物です。

  鉄以外の、かなりの不純物を、含みます。

 ④ 弁柄(べんがら)について

  ) 弁柄の化学的分析値は、以下の様に成っています。

    酸化第二鉄(Fe2O3): 89%、SiO2: 7.5%、 Al2O3: 1.5%、水分(H2O): 2%

    赤い粉(鉄さび)状に、存在し、ほとんどが、鉄分です。主に釉に入れて、鉄系の釉を造ります。

 ⑤ 鉄絵として使う場合、

  鬼板単体で使用する場合と、弁柄、酸化鉄、黄土を混ぜて、使う場合が有ります。

  混ぜ合わせる効果は、素焼面で、線の伸びを良くし、書き易くする為です。

  お茶を使うと、素地によく、密着する為と、絵に釉を掛ける際、鉄の動きを防止する、目的で、

  お茶を入れて、乳鉢で良く摺ります。お茶の「タンニン」が、この作用を助けます。

 ⑥ 鉄絵の濃淡

  ) 鬼板の場合、濃度が濃くなると、濃さが増し、黒っぽく成ります。

    薄くするに従い、茶色が明るく成ります。 鬼板を、薄くし過ぎると、色が出ません。

    (呉須の場合には、薄くても出るのと、違います。)

  ) 鬼板以外の鉄絵では、塗った際、濃淡が、判り難いです。焼き上がれば、判定できますが、

     塗った直後では、判り難く、経験が必要に成ります。

     筆運びの速度で、吸収量を調節したり、二つに分けた、一方に、水を加えて、濃淡に差を

     付けたりします。

 ⑦ 鉄絵を使った、陶器には、以下の様な、焼き物が、有ります。

  )絵唐津焼き、)織部焼き、)絵志野、鼠(ねずみ)志野、)黄瀬戸などです。

    鬼板を使う物が、多いです。

   尚、黄瀬戸の場合には、鉄以外に、「タンパン」と言う、銅系の一種の、絵の具を使い、緑色に

   発色させます。

   「タンパン」は、硫酸銅で、水と共に、乳鉢で粒子を細かくして、筆等で、塗っていきます。

    素地を裏まで、通過して、「抜けタンパン」として、珍重されます。

以下次回に続きます。
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