ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

合同リハーサル第一回目

2010年08月28日 | 音楽とわたし
昨日のA子との二回目の合わせが終わり、とりあえず及第点をもらってホッと一安心。
旦那は例の『タパスバー』に出かけるため、マンハッタンに戻るA子と一緒に電車に乗ってった。

よっしゃ~、今夜はひとりで気ままに、練習したり食べたり、ほんでもってまた練習したり食べたり、好きなよぉ~に過ごすぞ~!と思いきや、

「おかあさま、今日の予定、いろいろあったのがぜ~んぶキャンセルになりまして」とKが言い、
う~ん、それなら作ってやらねばな~、でも、Tは多分飲みに行くだろうから、ふたりだけやったら外食もいいな~とTに電話すると、
「あ、今夜は家で食う」

あかん……作ろ。

ちょっと上等の牛肉の塊を買って、それを角切りに小分けしたのが冷凍庫にあったので、それを急いで解凍して、日本式カレーを作った。
旦那はこのカレー粉を使うのを好まないので、彼が居ない時(非常~に少ないのだけど)を狙って作るカレーなのだ。
次々におかわりする息子達を見ていると、なんだか昔を思い出して、ちょっとほっこりした。

食べてから1時間だけ練習。A子からの新しい注文や教えを、どこまで体にしみ込ませることができるか、それが明日の本番までの課題。
けれどもかなり疲れてきたので、明日の午前中にできることを残して体を休めることにした。

そして今朝、6時15分に(今朝は少し時間がずれた)またまた4回目のビービーが鳴り響き、けれども根性でもう一度寝直してから起床。
ゆっくりと朝食をとり、お腹の調子も整ったところで、さて練習すっか~と、着替えも歯磨きも洗顔もしないままピアノに向かった。
それほどマジでするつもりが無かったのに、やり始めるとつい熱中していて、時間がわからなくなってきた頃、

「ハロー!」という声が玄関の方から聞こえた。ドアは思いっきり開けられていた。


誰やろ、こんな時間に?とピアノの前で訝っていると、姉弟の生徒達と、彼らのお父さんとおばあちゃんがゾロゾロと部屋に入ってきた。

が~ん……またやってもたがな……

土曜日に変更したのをスケジュール帳に書き込んだのだけど、それが来週の土曜日の欄だった……。
わたしの服装は、よれよれの薄手のパジャマズボン(昨夜は気温がグンと下がって寒かった)と、真っ赤なこれまたお古のTシャツの上に長袖の、もちろんよれよれのカーディガン。よれよれ三兄弟をまとっていて、しかもノーブラ。顔も歯も洗ってなくて、髪の毛も多分ボサボサ。普段のだらし無さが恨まれる一瞬とは、このような時を言うのかしらん?

こうなったら仕方が無い、見学している父親と祖母には、わたしの表側ができるだけ見えないようにしながら、レッスンを進めるっきゃない。
時間がどんどん過ぎていく。今朝の練習時間が刻々と削られていく。
生徒はふたりとも、被爆ピアノのコンサートに出そうと思っている生徒達なので、いっぱい伝えたいことがあるし簡単に妥協もできない。

レッスンが終わるともうお昼過ぎで、シャワーに入って身支度すると、もう出発の時間が来てしまった。

今日のリハーサルは『パールスタジオ』。初夏にゴスペルの合唱のリハーサルがあった所で、部屋もドンピシャ!同じ部屋だった。
ACMAの役員だけの写真と、コンサートに出演する演奏者のグループ写真を撮り、いよいよリハーサル開始。
今年の演奏者のレベルは去年のそれと比べるとかなり上がった。選曲もなかなかおもしろくて、カーネギーではどんな響きになるのかがとても楽しみ!
部屋には2台ピアノがあったのだけど、残念ながら2台ともアップライトで、しかも調律が狂っていた。
マシな方を選んで、それぞれのピアニストが弾いたのだけど、やっぱり音の響きや全体のバランスを調整するのがとても難しかった。

わたしとA子の番が来て、ピアノと格闘しつつも、せっかくできたことを弾き逃したくなかったし、A子に気分良く歌っても欲しかったので、音楽の神様に祈りながら弾いた。
それなりの演奏しかできなかったけれど、わたしにとってはあの4日間の意味がとても大きいので、これが次のステップへのきっかけになると、とても楽しみにしている。

でも……ジプシーソングの2曲目、『母の教えたまいし歌』の中の、最も大切な響きを作る左手の、ピアノでいうと1番低い『レ』の鍵盤が、いくら押し込んでもスカッという哀しい物音しか出なくて、まあ、H師匠の話の中の、鍵盤そのものが一本欠けていたピアノに比べたら鍵盤があるだけマシじゃん、と言われてしまいそうだけど、あっても音が出なきゃ意味ないやん、とも思うわけで……。

なんてこともあったけれど、ほんでもってコケたけれど、楽しめたので嬉しかった。緊張していたけれど、ワクワクしていた。
これからもっともっと良くなるからねA子。よろしくね。

でも、明日から13日までは、『被爆ピアノコンサート』に向けての練習が中心になる。
ブラームスとショパン。歌うぞ~

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8 コメント

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課題がいっぱい (KYO)
2010-08-31 05:17:11
まうみさん~、こんばんはーー。

生徒さんへのレッスンがあって、リハがあって、被爆ピアノのコンサートがあって、そして、お母さん業もあって、なのにブログもしっかり書くまうみさん、すごいです。お疲れ様です。

でもすべてがポジティブな方向に動いている様子。とっても気持ちがいい~♪

私もがんばろうって思いました。

被爆ピアノコンサートのブラームスとショパンは、どのピースを弾かれるのでしょうか。
また進捗状況を拝見するのを楽しみにしています!
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・・・・・・ (manma)
2010-08-31 09:13:26
またやりはったんでっか人のことは言えませんが・・・。
夢中になってたんやもん、しゃあない。
ノーブラ?そんなん、わからんわからん
まうみさん、化粧せんかっていけるし、何の問題もないない、ましてやアメリカや~みんな好き~な格好だし。

いっつもそんな心配してないけど、練習も間に合って、良かった
なんだかんだ言いながら、やっちゃうもんね。さすがだす
被爆ピアノコンサートにも、プラスになったA子さんとの練習、ますます聴きたくなるのでした。
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KYOちゃんへ (まうみ)
2010-08-31 09:20:29
こんばんは~KYOちゃん。

なのにどうして毎日書いてるのか、自分でもよくわからないっつぅか、やっぱ書くのが好きなのと、癖になってるんでしょね。旦那はたま~にブツブツ文句言ってます。僕は放ったらかされてるって。毎日人の3倍は一緒にいるのにね……。

あの、今思い出しても悲惨な爆弾が落ちてからはもう、穴の中から這い出るっきゃないので、KYOちゃんの言う通り、ある意味気分は爽快です。

ブラームスは前にACMAで弾いた『Six Piano Pieces Op.118』の中の2曲目のIntermezzoです。あれはわたしにとっては祈りと赦しの曲なので、こういうコンサートにはぴったりだと思って選びました。ショパンは『幻想即興曲』とワルツから数曲、それからプレリュードからも数曲選んで弾こうと思っています。
今日はずっと録音しては聞き、また録音しては聞きしながらの練習でした。
ほんと、録音って現実を叩き付けられるからびっくりしますよね。そんなこと弾いてたかわたし……って、何度ガックリきたか……。でもまあ、くじけずまた明日も頑張りまっす!
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manmaちゃんへ (まうみ)
2010-08-31 09:29:33
あ、はい、またやってしまいましたです!おほほ!

ノーブラ、そんなんわからんわからんっ!ってあっけらかんとはっきりと……いや、わかるって。だってさ、上げてるもん。それが見事にぺっちゃんこに……どこぞにいってしもたんじゃろ~って思わはったかも……まあええねんけどさ。

ほんま、あの4日間は、久々の、というか、学生時代以来の、まさに歯を食いしばった4日間でございました。あれほど強烈に情けなく思たんって、今までにあったやろか……ほんまにひどかってん。

でもまあ、底まで落ちたからもう上がるだけ。頑張りまっさ~。
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ブラームス (KYO)
2010-09-01 06:34:47
まうみさん、再び失礼します~。

ブラームスのOP118の2曲目の間奏曲って「イ長調 作品118-2 Andante teneramente」というやつでしょうか。

私、また例によって、この曲はグールドの演奏で初めて聴いたのですが、最初に聞いた時から激しくしびれました。

まうみさんにとっては、祈りと赦しの曲なのですね。

私、実は、ほかの人の演奏を聴いたことがないので、フェアな感想じゃないかもしれないんですけど、ものすごくセクシーな曲だなぁと震えましたよ~。
体中の穴という穴からグールドの音が入って来て、官能の嵐(どういう表現じゃ)といいますか。

いつかまうみさんの弾くブラームスの間奏曲、聴かせてください。
あっちもこっちも準備と練習が大変だと思いますが、がんばって!!
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KYOちゃんへ (まうみ)
2010-09-01 09:21:05
いえいえ、再びでも三たびでも四たびでも五たびでも(もういいって?)、何たびでも来てくださいな~!

そうです、その間奏曲です。
この曲、そうそう、激しくしびれるよねえ~。わたしも、旦那母がまずしびれ、彼女から弾いて弾いてとCDとともに送られてきた楽譜を弾いてまたしびれ(ちゃんと弾けてないうちからしびれてるのやから単純すぎ?)、なんとも美しい、そうか……官能的な曲という感じ方もあるのか……曲ですよね~。

ありがとう!グールドのブラームスを聞いてみます。ほんでもって、毛穴もあっちゃこっちゃの穴も解放して、彼の音を吸い込みたいと思います。ガハハ!

もちろん、どちらかがどちらかの家に行くことができた時、遠慮なく弾かせてもらいますよ~!KYOちゃんと物々交換で。KYOちゃんも選曲しといてね~!
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では三度(ほんとに来た!) (KYO)
2010-09-01 15:47:28
まうみさん、お言葉に甘えてまた来ました。

グールドの間奏曲、これです↓
http://www.youtube.com/watch?v=N2g21w604Bg

本人もこのレコードに関しては、救いようもなくロマンチック、という言葉を使ってますが、ほんとロマンチックです。

でもまうみさんのおかげで、Youtubeでこれを検索するときに、いろんな人の間奏曲が出てきて、キーシンさん(なぜか「さん」づけ)とか、ルガンスキーとかの演奏も聴けて楽しめました。

やっぱりこの曲ってすてきですね。
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KYOちゃんへ (まうみ)
2010-09-01 23:07:33
甘えてくれてありがとう!嬉しいです!

しかも、グールドの演奏まで手土産に持ってきてくれちゃって、しかもそれがキーシンやルガンスキーとかの演奏まで芋づる式に……ありがたいです!

ほんと、この曲の魔力は計り知れず、聞く人の心の根っこを揺さぶるよね。そして、もっとすごいのは、その人によってどんなふうに揺さぶられるのかが違うんだよね。恐るべしブラームス!
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