ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

地震の空白地帯が存在しない国土に建つ原発でも大丈夫だと?そんな根拠に乏しい楽観的見通し運転を禁ず!

2015年04月15日 | 日本とわたし
昨日の14日、高浜原発再稼働禁止処分決定が出ましたね。
要旨全文を、嬉しさ百倍の勢いで、ここに書き起こしておきます。
全くもって良い誕生日になったと、樋口裁判長への感謝の気持ちでいっぱいです。

高浜仮処分決定
決定pdf
https://www.dropbox.com/sh/1fajm2rc2hokgj1/AAB5Z3fQQEdAXdxqKod3dmFwa/決定.pdf?dl=0

決定要旨pdf
https://www.dropbox.com/sh/1fajm2rc2hokgj1/AACOjakIQdp69uAmpD5aB2DPa/決定要旨.pdf?dl=0

高浜原発再稼動禁止処分決定要旨全文

平成26年(ヨ)第31号 
高浜原発3、4号機運転差止仮処分命令申立事件

主文
1. 債務者は、福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において、高浜発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2. 申立費用は債務者の負担とする。


理由の要旨
1. 基準地震動である700ガルを超える地震について

基準地震動は、原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

しかし、全国で20箇所にも満たない原発のうち、4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が、平成17年以降10年足らずの間に到来している
本件原発の地震想定が、基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、
活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず、債務者の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない

加えて、活断層の状況から、地震動の強さを推定する方式の提言者である入倉孝次郎教授は、新聞記者の取材に応じて、
「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない」
「私は、科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある」
と答えている。
地震の平均像を基礎として、万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を策定することに合理性は見い出し難いから、
基準地震動はその実績のみならず、理論面でも信頼性を失っていることになる。

基準地震動を超える地震が到来すれば、施設が破損するおそれがあり、
その場合、事態の把握の困難性や時間的な制約の下、収束を図るには多くの困難が伴い、炉心損傷に至る危険が認められる。


2. 基準地震動である700ガル未満の地震について

本件原発の運転開始時の基準地震動は370ガルであったところ、
安全余裕があるとの理由で、根本的な耐震補強工事がなされることがないまま、550ガルに引き上げられ、
更に、新規制基準の実施を機に、700ガルにまで引き上げられた。
原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は、社会的に許容できることではないし、債務者のいう安全設計理想と相容れないものと思われる。

基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは、債務者においてこれを自認しているところである。
外部電源と主給水によって冷却機能を維持するのが、原子炉の本来の姿である。
安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備は、これを安全上重要な設備であるとして、その役割にふさわしい耐震性を求めるのが、健全な社会通念であると考えられる。

このような設備を、安全上重要な設備ではないとする債務者の主張は、理解に苦しむ
債務者は、本件原発の安全設備は、多重防護の考えに基づき、安全性を確保する設計となっていると主張しているところ、
多重防備とは、堅固な第一陣が突破されたとしてもなお第二陣、第三陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、
第一陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となるような備えの在り方は、多重防護の意義からはずれるものと思われる。

基準地震動である700ガル未満の地震によっても、冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められている


3. 冷却機能の維持についての小括

日本列島は4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が我が国の国土で発生し、日本国内に地震の空白地帯は存在しない
債務者は、基準地震動を超える地震が到来してしまった他の原発敷地についての地域的特性や、高浜原発との地域差を強調しているが、
これらはそれ自体確たるものではないし、我が国全体が置かれている上記のような厳然たる事実の前では、大きな意味を持つこともないと考えられる。
各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や、各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準地震動を超える地震が、高浜原発には到来しないというのは、根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎない上、
基準地震動に満たない地震によっても、冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、
そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える、現実的で切迫した危険である


4. 使用済み核燃料について

使用済み核燃料は、我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼす可能性があるのに、格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められていない
使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには、膨大な費用を要するということに加え、
国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく
深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとに、かような対応が成り立っているといわざるを得ない
また、使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性も、Bクラスである。


5. 被保全債権について

本件原発の脆弱性は、
① 基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事を実施する、
② 外部電源と主給水の双方について、基準地震動に耐えられるように、耐震性をSクラスにする、
③ 使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む、
④ 使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにする、

という各方策がとられることによってしか解消できない。

また、地震の際の事態の把握の困難性は、使用済み核燃料プールに係る計測装置がSクラスであることの必要性を基礎付けるものであるし、
中央制御室へ放射性物質が及ぶ危険性は、耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要棟の設置の必要性を裏付けるものといえるのに、
原子力規制委員会が策定した新規性基準は、上記のいずれの点についても、規制の対象としていない
免震重要棟については、その設置が予定されてはいるものの、猶予期間が設けられているところ、
地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。

原子力規制委員会が設置変更許可をするためには、申請に係る原子炉施設が、新規性基準に適合するとの専門技術的な見地からする合理的な審査を経なければならないし、新規性基準自体も合理的なものでなければならないが、
その趣旨は、当該原子炉施設の周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害が万が一にも起こらないようにするため、
原発設備の安全性につき、十分な審査を行わせることにある(最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決、伊方最高裁判決)。
そうすると、新規性基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば、深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような、厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。
しかるに、新規性基準は上記のとおり、緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない
新規性基準は合理性を欠くものである。
そうである以上、その新規性基準に本件原発施設が適合するか否かについて判断するまでもなく、
債権者らが人格権を侵害される具体的危険性、即ち被保全債権の存在が認められる



6. 保全の必要性について

本件原発の事故によって、債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、
また、原子力規制委員会の設置変更許可がなされた現時点においては、保全の必要性も認められる。


↑以上、書き写しおわり


ここからは、トルコへの原発輸出を止めるべく、現地で講演などを行って奮闘されている守田さんからのメールを紹介します。
守田さんは、トルコと日本、そして世界を、核のない世の中に向けた協働を媒介に繋ぎ続けようと、ものすごく忙しい中奮闘してくださっています。
しかも、その渡航費は自腹です。
トルコ内での滞在費、移動費は、トルコの方たちがもってくださっているようです。
こうして、なんとかして日本を、アジアを、そして世界を良くしようと、心身ともに投げ打って頑張ってくださっている守田さんのような方々を、カンパで支えるというのもひとつの運動ではないでしょうか。

振込先は以下に。
どうかよろしくお願いします!

*****

振込先 郵貯ぎんこう 
なまえ モリタトシヤ 
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口座番号 2266615




原発輸出を止めることで日本の原発を完全に止めよう!

守田です。(20150415 07:00トルコ時間)

イスタンブールのホテルからです。
いよいよ今日が、トルコ滞在最終日となりました。
いつものことですが、怒濤のような日々でした。
たくさんの方と出会い、たくさんの話を聞き、たくさんの経験と知恵を詰めました。
とてもありがたい一週間でした。
とくに、この旅の初めに、14日に高浜原発再稼働禁止処分決定が出るという情報をつかみ、結果的に素晴しい朗報をトルコの方たちに伝えられて、とても嬉しかったです。

発言内容も、サムソン、イスタンブールでは変更しました。
ご紹介した講演用原稿のうち、
1の、放射線の危険性の数値的目安の紹介に基づいた日本の放射能汚染マップの紹介と、
2の、小児甲状腺がんの広がりや心臓病の増加が懸念されるデータの紹介まではそのままとし、
その後は割愛して、日本の情報に差し替えました。

今回は、メインテーマがチェルノブイリと健康問題であったために、事前にご紹介したような原稿を作っていったのですが、
やはり、もっと日本の情報を出してくれ、再稼働問題等もあった方が良いとの提案を受けたからです。
それで、福島県で住民の方たちが、きちんとした防護服などないままに除染活動をしなければならなかったことや、
子どもたちが、マスクをして運動会をさせられたことなどを紹介しました。

また、安倍首相がオリンピック招致発言において、
「原発はコントロールされている」
「汚染水は完全にブロックされている」
「今も未来も健康被害は全くない」と、大嘘を言い放ったことへの批判を語りました。
「私たちの国の首相は大嘘つきなので、だまされないでください」と話すと、大きな拍手が起こりました。
また、浪江町議会がすぐさま、
「わが町は、関連死で290人がすでに亡くなっている。福島を軽視し見下す政府と東電に憤りを禁じ得ない」と、声明を出したことも紹介した上で、
安倍首相とエルドアン首相(当時)が握手している写真を示して、「嘘つきにだまされないように気をつけましょう」と語ると、大きな笑いが返ってきました。

その上で、日本民衆の抵抗運動の写真を、何枚か紹介しました。
示したのは、京都で行われている関西電力前での金曜行動です。
僕もたびたび参加して撮影していますが、同じような行動が、全国で250カ所近くで行われていること(月1回の行動も含む)、
こんなことは、日本の歴史の中でこれまでなかったこと、画期的な行動であることを紹介しました。
そして、重要な情報として、現在日本の全ての原発が止まっていることを明らかにしましたが、
実はこの点は、トルコの知識人層でもあまり知られていない情報だったので、伝える意義がとても高かったです。

次に伝えたのは、日本政府は、そこから原発を生き延びさせるために、二つの狙いを持っていることです。
一つは、とにかくどれかの原発を動かすことで、狙われているのは高浜原発と川内原発であること。
そしてもう一つの狙いが、原発輸出であることです。

なぜ原発輸出に日本政府が固執しているのか
端的に言って、原子力産業を維持するためです。

国内で、たとえ一つか二つの原発を再稼働させたとしても、その後にたくさんの原発を動かすことは難しい。
ならば、先に輸出を進めてしまい、技術力などを保持するとともに、いわば外堀埋めようとしているというわけです。

ここからは時間がないので、発言に入れなかったことですが、
原発輸出路線は、もともとはアメリカのブッシュジュニア政権のときに、原発回帰政策が狙われたことにタイアップする形で、小泉元首相が2005年の政策大綱で路線化したものです。
しかも、もはや生産ラインを失っているアメリカに変わって、日本が原子力のリーディングカントリーにのし上がり、独自の輸出構造を作っていくことまでもが狙われました

しかし、アメリカはすでに、原発回帰から撤退してしまいました。
現実的な展望が見いだせなかったからです。
だからまた福島原発事故以降、小泉元首相も転換を唱えだしたのではと僕は見ていますが、
一方でアメリカに肩を並べ、さらにアメリカに変わって世界のリーディングカントリーになりたい安倍首相は、
福島原発事故後も、日本独自の原発輸出路線に固執してきた
のでした。
そこで日本の原子力産業の延命という目的が付け加わったのです。あるいはそれこそ主目的になったとも言えます。

以上を踏まえて、トルコの方達には、
それだけに今、トルコの民衆と日本の民衆が固く連帯して頑張れば、原発輸出を止めることは可能だ。
そのために自分たちの力をあげよう。
民衆の力をアップさせよう。
Power to the People!
」と訴えました。
大変、大きな拍手をいただけました。

さて、ここからは日本のわたしたちの問題です。
これまで述べてきたように、実際に、原発輸出は日本の原子力産業の保持の位置性を強くもって行われようとしています
それだけに、輸出政策を止めることは、私たちの国の原発を止める上で非常に大きな位置にあります
さらに僕は、再稼働の動き自身がまた、原発輸出とも連動していると考えています。
理由は単純です。
自分の国で安全性が担保できないことを理由に原発が動かせなかったら、当然にも輸出に大きな影響が出るからです。
日本の原発がなかなか再稼働できないなかで、輸出で時を稼ごうとしているわけですが、
しかし輸出のためにも再稼働を急がないわけにはいかないというジレンマのもとに、安倍政権は立っている訳です。

だからこそ私たちは、日本の原発政策をさらに追いつめるために、輸出反対にもっと力を注いでいく必要があります

その点でも、原発輸出国の人々との連帯は、ますます重要性が増しています
トルコやベトナムで原発反対の声が高まり、輸出ができなくなれば、今、一つの原発も動かせていない日本の原子力産業は、ますます衰退の道を辿ることになるからです。
その意味で、トルコやベトナムの方達の頑張りは、直接に、私たちの原発のない未来の可能性を開くものとなります。
そのような構造的なつながりをしっかりと把握して、私たちは、トルコやベトナムを初めとする、原発輸出が狙われている先の国々の人々との連携を、もっともっと強めていく必要があります

さらに、トルコとの関係で言えば、今回の再稼働禁止決定で、
電力会社や原子力規制庁が、地震のことを把握できていないこと、
いや、今の科学の水準では、最大の揺れがどれほどになるか把握できないのであって、
もしそれでも原発を動かしたいというのであれば、地震基準動を大幅に引き上げるべきだという点が打ち出されたことも、とても大きい。
なぜかと言えば、トルコもまた、日本と同じような地震大国だからです。
日本国内で、地震への備えがあまりに脆弱であることを指摘された原発を、地震大国のトルコに輸出等していいわけがありません


もう一つ、今回の決定は、直接的に加圧水型原子炉を要する高浜原発に向けられたものですが、この原子炉を作ったのは三菱重工です。
その三菱が、トルコ・シノップへの輸出も担おうとしているわけで、
今回の加圧水型原子炉への批判は、そのままシノップへと輸出されようとしている原子炉の安全性への批判にもつながります。
これもまた、非常に重要な点です。

以上に踏まえて僕は、帰国したら今まで以上に、原発輸出反対のために奮闘しようと思っています。
とくにその中でも、僕の役割は、トルコの民衆と日本の民衆の連帯の橋渡しになることですから、その点での努力をさらにアップします。
頑張ります。
心がうずうずしています。

ちなみに今は、トルコ時間では朝の7時。
すでに予定されたスケジュールは全て終えていて、今日はグランドバザールなどを観光してこようと思っていますが、
ありがたいことに、午後2時より、トルコの新聞社が僕をインタビューしてくれることになりました。
貴重な機会ですから、高浜原発再稼働禁止決定の意義を語り、トルコ民衆との連帯、原発輸出阻止に向けた僕の熱い決意を披露しようと思っています。
話したいことがいっぱいですから、とても嬉しいインタビューです。

以上を終えて、今夜のフライトで日本に戻ります!
みなさま、どうか、トルコへの原発輸出を止める行動に、ぜひお力を貸してください。
以上でトルコからの報告を終えます!!

守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

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