ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

#東京47人 と小池百合子

2020年06月15日 | 日本とわたし
2月末ごろからずっともやもやしていて、それで、最近になって思ったんです。
「都合の悪いことは隠そう」
これ、ずっと安倍政権ならではの特質だと思ってたけど、大雑把な言い方すると、日本社会全体に根付いてる考え方なんじゃないかって。
その集大成みたいなのが安倍政権の政治なんじゃないかって。
戦争が起こる前も、起こってからも、終わった後もずっと、ずっとずっと、「都合の悪いこと」が隠されてきました。
その「都合の悪いこと」はわたしたちにとっても、見辛い聞き辛いことが多い。
だから隠されているままの方が気が楽なので、何か引っかかるような気がしてもあえて自分から知ろうとしません。
わたしが子どもの時代の学校では、社会の時間で学んだ物事の中に、日本の軍隊が行った侵略や慰安婦の話は一切出てきませんでした。
沖縄に米軍基地があることは知っていても、沖縄戦争については全く知りませんでした。
戦争というと原爆を投下されたということしか印象に残らなかったし、原発もダムの建設も、様々な開発も、全ては良いことであると思い込んでいました。
新聞に書かれていること、テレビが言っていることをそのまま信じて疑いませんでした。
今から思うと、自分の無知に震えを覚えるほどです。
だから一つずつ知っていこうと思いました。
新聞からではなくSNSで。
54歳の3月のことです。
その作業でのわたしの姿勢を、息子は「かなりバイアスが入っている」と言います。
それは認めます。
賛同できるツイートをする人をフォローしていくのですから、そういうツイートがどんどんと流れてきます。
わたしはそれらのツイートの中から特に興味があるものを選び、自分の意見を言ったり元記事を読んだり、対向的な記事を読んだりして考えをまとめていきます。

今日の夕飯後に、延期されたままの市民権インタビューの日程が決まらず、愛しい新妻を日本に残したまま会いに行くことすらできずにいる新婚の息子と、1日も早く行けるといいね、という話になりました。
市民権を取得して日本に飛んだところで、成田近くのホテルに2週間監禁状態になるし、そこから公共の乗り物にも乗れないと言う息子に、
夫が今朝、わたしから聞いた「東京で新たに47人の感染者」ニュースを元に、検査数の異様な少なさと数字の曖昧さを話したところ、
日本のコロナ対策は成功している、死亡者数が全てを物語っている、と言うので仰天して、その数は正確ではない、という我々と言い合いになりました。
新型コロナで亡くなっていても、それを違う死因で亡くなったことにされている人がいるとわたしが言い、
いや、新型コロナで亡くなっている人は普通の焼却も埋葬もできないのだから、それならもっと感染者が出ているはずなのにそうではないじゃないか、と息子は言います。

おかあさんはとにかく安倍嫌い、それが頭にあるから、なんでもかんでもダメとなる。
確かにわたしは安倍が嫌いだけど、だからなんでもかんでもダメだということでは無い。
じゃあ、安倍がやったことで良かったことを5つ挙げられるか。

そう言われて言葉に詰まりました。
あまりにも次から次へと問題が出てきて、それを追うこともまともにできていないのだけど、たまにチラリと、ああこういうこともしているんだと思った記憶があるだけで、それが何だったのか全く覚えていなかったのです。

夫は後で、息子の話は合理的で組み立て方が自分に似ていると言っていました。
確かに彼にも一理あります。そしてわたしにも一理ある。
結局話は平行線で終わりました。
これはこの手の話をするといつも同じような終わり方をするので仕方がないのですが、気持ちはかなり落ち込みます。

と書いていたところに、息子の新妻Tちゃんからラインが送られてきました。
「ついさっきテレビ電話しました。詳細は聞かなかったけど、少しおかんに言い過ぎたなって言ってました。若干反省の色が見える様子でした」

ありがとうTちゃん、救われました。

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東京47人。
この新しい感染者数について、小池知事は「PCR検査を増やした結果だ」と言ったんですね。
これまでにも何度も書きましたが、クオモニューヨーク知事の毎日会見を観ているわたしには、この東京の検査体制と都知事の態度が不思議でなりません。
これは今日の分。
もし興味がある方は、これまでの会見の様子もぜひ見てみてください。

もちろん、ニューヨークと東京の新型コロナ感染の実態は大きく異なっています。
けれども、それを前提に考えても、東京オリンピックが延期になった途端に始まった小池知事の新型コロナウイルス対応は、なんともいい加減なものでした。

5月25日に緊急事態宣言が解除された東京の、6月に入ってからの新規感染者数は、
13→34→12→28→20→26→14→13→12→18→22→25→2447
東京アラートなるものが発動されたのが6月2日、突然感染者数が30人を超えた日でした。
今回、東京アラートは発動されましたか?
いいえ、発動されませんでしたし、今後も発動されることは無いのだそうです。
そして「これから定着を目指す『新しい日常』では、事業者の自主的な取り組みが最も重要になる」のだそうです。
また自己責任ですか?

今回の47人中、ホストクラブの従業員ら18人の感染が判明したのですが、これは無症状の人も含めて強制的に検査した結果だそうです。
院内感染が7人。そして夜に営業している飲食店関連が4人。
では、ホストクラブに限らず、可能性が大きい店や施設の関係者に絞って徹底的に検査したらどういうことになるのでしょうか?
結果はもう見えています。

小池知事は何かというと「夜の街」と言いますが、今回以外の感染場所の内訳を見ると「病院のクラスター」の方が多く、割合から見ても「昼の街」の方が高いのです。
もっと詳細に、もっと綿密に、新たな感染が見つかったらどうすべきなのか、そのことについて高度な話し合いと対応が必要だと思うのです。
なぜそれをせずに、市民の自発的な自衛を求めるのか。
そんなものを求められなくても、市民はとうの昔からしっかりやっていて、だから感染の拡大もかなり抑えられていると思います。
政治家は、政治家だからこそやれることをやって、今もまだ不足しているものを充実させ、経営が悪化している病院を支えなければなりません。
もちろん次の感染拡大の嵐が来る前に、全ての分野に十分な備えを整えなければなりません。

新型ウイルス対応にまで政治的な要素を入れる政治家は悪党です。
さらに、自分の都合の良いようにデータの数字を誤魔化したり操ったりする政治家は悪魔です。
小池知事は、そのどちらにも入るとわたしは思っています。


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