月曜日、駒沢公園で開催された「東京ラーメンショー」に行ってきた。
娘と2人のつもりだったが、なんでだろう、なんでだろう、ななな、なんでだろう。娘の彼氏のアキツ君(仮名)もついてきた。
なぜ仮名かというと、娘から「ブログに書いてもいいが、本当の名を書いたら、親子の縁を切るからな」とスタンガンを突きつけられたからだ。
はい、わかりました!
娘とアキツ君のデートは、パターン化していた。まず、猫大好きアキツ君の要望で、猫カフェに行くのだ。そして、そのあとラーメン大好き小池さんの娘の希望でラーメンを食う。そのあと、色々とさまよったのち、また晩めしにラーメンを食ってお別れだ。
永遠に別れちまえ!
ちょっと取り乱してしまった。
どうでもいいことだが、2人はデートで映画を見るとかライブに行くなんていう ?(はてな)なことはしない。
なんで2時間、3時間同じ方向を向いて会話もなく過ごす時間をデートに費やすのだろう。そんな時間があったら、語り合った方がいいだろうに。
もちろん、そのあとお互いに映画やライブの感想を語り合うという楽しい時間があることは、私も娘も知っている。
しかし、それが面倒くさいのだ。娘も私も1人で映画やライブの余韻に浸りたい方だ。
そして、嬉しいことに、アキツ君も「面倒くさい」と思う男だった。そこは、いい。「あっぱれ」をあげてもいいが、娘の彼氏だから、あげない。
駒沢公園には、アキツ君運転の車で行った。アキツ君は、呆れることに車の免許を持っていた。なんと、教習場に通って取得したという。だが、残念なことに車を持っていなかった。その車は母親のものだった。
アキツ君の母親は、保険の外交をしていた。仕事には車が必需品だ。しかし、この日は夕方まで休みだったので、アキツ君がペコリ45度頭を下げて借りてきたのだ。
国立駅でアキツ君に拾ってもらった。
そのとき、娘はあたりまえのように助手席に座った。私の心に、アキツ君への殺意が芽生えたのは言うまでもない。
車内での2人の会話は、76パーセントの割合で猫のことだった。アキツ君は、来年の猫カレンダーを2つ買った。娘も2つ買った。しかし、同じものではない。娘もアキツ君も人と同じことをするのが嫌いだ。だから、まったく違うカレンダーを買った。
それは、いいと思う。私もそうだからだ。だが、「あっぱれ」とは言わない。別れたら、言ってあげる。
駒沢公園近くに着いた。駒沢公園の駐車場は混んでいることを想定して、目黒に土地勘のある私は目黒区東が丘周辺のパーキングに駐車することを提案した。幸いにも駒沢公園から400メートルほど鼻れた離れた場所にパーキングを見つけ、そこに注射駐車できた。
最終日とあって、ラーメンショーの会場は生き物でごった返していた。人間である私たちは、生き物でごった返したチケット売り場に並び、チケットを買った。
少食の私はチケットを2枚買った。2人はケチって1枚だった。胸を張って言うが、私の奢りだ。
私が食うラララーメンは決まっていた。長野のラーメンだ。商品名は忘れたが、肉みそラーメンだった。
そのあたりの事情にかんしては、昨年の同時期のブログ、 ラーメン に書いた。
少し待たされたが、2杯のラーメンを両手に持ち、すでにラーメンをゲットしてお行儀よく待っている2人の横に座った。
正面もあいていたが、何が悲しくて、娘が彼氏と並んでラーメンを食べる姿を見なくちゃいかんのだ。俺を絶望させる気か。
長野のラーメンは、ややコッテリだった。ラーメンのことをよく知らない私には、「ややコッテリ」という貧しい表現しかできない。口の中に残るナンタラの味が麺と絡み合ってとてもナンタラだ、などという食レポはできない。
スープも麺も美味かったよー、で伝わりませんかね。
食べ終わった娘とアキツ君が、私の2杯目のラーメンに興味を持って、「ひと口くださいな」と覗いてきた。
のぞきは犯罪だぞ。でも、あげたけどね。
しかし、真っ当な日本人の感性で、その量は「ひと口」とは言わない。半分以上持っていきやがった。
「ああ、美味しいですね。あっさりしてますね」とアキツ君。
あっさり? コッテリではなく? 娘は「いや、そこはかとなくコッテリだよ」と主張。
さすが我が娘。あっぱれなりー。アキツ、思い知ったか! おまえは、もう死んでいる。
ラーメンのあと、駒沢公園から333メートル離れたカフェでカフェした。
そのとき、衝撃の言葉がアキツ君の口から出た。
「娘さんをください」
血がいました。違いました。
アキツ君は、海外転勤を会社から言い渡されたのだ。大手家電メーカーのエンジニアであるアキツ君には、転勤は仕方ないことだろう。
しかし、海外とはね。ビックリでござる。
で・・・・・どこに?
「ベトナムです」
ヴェトナム?
ははあ、一昨日、娘が突然「ベトナム語勉強しようかな」と大きな声で呟いたのは、この伏線だったのだな。
「ボクも4日前に聞かされたんだよな」とテヘペロ顔の娘。
「アキツ君が、自分の口で報告したいって言うから黙っていたんだ」
アキツ君が、精いっぱいの真顔を作って、私の目を射るように見ながら言った。
「夏帆さんのお父さんは、海外転勤をする娘の彼に、『遠距離恋愛なんて許さん!』というタイプですか」
夏帆さんのお父さん、というのは長すぎるよね。略して「カトちゃん」でいいんじゃないか。
「ああ、では、カトちゃん、どうでしょうか」
いいね、そのノリは好きですよ。でも、あっぱれは、あげないもんね。
俺は、子どもたちに二十歳になるまでは、色々な角度から手を差し伸べてきた。だが、二十歳を過ぎてからは、本人がヘルプを言わない限り、ずっと手は引っ込めてきた。
そして、私の娘は、何があっても絶対に「ヘルプ」は言わない子だ。俺が子どもの頃してきたように、親に泣き言を言わずに、経済的なことも含めて、全て自分で判断して自分で決めて行動する子だ。
俺は、自分の分身じゃないかと思えるこの子が決めたことを尊重している。
だから、遠距離恋愛なんか許せるか! なんて言って卓袱台をひっくり返すことはしない。
俺は、名目上「この子の父親」というだけの存在だ。
決めるのは俺じゃない。意見も持たない。
俺は、娘を信じているし、娘が選んだ君のことも信じている。
2人の思った通りにしていいんだよ。
あれ?
まさか、しらけた?
2人、下を向いて黙っちまったぞ。ふくみ笑いでもしてるのかな。
この場合、なんか、ギャグが必要か?
カトちゃん、ペッ!(鼻をすすりながら、右手の人差し指と中指を鼻の下に持っていきました)
渾身のギャグだったのに・・・見てねえじゃん。
さやかのブログを読んでくれていることを知っています。
さやかは身体的に限界を迎えています。
さやかのブログのメッセージ送信からさやかにメールを送れます。
どうか助けてほしい。