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北朝鮮、改革は不言実行

2013-12-13 | ラジオ
北朝鮮では今年末にかけて、大規模な農業改革が行われているようだ。もちろん北朝鮮メディアは、改革という言葉は使っていない。改革という言葉には疑わしい、反動的な手垢がついていると考えられているからだ。公式的には北朝鮮の社会経済制度は理想的なものであり、改革の必要性はないとされている。
しかし現在、北朝鮮で進んでいる農業改革は、70年代後半に中国で行われたものに非常に似ている。二つの柱があり、第一に末端の生産主体の規模を大きく縮小することがある。それは5人から6人ほどにまで減らされ、事実上、中規模の個人農家と変わりがない。決して個人農家への回帰とは言われないにしても、事実上、家族型農業への転換を意味している。
第二に、収穫の多くを手元に残すことが許されるようになる。はっきりしたことは分からないが、おそらく収穫の3分の1ほどが残ることとなる。これによって物質的に農家の生産意欲を向上させ、生産効率を高めることが狙いだ。

最初の結果がすでに出ており、新しい制度が導入された地域では、収穫は予想を25%から30%上回るものだった。これは世界の例からも明らかであり、農家の生産効率を上げるためには、その土地が自分のものであること、そして収穫を自由に処分することができることが必要なのだ。そこに国家がいても、地主がいても効率は下がることになる。

北朝鮮で始まった改革は、中国の食糧問題を素早く解決した70年代の改革を想起させる。もちろん当時の中国は農業国であった一方で、現在の北朝鮮では都市化が進んでおり、効果のほどは中国まではいかないだろう。
しかし20%、もしくは30%、食糧生産を引き上げることは、深刻な食糧状況を緩和することになるだろう。政治指導部からしてみても、イデオロギーを破壊するような要素がなく、安全な改革だと言える。
というのも、世界中で農民というのは政治的に受動的であり、今回の場合も政治リスクは低くなっている。
惜しむらくは、改革が15年から20年ほど前に行われなかったことだ。しかし今回の改革によって、北朝鮮の経済状況は大きく改善されることになるだろう。

北朝鮮は経済危機を脱出できるか―中国の改革・開放政策との比較研究
クリエーター情報なし
社会評論社

12月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル


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