スピリチャルTIMESの編集長北村洋一が、この不確定な社会に生きている人々の喜怒哀楽をレポートする。
今年の2月に約束をしたのです。
「親父が遺した形見の18面体のサイコロを転がしに行きたい」と、寺田君に言ったのでした。
「季節が良くなったら行こう〜〜」という事になり、本日、京都競馬場グランドスワンに来ました。
親父が亡くなって暫くして、整理の為に親父のカバンをゴソゴソしていたら、間違いなく競馬用の18面体のサイコロが5つ出てきました!
親父は無口で人付き合いもそれ程得意では無く、外食もせず酒も飲まない、未だに伊勢弁も出てくる普通の人でした。
そんな親父を反面教師として(これはこの歳になって確信した)この僕のオモロイ事好きが熟して行ったのです〜〜
最近思う事がありました。
僕には手短な週一でも携われる趣味が無いのに気がついたのです。
休みの日はダラダラと過ごす事しか脳みそが働かない男になっています。
その点、無口で簡素に生きていた親父は、土曜日、日曜日には、朝から競馬場に行って、「勝ったとも負けた」とも言わずに決まった時間に帰ってきて、お土産も無い事がまるで平和の証であると悟っている、お袋の普通の夕飯を食べるのでした。
それでも、毎週土日土日に自分の好きな趣味に没頭できた親父に、今此処で敬意と賛辞の言葉を贈りたいと思います!「貴方は渋い、渋渋やーー!」と。
「オモロかったやろ〜、一人で臨む馬券の予想〜〜」
「誰に気を使う訳でも、見栄を張るわけでも無い、自分の思いを馬券に託す〜〜」
そんな姿を、やっとこの歳になってわかるのです〜〜
そしてサイコロ!
迷っていたのでしょうか?
一押しがどうしても必要だったからでしょうか?
帰りの電車賃でも賭けたのでしょうか?
色々な思いを巡らしてこのサイコロを淀競馬場の
どっかで転がしていたのでしょう〜〜
そんな想像をすると、何故か親父の前で正座して、「負けました!この僕は、まだまだオモロイ趣味を持てていません!」と謝りたい気持になります!
生前の親父が、どんな姿をしてこのサイコロを転がしていたのかはわかりませんが、眉毛を寄せて険しく振っていたのではないと思います。
できれば、「サイコロちゃんおねがい🤲シーます」とお茶めだったらナイスと思うのです。
親父からしたら、「競馬は一人でするもんだーー」と渋い普通の男の台詞が続くのかもしれないが、今の僕にはオモロイ友達がいるのでギャグやツッコミを入れながら競馬を楽しんで見ますわ!と逆らってみます。
最終レース〜〜サイコロが転がり過ぎて斜め前方に落ちていったのです。
締め切り直前にそれを拾って、その時の出目「15」を単勝100円で買ったのがありえへけどありえる的中でした。
940円の配当がつきました。寺田君が、「先に60円入れたら、払い戻しで1000円札が出てくるよ!」と教えてくれました。うん確かに札が出てくる事は快感だった。彼のこの小さなアドバイスが人生を楽しくさせるのです〜〜 彼も唯一無二のクリエイターでしょうね。
さて!
帰り道、親父が「又来いよ〜〜」と言ってるのが聴こえました。
僕は、「一人ではこんよーー!オモロイ友達と又来るわ〜〜」と言い返しましたけど、親父は嬉しそうな顔でニコッとしました。
京阪電車の夕焼けの窓にはそう映りました。