スピリチャルTIMES 「とにかく生きてみる!」

スピリチャルTIMESの編集長北村洋一が、この不確定な社会に生きている人々の喜怒哀楽をレポートする。

生命の謎をここに探る。「それ行け精子君!!」            8/108

2012年06月12日 | 自分的エッセー

とにかく生きてみるで、生きてみて役2年弱がたった。日々気ずく事が沢山ある。政治や経済などは、まだ人ごと気分であるが、50歳からどう生きるか、痴呆の両親とどのように向き合うか、私の今後について・・・果たして奇跡が起こるのかなどなど・・・日々考えながらも、最後は「笑わなしゃないやんけ・・・」と結論つけている。笑うことが一番の癒しであり、幸せを引き寄せる方法なのだろうと思う。それでもなかなか笑うことも少なくなって来ているこのごろである。


「ええか・・諸君はこの1億の仲間の中からたった、1匹だけが栄光の卵子と結合できる運命に生まれてきたのだ。」と睾丸袋の中の、正統派精子の行動を考える会の講師が声を張り上げ話している。
「この中の精子の1匹が、1億の仲間との壮絶なバトルを繰り広げ、膣から子宮へ這い上がり、微かな繊毛運動の力で卵子に到達するのである。そこには友の助けも、親のコネも、身分の差もない、あるのは己のチカラのみである。・・」と威張って説明している。
「おえ・・聞いたか。おれ自信ないな・・・1億も敵というかライバルがおんねんぞ!絶対無理無理!」とよくあるタイプの精子が隣の精子と喋っている。
「いや・・俺は行く!どんなことをしても絶対に卵子と受精してやるんや・・」と意気込む、いかにも根性がありそうな、幼少のころから苦労した感じの精子がやる気オーラー全快にはるか亀頭を眺めている。
講師がさらに煽る。
「いよいよ射精まじかになってきたようだ!!射精を強くする為の海綿体の膨張もパンパンに近づいてきているし睾丸も縮みだしてきた。」
1億の精子が今まさに射精の瞬間を睾丸の中で待っている。それは東京マラソンのスタートのようなもので、精子精子の精子だらけで渦がうねっている。

「絶対に受精してみせる」と鼻息の荒いガチ系もいれば、
「子宮までたどり着けたら恩の字やで・・」と諦め半分でその時を待つ今風の精子もいる。
また生徒会会長風のしきりやのやや左系の中高大一環教育で育った精子が言う。
「ええか!!これは一人の精子のチカラやないのや!一億の精子が集まって、皆で頂上を目指して行くのやから・・誰が一番だなんてことはないのや!!」
「みんなで受精にこぎつけるのやから・・・ワンフォーオール オールフォワンや」とやたらと民主党的な発言をする。
でも・・・これは強い精子だけが生き残る、人類創生以来の究極の勝ち残りゲームなのである。
それは・・次の子孫を残すという人間の大命題の為に、たった一回のその為にすべての力をかけて争うゲームなのである。
講師が大きな声で号令をかける。
「諸君まもなく・・・・射精がくる。それぞれ用意したまえ!!」
「決してあせるでないぞ・・膣の温度上昇に気をつけろ!また高い塩分濃度にもやられるな!」と訓示する。

そして少し浮かぬ顔をして、「そしてどうしても最後に言っておくことがある・・・・・・
この先の道中だが・・・・・必ず膣と限った訳ではない・・・」と言って少し間をおいた。
昨今では、射精の後、それはお口という所に行くケースもしばしばあるのじゃ・・・」
「えぇ・・なにそれ・・」「マジ!!」と精子達はブーイングに似た嬌声を上げた。
「実は前回は、射精したとたんに、口や、口や・・と旅立った精子の怒声がこの睾丸まで聞こえたのだ。」「射精の先はお口だったのだ!」
「実にむなしいことであるが・・・射精は選ぶことが出来ないのだ。何処に飛ぶかは出なくては判らないのだ。」それが精子の定めなのだ。とゆっくりと説きだした。
「しかし、それでもまだましだとの研究が発表されている。」と言う。このまま散っていく若精子にさらに傷口に塩をぬるように言葉を続ける。
「ケツという場合もあるのだ・・」、強烈な匂いと、常に起こる上からの腸風に、瞬く間に全滅することも添えて話した。「悲しいことである・・・が時代がそうなんだ・・・」とだけしか言えないと、諦めの口調で話す。
「ケツ。ケツ。ケツ。」と精子達が騒ぐ。
「俺はケツに行く為に生まれたのではない・・・ただ膣と子宮とそして卵子を目指して、ここまで努力してきたのに・・・いまさらケツとは・・ 俺は降りるぜ、この射精から・・」と向きを変えて膀胱の奥に行こうとするものがいた。そして何万かの精子も同じように背を変えた時、一匹の精子が皆の方に向かって、立ち上がり演説しはじめた。
「待てくれ・・そして落ち着こう。たとえこの射精が、お口であってもケツであっても、俺達は行く道行くしかないのや・・ここで背を向けたら負けや!」と良く通る声で話しはじめた。
「宇宙の星の数ほどの精子が射精され、そのほとんどが、受精という念願を果たさないまま朽ちている。それでも精子という類は次から次に生まれてきては世に放たれるのだ。今回がケツであってもそれが宿命、次回の精子達にその思いを託そうではないか?何代もの時をかけて、宿願を果たそうではないか!そしてその捨石になろうではないか!」
「それが大和魂であり、悟りであり、愛であり、仁であり、潔いよい我らの姿であるまいか?!」
「どうせ子宮の愛やぬくもりなど縁のない我ら無頼漢・・・喜んでケツに射精かましたろやないか・・皆さん!!」と半分泣きながらの演説であった。
講師もそれに聞きほれ、うんうんと頷きながら手をたたいた。それに釣られて他の精子も手をたたき始め、睾丸の中は歓喜に包まれスタンディングオベーションに変った。
隣同士で精子どうし、肩を組み、咲いた花なら散るのは覚悟・・見事散りましょ国の為!!!と謳うものいる。
そして・・講師も釣られて「行って来い・・野に咲く精子なら力の限り発射しろ・・」と意味の判らない言葉にならないメッセージを降ろした。

さぁ・・・くるぞ!!
先頭の透明なカウパー液の旦那はすでに出発した。
まもなくだ・・・弾けろ・・・飛び散れ・・・・力の限り・・・
先頭が出たらあとは早い。
「たとえお口であろうと、ケツであろうと何処でも結構だぜ!」
見事な射精をみせてやるぜ・・と先頭の少し彫りもんをいれた精子が眼を据える。
行くぞ・・・・3・2・1 今や・・とその瞬間1億の精子が睾丸から尿道を通って、亀頭から発射された。

「何ぞこれは・・・押すな、押すな・・・」
「なんやこれは・・」
「何しとんねん先頭のボケは???なんで前にいかへんのや!?」
「なんかゴムくさいぞ・・」
「ここはどこや・・」
「こら・・・押すなこのぼけ・・・・つぶれるて・・・・・・」

2014年 6月 11日 二丸三丸 第788隊
精子全員死亡 遺体はテッシュにくるめられそのまま屑篭に遺棄。
ただ先頭の精子「射魂隊」は、スキンの内側より猛攻をしかけたのち0.02サガミの内側部分は、ほころびはじめていたとの記録が残っている。

遺書
先に行く不幸をお許しください。
皆と出会えたことありがとうございます。
皆と射精できたことありがとうございます。
されどもう私には力は残っていません。
膣に行きとうございました。
子宮に当たりとうございました。
卵子と受精しとうございましたが・・・
お許しください。
私は・・・スキンの中で旅立ちます。
感謝。










コメント
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