洗濯機の裏

用事があって実家に行くと

「ちょうど良かった」

と母・美智子。

洗面所に連れて行かされると、洗濯機が少し前にズラされ、横に火バサミが置かれていた。
洗濯機の裏に歯ブラシが落ちたらしい。
でも洗面台や壁の関係で母・美智子は取れず、火バサミで必死に取ろうとしたけどそれも無理だったようだ。

何やってんだか。

見てみると、確かに歯ブラシが落ちていた。
火バサミを使って取る。
はい、これでしょ。

と言うが

「これじゃない」

との答え。

え？
まだあんの？

もう一度探して見ると…

はい、歯ブラシあった。

はい、もう一個歯ブラシあった。

はい、まだ歯ブラシあった。

はい、今度は石鹸のカケラがあった。

はい、またまた歯ブラシあった。

何個落としてんだよ！

洗面所の真横だから、落ちやすいのは分かるけどさ。
おまけに簡単に取れるような場所じゃないし。

でも落とし過ぎだ！
母・美智子のだけじゃなく、親戚を含めた色んな人の分らしいけどね。
何個か落とした時点で、ちょっとは対策取りなさいよ。

ま、とりあえず今回落としたと言う電動歯ブラシの先も無事に発見出来たから良かったけどね。

じゃあ用事が終わったので帰りましょう。
「帰りに近所のショッピングモールに寄っていこう」
とボクが言うと

「一緒に行く！」

と母・美智子。

「ユニクロのブラジャー買わんと！ブラジャー！あそこのブラジャーがいいんよ！」

おいおい。
一応それは愚妻に向けられた言葉だけどさぁ。
横に子も孫もいるってのに、少しは恥じらいってものがないのか！

ないんだろうなぁ。
もうどうでもいいんだろうなぁ。

さらに、ユニクロのブラジャーがいかにいいのかを説明している。
聞いてるこっちは、すごく気分悪いわ。

それから一緒に買い物に行きましたよ。
ブラジャーを買いにね。
流石に買うときは別行動してたけどさ。

歳を取っても恥じらいを持って欲しいものだな。