SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

「ヴェニスの商人」 ~ Happy or not ?

2005年12月16日 | 映画(ア行)
 有名なシェークスピア作品。

 四大悲劇は読んだがこれは未読、しかし肝心の部分だけは知っている。したがってドンデン返しに当たるその部分の劇的効果はないわけだが、逆にその部分しか知らないために周辺の状況描写が非常に興味深かった。

 ユダヤ人排斥の動きが当時からすでにあって、彼らはゲットーのようなコンセプトの街づくりの中で管理されていたことになる。そういう状況を見せられた中で観客として果たしてどちら側に組すべきか、その感情の移入先を決めかねる状況に追い込まれる。
 ハッピーエンドでも開放的な喜びに満たされないのは人種に対する差別感が作品の根底に潜んでいるためだ。

 アル・パチーノは居丈高で尊大な前半から、ねじ伏せられて消え入るような悲哀の底へ落ち込んでしまうラストまでその振幅の大きさで圧倒的な演技を見せてくれる。


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