3月28日ぜんせきより
「論説」最後の砦は1SSディーラー
1994年度末に6万421ヵ所の大きなネットワークを誇っていたSSは、2016年度末には3万1467ヵ所にまで減少し、この22年間でほぼ半減してしまった。
新設を省くと減少数は3万8611ヵ所にも上る。
1日あたり4.8ヵ所と、毎日5カ所近いSSが地域から消えている。
全国石油協会が毎年実施している経営実態調査によると、SS事業者の98%が中小企業であり、かつ7割以上が1SSディーラーである。
しかもSS事業者の営業利益ベースの赤字企業割合は34.8%に上り、この赤字企業に営業利益率の低い「0円以上500万円未満」の企業を含めると構成比は66.6%に達し、赤字すれすれの企業も3割を超えるなど、SSの経営は非常に厳しい。
「SSの経営を引き続き行っていく」という事業者は69.3%を占めるが、「廃業を検討している」という事業者が12.7%存在するうえ、「未定」とする事業者も14%と、廃業するか継続するか迷っている事業者も相当数存在するとみられ、さらにSSが減っていく危険性が高まっている。
7年前の東日本大震災では、津波に襲われた被災者が命からがら避難所へ辿り着いたにもかかわらず、灯油不足で暖が取れなかったり、ガソリン不足で買い出しにも行けない状況に追い込まれる中、自らも被災者である地場中小SSが不眠不休で緊急対応を続け、避難所や病院など命の危険が迫る場に“命の石油”を送り続けた。
16年の熊本地震でも、停電の中で手に血豆をつくりながら必死に手回しで地下タンクからガソリンや灯油をくみ上げ燃料を供給したSSもあった。
2月上旬の北陸豪雪でも、SSに寝泊まりして、敷地内の除雪やひっきりなしにくる除雪車や緊急車両への給油に対応した。
エネルギー供給の“最後の砦”は1SSディーラーが支えていると言っても過言はない。
地場中小SSの減少による石油サプライチェーンの棄損は、こうした災害時・緊急時の対応が一層困難になっていくことを意味する。
福井 “今冬”教訓に検証必要 関係機関で豪雪対策を
「今回の豪雪被害は県内に油槽所がありながら“石油の道”が除雪されなかったことがすべての原因。ガソリン・軽油から灯油に至るまで数日間の供給の混乱がこれほどまでに県民生活や物流に大きな影響を与えることを行政機関などにも知らしめた。被害の大きかった嶺北地方のSSの健闘はもとより、積雪の比較的少なかった嶺南から昼夜を問わず嶺北に燃料輸送するなど、組合員の結束の強さも改めて示された」福井石商・協井田理事長
出席者からの意見
「これまで県の防災訓練に参加してきたが、行政側の石油への認識が甘く豪雪では役に立たなかった」
「記録的豪雪とか想定外では済まされない」
「雪は消えてしまうと豪雪災害の記憶は忘れられがち。雪国の福井として来シーズンに向け、再び被害や混乱を起こさないよう国や県、市町村など関係機関と何度でも対策を話し合っていくべき」
「ローリーが入らす休業した店は、系列問わず在庫のあるSSにお客様を誘導したのに『いざという時に頼りにならない』という心理が働いてか、いまだ戻ってこないと嘆く組合員が少なくない」
「安売りPBはほぼ普段通り入荷できていた」
「在庫不足で4日休業、5日目にようやく商社ルートで営業再開できた。元売ローリーが来たのは一週間も経ってから」
「組合員外や県外業者などが供給している公的病院への緊急給油を今後どうするか、災害協定見直しも含めて役所や病院側と交渉していこう」
※
>SSの経営は非常に厳しい
理不尽な“大き過ぎる卸格差”による高値販売で客離れに遭い、毎年600万もの赤字を数年経験して、今は収支トントン。
ビジネスとしてはリスクの方が大きいと感じるこの商売。
「早く一抜けたってした方が賢いよ」と言いながら、それでも「自店顧客のため」営業を続けている。
阪神淡路大震災の時はまだ若く余力もあったから夜中に自社ローリーを走らせて燃料を調達し、地域への供給(営業)を続けたけれど....。
ハイオク復権求める声 薄い影、問われる商品性
販売不振が続くのはレギュラーガソリンだけではない。
畿内各地の地場業者からは、ハイオクで苦戦しているとの声が多数聞かれており、存在そのものを疑問視する業者もいるほどだ。
なかには在庫負担の重さから「タンクが古くなっているが、ハイオクの分は閉めても構わないと思っている。いっそのことオクタン価を上げてハイオクをなくしてもいいのではないか」といった声もある。
※
当店も地下タンクの改正消防法工事を行った際、このハイオクタンクをどうするか悩みました。
軽油が割と出る店なのでいっそのこと軽油タンクに替えようかとも考えましたが、やはり昔からご愛顧下さっている顧客の利便性の為に残すことにしました....
が、
今後、ハイブリッド車やEV車に乗り換える方が増えそうな気がしています