ソウル中心部で通信最大手KTの通信ケーブルが焼ける火事があり、3日間にわたって一部地域で同社の携帯電話やインターネットが使えなくなり、カード決済もできなくなった。キャッシュレス決済の比率が9割に達する韓国では現金を持ち歩かない人も多く、混乱が広がった。IT大国を自任していた韓国社会は大きなショックを受けている。

 KTによると、火災は24日午前、ソウル市西大門区の通信ケーブル用の地下溝で発生した。韓国メディアによると、消火作業に約10時間かかり、一般の通信回線や光ケーブルなど約83万人分の通信網が失われた。同社は急きょ移動基地局車などを投入したが、26日夕現在も完全には復旧していない。

 韓国では買い物の際、現金ではなく、クレジットカードや日本のデビットカードに似た「チェックカード」を使って決済するのが一般的だ。通信障害でカード決済ができなくなった食堂や商店の多くが臨時休業に追い込まれ、ATMや公衆電話には長蛇の列ができた。火災現場近くで美容室を経営する女性(44)は「週末の稼ぎ時に大きな損失が出た」と話した。