WOWOWにて「ダウト」を観ました。
私は最近メリル・ストリープが苦手で特にはじけるような役柄の「マンマミーア」あたりから嫌いでした。
でも、この作品の彼女は凄い。
私の中ではこの「ダウト」の校長役と「プラダを着た悪魔」のミランダだけに限って好きです!
(あとはみんな嫌い・・・)
さて、物語は・・・
1964年、ブロンクスのカトリック系教会学校。
校長でシスターのアロイシス(メリル・ストリープ)は、厳格な人物で生徒に恐れられていた。
ある日、人望のあるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が一人の黒人の男子生徒に特別な感情を持っているのではないかと疑念を抱くが……。
オスカー俳優のメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンが、鬼気迫る演技でぶつかりあ合う心理サスペンス・ドラマ。
(シネマ・トゥデイから抜粋)
カトリックの学校を舞台に、物語に起伏があるわけでもなく、ただ校長のアロイシスとフリン神父、そして新米シスター・ジェイムズ(エイミー・アダムス)の心理を追求した作品でした。
疑惑を持って物事を考える厳格な校長は本当に凄い演技でした。
目の悪い老シスターをいたわる優しい面もほんの少しあるものの、「嘘や悪い事は許さない。疑惑を第一に物事を見る」校長。
一方のフリン神父は規律よりも新しい考えを取り入れる人間。
「清潔なら爪を伸ばしていても悪い事ではない」というような。
生徒にも気安く声をかけていて人気もあるようですが、でもフィリップ・シーモア・ホフマンが演じるとまた違った疑いも確かに感じてしまう・・・
フリン牧師が本当に黒人生徒ミラーと不適切な関係を持ったのかは、最後まで真相はわかりませんでした。
でも演じるフィリップ・シーモア・ホフマンは疑われるのも納得の演技! 上手いです。
新米シスターは純粋で流されやすく、急に生徒に厳しく接するあたりは人間としてまだまだだな・・・と思わせています。
結局のところ、校長の疑惑からフリン神父は左遷させられたと思ったら・・・実は栄転。
そして嘘を許さない校長が自ら嘘でフリン神父を追いやったといういきさつに新米シスターも動揺。
最後は校長自身が己の疑う気持ちの飲み込まれてしまい苦しむという結末でした。
物語としてはすごく地味です。
でもカトリック学校という特別な舞台で、「疑惑を持って生きる」という校長アロイシスにすっかり釘づけされました。
メリルとフィリップの激しい論争もすごく見ものでした。
今回の評価は・・・ 星3つ半 ☆☆☆★ (役者が命!という典型的な作品でした)
男子生徒の母親役のヴィオラ・デイヴィスがまた素晴らしい~!