ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

”20世紀のベスト・ギタリスト100”特集に突っ込んでみる”

2012-04-27 02:46:23 | 音楽雑誌に物申す

 レコードコレクターズ誌5月号特集、「20世紀のベスト・ギタリスト」には唖然とさせられた。”20世紀の”と言われてもなんのことやら分からない。特集の中身を読んでも、なんだか漠然としている。
 まあ、ロックの歴史を丸ごと振り返っての、ということかとも思うが、どうも名を挙げられている黒人ミュージシャンすべてが、どこかにタテマエっぽさを含んだランクインて気がして、読んでいて居心地が悪い。そもそもジミヘンの第一位ってのが、「これをまず出しとけば文句のつけようがないだろ」的な、むしろ逃げを感じでしまうのだ。

 その他、チャック・ベリーとかロバート・ジョンソンとかBB・キングとかが上位に来ているのを見ても、彼らをそんなに上位に持っていった人たちに対し、「あんた、ほんとにそれ、クラプトンとかと並行して聴いてんの?」と、つい疑いのマナコを向けたくなってしまうのだ。「一応、ロックの成り立ちを考えに入れると、このへんは入れとかなけりゃな」みたいな、ね。そんなタテマエ主義が感じられてならない。
 タテマエっぽさでいえば、チェット・アトキンスとかレス・ポールとかもだな。そのへん、たとえばこの一年間で何回聴いた?とか、ほんと、教えて欲しいわ。
 などとまあ、考えてみればロック系のギタリストをさっぱり聴かなくなっていて、むしろ”チャック・ベリーやロバート・ジョンソン”なんかを聴く機会の方が多い身の当方としては、どうも素直にこの結果を受け入れる気分にはなれないのだ。

  また、アーティスト名のカタカナ表記が”ピーター・バラカンのアドバイス”により、より本来の発音に近いものにしているとのことだが、これもなんだか唐突で不自然だね。ロジャー・マグウィンとかロイ・ビューキャナンとかジョーニ・ミチェルとかいきなり言われてもなあ。
 まあ、この表記でレココレ誌、今後もずっと行くというのなら半分くらいは納得するが。

 ”半分くらいは”っての、あと半分はワールドミュージック野郎として言いたいことがあるのであって。
 ”本来の発音”ったって、”英語国民にとっての”でしかないんじゃないのか、結局。もっともらしく正確を期した様なこと言ってるが。
 たとえば、カルロス・サンタナはそのまま”サンタナ”となっているが、ほんとは、”本来の発音”は、”サンターナ”じゃなかったっけ?とうようさんが、よくそう書いてたっけな。
 その他、ジャンゴ・ラインハルトやイングヴェイ・マルムスティーンなんかの非英語圏の人々の名前の読みは、このままでいいんでしょうかね?これらも、”より本来の発音に近いものに”とするべく検証した結果と受け取っていいの?
 なんだ結局、「よりマニアックに英米文化に隷属してみました」ってだけの話じゃないのか?とか怪しまれてならないわけですよ、ワールド・ミュージック野郎としては。

 読んでいてふと思い出した。エイドリアン・ブリューっての、あの”リメイン・イン・ライト”で強烈な印象を残したギター弾きがいたな。彼なんかひところは大した羽振りだったが今回のベスト100には入っていない。話題にもなっていない。個人で挙げている人がいるだけで。
 結構好きだったんだけどねえ。栄枯盛衰は世の習いってやつだなあ。いや・・・こうして無名化しておいて、時が経ってから「忘れられたギタリスト特集」とかのネタにする訳か。その頃には、紙ジャケ・デジリマ・ボートラ付きで作品一挙再発の機運が高まっていたりして。まあ、いろいろありますわな。

 (とかなんとか言いつつ、「今はむしろこいつを聴きたい気分だな」の、アート・リンゼイを貼るのであった)





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